望郷 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1977年1月1日発売)
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  • 本 ・本
  • / ISBN・EAN: 9784101122113

感想・レビュー・書評

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  • 小説は、延吉捕虜収容所での生活がメイン、軍人では無かったが技術者であったためラジオを直す仕事が主であったようで、およそ過酷な強制労働は体験していないが、それ相応の苦しくて辛い体験をしているのです。
     この小説を他人事のように読まないと辛くて泣けてくる、感情移入すると読めません。
    『栄養失調は伝染病ではないけれど、伝染病のようなかたちで、蔓延していった。死者は毎朝何名か出た。その死者を運んでいった男が翌日にはもう動かなくなっていた』・・・。でも目を背けてはいけないと思い最後まで読みました。
     およそ先人たちの辛苦を経験した事が無く、ぬくぬくと育ってきた我々世代こそが語り継いで、今を生きる継承者がより良い時代を造る責任があるのではないかと思いました。

  • 新田次郎の戦争を題材とした短編を収めた一冊。
    自身の戦後の引き揚げをもとに書かれたものだ。

    新田次郎といえば山岳小説や歴史小説だが、この一冊も良い作品が沢山だった。

    戦後の複雑な国際情勢や中国大陸の状況などが書かれています。
    『夕日』と『生き残った一人』、『西沙島から蒸発した男』が良かった。

    心に染みます。

    収録作
     豆満江
     望郷
     夕日
     七人の逃亡兵
     生き残った一人
     西沙島から蒸発した男

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著者プロフィール

新田 次郎(にった・じろう):1912-80年。長野県上諏訪生まれ。旧制諏訪中学校、無線電信講習所(現在の電気通信大学)を卒業後、1932年、中央気象台(現気象庁)に入庁。1935年、電機学校卒業。富士山気象レーダー(1965年運用開始)の建設責任者を務めたことで知られる。1956年『強力伝』で、第34回直木賞受賞。1974年、『武田信玄』ならびに一連の山岳小説に対して吉川英治文学賞受賞。

「2024年 『火の島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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