つぶやき岩の秘密 (新潮文庫)

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著者 : 新田次郎
  • 新潮社 (2012年5月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101122281

作品紹介

両親を海難事故で亡くした六年生の紫郎は、岩場に耳を当て、海のつぶやきを聞くのが好き。それは母の声のように響く。ある日、崖の半ばに人影を一瞬見た。幽霊を見たのか。先生の協力を得て、謎の人物の解明に乗り出すが、謎は謎を呼び、ついには死者が。息詰まる冒険と暗号解読を経て紫郎は、崖の秘密、両親の死の秘密を掴む…。物語の神様、新田次郎が描く傑作少年冒険小説。

つぶやき岩の秘密 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 作者の新田次郎さんといえば、『八甲田山死の彷徨』を読んだことがあります。その山岳小説の巨人と言われた方が遺したたった一篇だけの海を舞台にした少年小説です。
    少年紫郎が偶然、崖の半ばに人影を一瞬見かけたことから、物語は動き出します。紫郎だけでなく彼に相談された小林先生、その弟の晴雄にも不穏な影がちらつき始めます。
    紫郎に対して少しの変化も見逃さず、真摯に向き合う小林先生。ひとりでやってみろ。やろうと思えば出来るものだと突き放した言い方をしながら紫郎の力を信じる晴雄。危険に近づくなと孫のことを心配しながらも、彼が決めた行動を見守る祖父母。紫郎に辞世の句を託し、自分の力で宝を見つけよとこの世を去った白髯。
    この人たち大人の紫郎への関わり合い方がこの物語のポイントでもあったと思います。
    「ぼくはやるぞ、ひとりできっとやってみせるぞ」
    「ひとりでやってみるということが、人間にとって一番大切なことなんだ」
    などと、少年が成長するにはひとりで考え、行動を起こすことが、とても大切なんだよと促してくれているようでした。それが成功でも失敗でもそんなのは関係ない。それまでの忍耐と勇気に意義があり価値があるのだと力づけてくれます。
    それはある意味、大人に対しての忠告でもあるのかもしれません。大人は見守ること。あるときは腹を括って送り出さなければいけないときもある。それでも少年が成長するためには黙って送り出さなければいけない。それは放任ではないですよね。
    約45年前の日本では紫郎のような少年、小林先生たちのような大人は、当たり前のように存在していたのでしょう。それを遠い過去の昭和時代の思い出と捉えるのはちょっとさびしいです。今の時代にも、紫郎少年があちこちにいて、そんな彼を成長させていく大人たちがいることを信じてます。

  • B913.6-ニツ
    300593753

    遠い子供の頃のことなのに,妙に鮮明に記憶に残っている事柄が,おそらく誰にもあると思う.私にとってのそれがこの本である.いや,正確に言えば本ではなく,ストーリーである.
     紹介文を書くにあたり,久し振りに読み返して,記憶に残っている理由が想像できた.出版翌年に放映されたテレビドラマを夢中になって観ていたこともさることながら,出版年と作中の年齢を合わせて考えると,主人公の少年が私自身に綺麗に重なるのである.太平洋戦争がそれほど遠くない時代,戦争の痕跡が身近にあったのも,鮮明に記憶している理由であろう.小説の存在を知ったのは高校生の時だった.
     物語の舞台は三浦半島にある,夏は海水浴客で賑わう村.そこに残された旧日本軍の要塞跡と,隠されたとされる財宝.財宝を廻る謎と事件.辞世の句として渡された暗号,そして解読.そこには少年期なぞ遥かな過去になった今の私が読んでも心踊るものがある.
     作者新田次郎は山岳小説や歴史小説で有名だが,たった一つ書いた児童文学が本書である.気象学者でもあるので風景や気象現象の描写が的確で美しい.おそらく現在は状況が変わっているであろうが,本書を片手に三浦半島を散策するのも良いだろう.また,作中で主人公の担任の先生が夏休みの課題として作文を課す時に作文について説明する件りは,文学者としての新田の持論に触れるようである.
     冒頭で触れたが,本作はNHK少年ドラマシリーズの一作としてドラマ化された.本書を通してドラマを観,他の作品の原作を読むというのも読書の楽しみ方の一つであろう.若い人たちが知っていそうなところでは,筒井康隆著『時をかける少女』がある.
     因みに,新田次郎のご子息,数学者の藤原正彦氏は『若き数学者のアメリカ』『国家の品格』などを著している.

  • 子供向きと知らずに読んでいた

  • 『剣岳・点の記』の新田次郎と聞いて、読まずにいられない。珍しく少年小説。

  • 山岳小説家が海を舞台に書いた少年小説。
    海が舞台といっても、そこはちゃんと岸壁登攀でハーケンとかカラビナとかがちゃんと出てくる。

    メルヘンの世界、楽しみました。

  • 少年向けの冒険小説。面白かったです。たとえ危険を冒していても、誰かが自分のやろうとすることを知ってくれているというのは、大切な命綱になります。戦争が残した深い傷跡によってつぶやき岩の「秘密」が生まれました。たび重なる冒険を経て、それは本当に主人公だけの秘密になったのだと思います。

  • それなりに面白かった。

    子供が大人の力を借りて、大人に打ち勝ち金塊を見つける話。
    親が居ないからか、早く大人になりすぎたような、変に悟っちゃった子供が主人公で、同年代の友達の描写がない。
    冒険に出る時も一人か、大人と一緒で爽快感はない。
    最後に金塊の隠し場所を見つけるが、村内であると噂の金塊だから紫郎が見つかった辺りを誰かが探して金塊を見つけてしまうんじゃないだろうか。

  • 日本軍の金塊をめぐる少年の冒険を描いた一冊。

    子供時代の秘密基地遊びを思い出します。

  • 少年冒険小説。
    まわりくどいストーリは無く、スムーズに解りやすい流れだった。
    セリフの言い回しが昔っぽくて新鮮だった。
    子供が読みやすい様に書かれているが、大人でも十分に楽しめた。

  • 懐かしい。丁寧な言葉使いの会話文がとても印象的。この小説が書かれたころは、まだ戦争が身近にあった時代だったのだなぁ。

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