珊瑚 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1983年1月1日発売)
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本 ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784101122243

感想・レビュー・書評

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  • 読了

  • 2015.4.2(木)¥150+税。(-2割引き)
    2015.8.12(水)。

  • 明治期にサンゴ漁で賑わった長崎県五島列島。しかし、毎年のように嵐がやって来て、明治39年には死者734名の犠牲者を出す甚大な台風災害を出した記録を持つ。その時代背景を基に、三人の若い漁師と一人の少女を中心にして、海に生き、死んだ者たちを描いた海洋小説。
    晴雨計やエンジンが西洋から入ってくる前夜で、勘と経験で判断して腕力のみで海を漕ぎ渡る小舟は大嵐の前にはなすすべなく翻弄される。自然災害に対する人間の無力さと残された者たちの生きていく逞しさを、緻密な取材を通して佳い物語に仕上げている。小難しい堂々巡りするような心理描写とかはなく、ストレートな昭和の小説で読みやすい。

  • 山岳小説家として名高い新田次郎氏の小説はこれまで山岳小説しか読んだことはなかったのですが、海を題材にされた小説とのことでこちらもまた興味深く感じました。
    恥かしながらこれまで日本地図を見ても意識したことのなかった長崎県の五島列島にて、明治時代に発見されてから昭和にかけて盛んに行われていたという珊瑚漁のお話です。
    大変な犠牲者数を出す遭難を何度も繰り返す中でもあきらめず美しく大変高価なモモイロサンゴを追い求めた主人公たち。
    なぜそれほどまでに追い求めるのか、それは高い値が付くからということではなく珊瑚の奥深い魅力につい惹かれてしまうというお話が、なぜ山に登るのかという質問に対しそこに山があるからと答えたという名言に似ていると解説に書かれています。
    解説は新田次郎氏ご自身が実際の現地での取材記でした。当時のことを知る人はこの小説が書かれた当時でももうかなり少なくなっていました。それでも根気強く真摯に取り組まれた結果、この素晴らしい小説になっていることをあらためて感じこちらもまたとても興味深く、本編と同じように一気に読んでしまいました。

  • 長崎などを舞台とした作品です。

  • 7/20/08図書館

  • 台風や遭難、天候の記述は圧巻。
    貧しく、一攫千金を追い求めるサンゴ船の漁師の命がけの生き様には、震えるくらい迫力がある。

  • 新田次郎の小説ですね。
    みじょか(美しい少女という意味)のはまと珊瑚漁師の三人の若者の物語です。
    舞台は長崎県五島列島、その南には珊瑚の群生する男女諸島がある。
    珊瑚は高価な宝石扱いだったんですね。
    加工されて簪(かんざし)にもなっていた。

  • 面白い。
    サンゴ漁について、初めて知った。

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著者プロフィール

新田 次郎(にった・じろう):1912-80年。長野県上諏訪生まれ。旧制諏訪中学校、無線電信講習所(現在の電気通信大学)を卒業後、1932年、中央気象台(現気象庁)に入庁。1935年、電機学校卒業。富士山気象レーダー(1965年運用開始)の建設責任者を務めたことで知られる。1956年『強力伝』で、第34回直木賞受賞。1974年、『武田信玄』ならびに一連の山岳小説に対して吉川英治文学賞受賞。

「2024年 『火の島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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