白い人・黄色い人 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.40
  • (55)
  • (99)
  • (267)
  • (21)
  • (5)
本棚登録 : 1239
レビュー : 111
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123011

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 再読。20歳で読んでいるはずがまるで覚えていない。
    神様がパン粉をこねて白い人、黒い人、黄色い人を作る部分は克明に覚えているのだけど。

    「ユダ」は誰で何なのかを問いながら、「人」とは何かの追求だと思う。

    白い人はカソリックの神を信じるものと信じない、あるいは冒涜するものとの対立を描き、最後はカソリックの神に対しての禁忌を犯しながらも、自らを犠牲にした者を描きだし、黄色い人は白人と日本人の「神」の捉え方とまた棄教したものの心の痛みを描いている。

    ひとりで行う信仰ならば、神をひたすら信じ、自分を律すればよいが、人の世の中は一人ではいられない。
    その人との「縁」というとあまりにも日本的だが「縁」のために苦しみ、迷い、信仰からは落ちこぼれることになる。

    神を信じない者の痛みもあるはずで、基督を通して感じる杓子定規な痛みではなく、自然の発露を行間に感じられる。
    キリストが生まれながらに植え付けられた者の倫理観は本当に天然自然からのものには思えない。そこが作家のポイントでもあるように思うのだけどどうだろう?

    • minikokoさん
      クロネコぷうさんのレビューを読んで、この本を読んでみたくなりました。読んだら、難しさや精神性に苦しみそうだけどーーー。
      クロネコぷうさんのレビューを読んで、この本を読んでみたくなりました。読んだら、難しさや精神性に苦しみそうだけどーーー。
      2015/08/23
    • くろねこ・ぷぅさん
      読んでも自分の価値観を見失うような混乱は生まれないと思います。信仰とか愛とか難しいことよりも、自分の弱さをも丸ごと許すような優しさに満ちてく...
      読んでも自分の価値観を見失うような混乱は生まれないと思います。信仰とか愛とか難しいことよりも、自分の弱さをも丸ごと許すような優しさに満ちてくると思います。遠藤さんの言いたいことっていうのは。
      2015/08/26
  • 最初は、これを書いたのが日本人だというのが、なんだか信じられなかった。
    今まで何冊か読んできて、海外文学と日本文学の違いを分かったような気でいたのだけれど、実の所、そんなもの、ないのかもしれない。
    ただ、「どんな環境で、どう考えてきたか」が、作者の、作品の、根になるだけなのかもしれない。
    「どれほど信じても、救われない」ということが、基督教徒にとって、どれほどのことなのか。
    基督教徒であるということが、この日本でそれを信じるということが、どれほど困難か。
    けれど、だからこそ、これほどまでに、真摯になるものなのか。
    もう少し、遠藤先生の作品を、読んでみようと思う。

  • 短編ながら鮮やかな愛憎。初期作品。やや硬質。とくに白い人はとても良い愛憎。

  • 「白い人」「黄色い人」。
    どちらもずっしりと心に残りました。

  • 白い人これすごく良い!と思った、が本の評論でデビュー作でまだ未熟、テーマも多くを取り上げすぎていると書いてあった。主なテーマは神の不在か神への信仰、挑戦だと感じたが他にも考えればあるだろう。しかし100ページもなしにこれを書いた。恐ろしい才能だ。

  • 「白い人」は胸が痛くなるほど残酷なストーリー。祖国を裏切ってゲシュタポに入隊した男が拷問によって神学校時代の優等生に復讐を遂げる。キリスト教信者の英雄主義・自己陶酔を突きつつも神を求める必然性にも触れている、5つ星!

    「黄色い人」は唯一神を持たないが故に罪悪感に無関心な日本人を描いたもの。不倫で教会を追放された破戒僧は悔い改めでなく、そうした日本人の宗教観に身を委ねることによって罪から逃れようとする。遠藤周作は戦時中の鬱屈した空気を描くのがホントに上手い!

  • 汎神論的な日本人にとってのキリスト教とは、という作者のテーマを汲み取ることができた。「白い人」「黄色い人」どちらかだけでも短時間で読めます。前者の方は、正義と悪という概念を用いて人物の対立などの構図がわかりやすい。後者は、フランス人(元)牧師は「無感動」な日本人の「幸せ」に気付く。どちらも戦争のさなかが舞台であり、性(セックス)がキリスト教的規範と対立する概念として存在する。

    僕はキリスト教という世界観と日本人という世界観を知りたく、この本を読み始めたのだが、それについて感じたことが半分、小説としての面白さ半分で、専門書ではないということは前提にあったので、とても満足している。

  • 神を信じ抜く者、神を裏切る者、傍観者、十字架、醜さ、美しさ、、、
    こんなに短い物語の中で描かれているものの深さに驚かされました。
    場面設定も、人物の描き方も、時代や風景や背景も出来事も、
    計算し尽くされていて見事!
    ストーリーとしても面白く、ぐんぐん惹き込まれまれていって、
    予想外の結末に驚き、考えさせられました。
    無宗教者にも(むしろそれだからこそ)考えさせられる部分の多い、
    素晴らしい作品だと思います。

    * * * * *
    (カバーより)
    『白い人』は、醜悪な主人公とパリサイ的な神学生との対立を、第二次大戦中のドイツ占領下リヨンでのナチ拷問の場に追いつめ、人間実存の根源に神を求める意志の必然性を見いだそうとした芥川賞受賞作。
    『黄色い人』は、友人の許婚者をなんらの良心の呵責も感じずに犯す日本青年と、神父を官憲に売った破戒の白人僧を描いて、汎神論的風土における神の意味を追求する初期作品。

  • キリスト教圏で生きる白い人、無宗教で生きる黄色い人。なにかが決定的に違う。果たしてどちらが幸せなんだろう。

  • 罪や咎に対して無関心な自分が、登場人物に重なり、
    日本国民みんなが自分と同じ顔をしている気がした。

著者プロフィール

遠藤 周作(えんどう しゅうさく)
1923年3月27日 - 1996年9月29日
東京生まれ。父親の仕事で、幼少時代を満洲で過ごす。帰国後にカトリックの洗礼を受けた。1941年上智大学予科に入学したが、中退。慶應義塾大学文学部仏文科入学・卒業後、カトリック文学を学ぶためにフランスへの留学。帰国後の1954年『アデンまで』を発表し小説デビュー。1955年『白い人』で芥川賞を受賞し「第三の新人」として脚光を浴びた。
1958年『海と毒薬』で第5回新潮社文学賞及び第12回毎日出版文化賞、1966年『沈黙』で第2回谷崎潤一郎賞、1979年『キリストの誕生』で第30回読売文学賞評論・伝記賞、1980年『侍』で第33回野間文芸賞などそれぞれ受賞。1995年に文化勲章を受章している。
上記受賞作のほか、1993年刊行『深い河』もキリスト教と日本人をテーマにした代表作と見なされており、映画化された。60年代以降「狐狸庵山人」(こりあんさんじん)を名乗り、様々なエッセイを記した。数々の作品が欧米で翻訳され高い評価を受けており、存命中ノーベル文学賞候補だったこともよく知られている。

白い人・黄色い人 (新潮文庫)のその他の作品

白い人・黄色い人 Kindle版 白い人・黄色い人 遠藤周作

遠藤周作の作品

ツイートする