岩壁の掟 偽りの快晴 (新潮文庫 に 2-7)

著者 :
  • 新潮社
3.73
  • (2)
  • (8)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 43
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101122076

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 山岳小説の草分けである筆者の短編集。自分は山登りはしないので、技術的なところは全く知識がないが、それでも緊迫感の伝わる文章は秀逸だと思う。
    全短編のテーマは「死」であり、人間の暗い部分に焦点を当てている。どちらかというと登山家を批判するような内容に近い。山好きの読者がどのように感じるかはわからないが、雰囲気は重く、カタルシスを得られるものではない。

  • 極限状況の中で露わにされる人間像。

  • 少し変わった長編+短編

     いきなり悪党が出てくる長編、意味もなく死んでいく登山者など、ちょっと変わった作品集と感じる。

     約400頁で6編だが約200頁の長編が含まれている。肝心のその長編が私にはイマイチ。

     テーマは岩登りが多いが、情景を思い浮かべることが困難だけに理解しがたかったのかもしれない。

     悪童がなぜか女性クライマーの犠牲になって死ぬ「岩壁の掟」、台風の中気象を読み違えて全滅する「偽りの快晴」、功を焦って遭難する大学山岳部を描く「薬師岳遭難」、遭難者を助けるため第一子をもうけたその日に死亡してしまう「クレバス」、死にたい病の山での自殺を扱う「翳りの山」、重傷のクライマーを助けるクライマーを描く「岩壁の九十九時間」と作品は続く。

     インパクトがあったのは「クレバス」。父になった瞬間に死ぬという設定もさることながら、助けてやったにもかかわらず遭難者の家族は助けた地元に対してなんら感謝しないという設定が現代の世相を反映しているようで興味深い。

     作品リストは以下の通り。

    岩壁の掟
    偽りの快晴
    薬師岳遭難
    クレバス
    翳りの山
    岩壁の九十九時間

  • 新田次郎の山岳短編集

    『岩壁の掟』は短編で発表された連続物を一つにまとめたもの。
    いずれの作品も遭難に絡むものが多い。
    この中の作品では『クレバス』が好きだが、できればハッピーエンドにして欲しかった。山は時として非情になるのだろう。

    収録作
     『岩壁の掟』
     『偽りの快晴』
     『薬師岳遭難』
     『クレバス』
     『翳りの山』
     『岩壁の九十九時間』

  • 人間が勝手に持ち込んだエゴなんぞ冷厳に吹き飛ばす。山を舐めてはいかん

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

新田 次郎(にった じろう)
1912年6月6日 - 1980年2月15日
長野県諏訪郡上諏訪町(現:諏訪市)生まれの日本の小説家、気象学者。本名は藤原 寛人(ふじわら ひろと)。電機学校(現:東京電機大学)卒業。次男に研究者・作家の藤原正彦。
終戦後で生活が困窮しているところ、作家である妻の兩角(もろすみ)ていの刊行した『流れる星は生きている』がベストセラーになったことから作家を志し、執筆活動を兼業する。
1956年『強力伝』で第34回直木三十五賞受賞。1966年に専業作家。1974年に吉川英治文学賞、1979年に紫綬褒章。
気象職員としても富士山気象レーダー建設という大きな業績で名を残しており、退職時には気象庁から繰り返し強い慰留を受けた逸話が残る。

岩壁の掟 偽りの快晴 (新潮文庫 に 2-7)のその他の作品

岩壁の掟・偽りの快晴 Kindle版 岩壁の掟・偽りの快晴 新田次郎

新田次郎の作品

ツイートする