留学 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123035

感想・レビュー・書評

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  • あんなに楽しかったパリ旅行なのに、これを読んでから思い返すとなぜか陰鬱な空と街並みしか思い出せない。共に文化を大事にする国なのに石と藁じゃわかりあえないのね。

  • 留学に関する三部作。
    全然華やかでない留学である。
    特に最後の作品は、世にも奇妙な物語的なストーリー展開に思えた。

  • 人が異文化に接したとき、その異質さに打ちのめされることはままある。

    あのテヘランの、どんよりした空気の中、ひとりバスに座り帰宅を急いでいたころをぼんやり頭に置きながら、読み進めた作品であった。時代も、場所も、作中の人物とは異なるけれども。

    留学経験者には、なるほど頷ける場面が多い作品だとおもう。

  • 読んでとにかく「挫折感」が書かれているという印象。
    若いころは自分も焦っていたなあと。今は焦らなくなったわけではないが、若い時独特の焦り方みたいなものはあると思う。

  • 留学・海外生活経験者だと頷く事ばかりでは。
    秀一。

  • フランスに留学した留学生が文化や風土の違いに挫折していく姿を描く。遠藤氏自身がフランス留学を経験しているからか、現実味を持って重苦しく迫ってくるものがある。随所随所に配置されたサド侯爵のエピソードが興味深く、良いスパイスになっていたと思う。

  • 出てくる人みんな何らかの陰を背負ってるんだけど、妙に共感できます。気分が沈むけど、遠藤さんの描くフランスの情景が魅力的でついつい読んでしまいます。

  • 海外で読むとかなりのダメージ・・

  • 留学経験あり、フランスを巡ったこともあり、キリスト教徒になったこともあり、サド文学を読んだこともある私にとって、この本は、読むべくして読まれた!

    「語学力が向上した」「日本文化の魅力を再認識した」「国境を超えた友達が出来た」 そんな楽観的な言葉が聞かれるような留学ではない、これは。遠藤周作のフランス留学の、深い苦しみに、悩みに、私は泣きそうだった。私たちは似たもの同士のような気がして。他の人がいとも簡単に出来ることが、出来ない。根本的な所に行き詰って、考え込んでしまう。私たち、相当人生に不器用ね。

    西洋の大きなお世話。Leave me alone! 

    新しいモノ好き、欧米好きの日本人が、欧米人の大好きな「神」の概念を受け入れないのは何故?

    「君のために・・・」この期待に耐えられる?プレッシャーだよ。

    皆の期待が重くのしかかる。僕は皆の希望を担っている。皆の星。でも、そんなの鬱陶しい。そんな大役、僕には無理だ。お門違いだぜ。

    空気を読む能力に長けているために、ノーと言えない日本人。はっきり意見を言えない日本人。

    モラルと和を尊ぶ集団主義の日本人には、神の概念が必要ない。個人主義の欧米人にはお目付け役の「神」が必要不可欠。世界はそういう風にして出来ている・・・?

    日本人って難しい。

    ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

    「外国文学と自分との違和感をたえず意識している人間」
    「自分と全く異質で、自分と全く対立する一人の外国作家を眼の前におき、自分とこの相手とのどうにもならぬ精神的な距離と劣者としての自分のみじめさをたっぷり味わい、しかも尚その距離と格闘し続ける者」
    「私生活でも精神の上でもあまりに隔たった人間」

    外国文学者の苦しみ。老ハムハムもLewisと?でも、まるで彼と僕。サドとルネ。どうしようもない事実を突きつけられた時、人は自分を見失う。だめだ・・・レベルが違いすぎる!一生かかっても追いつけない!悔しい・・・!僕は愕然とした。

  • 遠藤周作自身の留学体験(1950年〜)をもとにして書かれて
    いる。「ルーアンの夏」の工藤や、「爾も、また」の田中は遠藤周作の分身。

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著者プロフィール

1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50~53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。


「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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