海と毒薬 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 793
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123028

感想・レビュー・書評

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  • 病院では結核が猖獗を極め、体力を失った者が次々と倒れていく。
    街では爆撃機が高楼を掠め飛び、無辜の者たちを一斉に焼き尽くす。
    軍靴の下にモラルは踏みにじられ、人命は悪鬼どもの酒肴となった。

    太平洋戦争中北九州で実際にあった米国人捕虜に対する人体実験を素材に、若い医師の視点から描いた問題作。

    人体実験という蛮行も広い世界からすれば、大海に比しての毒薬一滴のようなもの。しかし作者は、毒薬たる宿命を背負い生まれた者に焦点を合わせ、その悲劇を描いている。

  • 大変面白かった。罪についての描写が詳しい。

  • 1999.8.28~ 9.2 読了

  • 高校生の頃に読みました。少々刺激が強いですが、過去に行われてきた惨事を知っておくためにも歴史を学ぶ高校生か大学生のうちに読むのがよいかと思います。

  • 良心の呵責なのではなく社会の罰への恐れである、というのはすごく腑に落ちる感じがした。重いテーマだが淡々とした日常の中で描き出しているところも良い。

  • 知っている方もかなり多い本だと思いますが、太平洋戦争末期に起こった『九大事件』を題材とした小説です。とある大学病院で米軍の捕虜が生体解剖されてしまうというショッキングな内容。

    普通の医学研究生―むしろ人間味にあふれた優しい青年―を中心に組織のさまざまな人物が登場します。大学病院という囲いの中で、戦争という時代背景の中で、外科・医局・研究室という組織と人間関係の中で・・・それはごく当たり前のことのように実行されました。しかし人間である以上、彼は心の葛藤から一生逃れることができません。

    『人間とは何か』・『日本人とは何か』を問うた遠藤周作の代表的作品。おぞましいとは思いながら自分ならそのときどうしただろうか・・・人間とは斯くも冷酷で残忍な存在なのだろうか・・・。だけどそのようなことから目をそむけてよいのだろうか・・・。あらためて考えさせられました。前半は迫りくるものを感じましたが肝心の後半がもう少し…ということを加味して星4つにしました。
    (読了:2007.7.24)

  • 先生に勧められて読了。
    ずっと、周りの人達は皆自分と同じように物事を思考し、感じているんだろうと、心のどこかで思っていました。そんな無意識の傲慢さを自覚させられたような気持ちです。
    人間が信じられなくなりました。自分を含めて、人という生物が不気味に感じられました。
    それでもというか、だからこそというか、読むと人に優しくなれるよ、といった先生の言葉が分かった気がしました。

  • 必読でしょう。

  • 30年前に読んでさっぱり面白くなかったこれを再読したら、今なら結構、何を書いてるかわかってきた不思議。
     日本人の罪の意識は神に対する罪でなく世間に対する罪(だから周りに流されやすい)ということが理解できる1冊

  • 読む前は、捕虜解剖事件の重大性、罪の意識などの問題がバーンと大々的に提示されているのだろうか、と予測していたが、読んでみると意外にあっさり終わってしまった感がある。
    だが、そのあっさり感じられてしまうことこそが、恐ろしいことなんじゃないか。
    絡み合う人間模様が面白い。
    なかでも戸田とノブのエピソードは堕ちるとこまで堕ちていて…

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著者プロフィール

遠藤 周作(えんどう しゅうさく)
1923年3月27日 - 1996年9月29日
東京生まれ。父親の仕事で、幼少時代を満洲で過ごす。帰国後にカトリックの洗礼を受けた。1941年上智大学予科に入学したが、中退。慶應義塾大学文学部仏文科入学・卒業後、カトリック文学を学ぶためにフランスへの留学。帰国後の1954年『アデンまで』を発表し小説デビュー。1955年『白い人』で芥川賞を受賞し「第三の新人」として脚光を浴びた。
1958年『海と毒薬』で第5回新潮社文学賞及び第12回毎日出版文化賞、1966年『沈黙』で第2回谷崎潤一郎賞、1979年『キリストの誕生』で第30回読売文学賞評論・伝記賞、1980年『侍』で第33回野間文芸賞などそれぞれ受賞。1995年に文化勲章を受章している。
上記受賞作のほか、1993年刊行『深い河』もキリスト教と日本人をテーマにした代表作と見なされており、映画化された。60年代以降「狐狸庵山人」(こりあんさんじん)を名乗り、様々なエッセイを記した。数々の作品が欧米で翻訳され高い評価を受けており、存命中ノーベル文学賞候補だったこともよく知られている。

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