銀嶺の人 (下) (新潮文庫)

  • 新潮社 (2004年3月1日発売)
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  • 本 ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101122182

感想・レビュー・書評

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  • マッターホルン登頂後、世界を驚かせた2人の女性は全く違った歩みに。医者、そして鎌倉彫の藝術家としての活躍。そして山への取組も大きく変わる。山岳会を退会した美佐子。一方、淑子たちのグループのアイガー北壁登頂成功の瞬間の開放感!そして谷川岳での美佐子のあわや遭難とそれを救った杉山たち。美佐子が救われる場面、淑子との出会いはあまりにも劇的な感動のシーンでもらい泣き。クライマックスは淑子のグランドジョラス北壁と同時並行の美佐子のドリュー西壁登頂。2人の女性の運命的な繋がりから、2人の最後の結末へ向けた緊張感の高まりにはぐいぐいと惹きつけられた。2人の登山家女性モデルの実像がどうだったのか、関心は尽きない。

  • 女性二人の個性がきちんと描かれていて、
    読後感がとても良い。
    特に前半の、それぞれが若かったころは、
    文体も展開も生き生きとしていて良い。
    あえて言えば、後半、主人公も年を取ってきたあとが、
    やや物足りないかな。
    しょうがないか。

  • 『孤高の人』『栄光の岩壁』より面白かった。好みだと思うけど。生まれる前に書かれた本と思えないほど、引き込まれた。
    実話を元にしてるだけあって、人間関係もリアル。
    物語として読んだけど、改めて考えると、この時代に女性がすごい。

  • 女性が厳しい登山をするとき、筋力や体力の面で男性より不利になることが多い。それでもこの時代に、女性クライマーが優れた技術を身につけて歴史に残る登攀に挑んだ偉業を知ることができてよかった。
    2人の女性クライマーの、静かで強い意志、男性に甘えようとしない自立した心、人の命を守ろうとする優しさと責任感に感銘を受けた。
    冬の谷川岳の吹雪と雪崩、アイガー北壁の落石地獄の場面では手に汗を握る。登攀中に準備された温かい食事は、この過酷な環境の中の、温かい部分として際立っていた。

    実在する2人の女性クライマーがモデルだからこそ、この迫力と切なさがあるのだろう。読了後の喪失感がずっしりと残る。山は命を簡単に飲み込んでしまう恐ろしいものでありながら、取り憑かれたら離れることができない魅力をもつと改めて感じた。

  • 最後は事実と異なって良いから下山させて欲しかった。女性の描き方はさすがに古臭いが、山の表現についてはさすがという感じ。山には行ってみたいけど、こういう登り方はしなくていいや。

  • 女性クライマー二人の話。男にはない、女性特有の力強さが感じられた。

  • 新田次郎3部作の一つ。読み応えのある、感動的な小説でした。
    今井道子、若山美子という実在の二人の女性登山家をモデルにしていると知り、一層引き込まれました。

  • 上巻から引き継き一気に読んでしまいました。
    下巻では主人公二人がそれぞれの道を歩んでいく姿に強さを感じました。
    危険と隣り合わせの岩壁登頂。何がそこまで駆り立てるのか、考えても答えは出ないが、ここまで打ち込める何かを見つけたいな。

  • 上巻とともに一気に読みました。風景や人物描写にも魅かれる。「水晶テラスでドーン。」ゾクッとした。

  • 話の作り方がうまいよな〜。電車に乗って読んで、降りる駅気づかんかったわい。時間を忘れるくらいに貪り読んでもーた。そっかー越沢バットレスはクライミングの練習場だったのか。登ってる人、初めて見たときは度肝ぬかれたを思い出した。

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著者プロフィール

新田 次郎(にった・じろう):1912-80年。長野県上諏訪生まれ。旧制諏訪中学校、無線電信講習所(現在の電気通信大学)を卒業後、1932年、中央気象台(現気象庁)に入庁。1935年、電機学校卒業。富士山気象レーダー(1965年運用開始)の建設責任者を務めたことで知られる。1956年『強力伝』で、第34回直木賞受賞。1974年、『武田信玄』ならびに一連の山岳小説に対して吉川英治文学賞受賞。

「2024年 『火の島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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