彼の生きかた (新潮文庫 え-1-10 新潮文庫)

  • 新潮社 (1977年6月1日発売)
3.91
  • (49)
  • (42)
  • (51)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 473
感想 : 47
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784101123103

みんなの感想まとめ

この作品は、人生の理不尽さや弱さを受け入れながら生きることの大切さを描いています。主人公の一平を通じて、周囲の期待や評価に苦しむ人々の心情がリアルに表現されており、共感を呼び起こします。読者は、彼の純...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 一平ほど純粋じゃないけれど、器用に世渡りなんかもっての他、人並みになんとかやっていく(振り)で精一杯の私にはよく分かる部分が多かったです。その分、読んでいて加納や朋子の考えや行動からも、一平が軽んじられることがつらかったです。この生き方しかない、できないという人種もいるのです…。

  • 20代の時に読み(30年以上前)このたび復刊したとのことで改めて読み直しました。若いときにも感動しましたがこの年になって理解できるものがたくさんありました。人生の理不尽をたくさん体験してきたせいかもしれません。無限にあるように感じていた未来は有限なことが実感できます。
    いじめのなくならい日本、若い世代にはぜひ読んでもらいたいです。そして有限の未来を過ごし憂鬱に思われるお疲れの世代の方々にも。声なきもの、弱い立場にあるもの、それはすべて自分自身なのです。遠藤周作氏の深い動物愛、人間愛、醜い面をも含めてうけとめてくれる懐の温かさに励まされます。
    弱くてもいい。大きなことができなくてもいい。身近なものを守っていこう、応援していこうと思わせてくれる本です。
    都内にも猿が出没しているようです。猿の側からも少しだけ見てくれる人が増えますように

  • 著者のイメージはテレビで、ユーモアあふれる会話をする作家さんと言うものでした。間違いなく著者は日本の文壇で名前を残している方だと思います。ただ残念ながら、後世に読み継がれていくのかと思うと不安になります。私の杞憂かもしれませんが、「海と毒薬」「沈黙」「深い河」など。感銘を受けた作品が沢山あります。今回読んだ作品は彼の代表作とまでは言えない作品かもしれませんが、面白く読めました。著者の弱い立場の人に寄り添う姿勢が読み取れます。主人公の学歴に対するコンプレックスなどは著者に通じるものがあるのではないかと勝手に思っています。今度は、著者のエッセイを読んでみようと思います。

  • どんな男性が好みかと訊かれたら、(通じる場合は少ないけれど)私は主人公のひとりで野猿研究者の一平と答える。
    決して抗うことのできない大きくて強い力。遠藤周作は、そんな津波のような力を幾度も形を変えて描く作家だ。それは時には時代の波だったり、権力だったり、世間の目だったりする。
    圧倒的な力に流されそうになりながらも、なお自分の信じるものを守り、立ちはだかる人々。愚かで滑稽だけれど、そこに真の強さがあるのだと気づいてしまう瞬間が、この小説でも鮮やかに描き出されている。
    女性の心理もかなり巧みに代弁されている。自分を押し流す強い波と、自分をしっかりと繋ぎ止める堅実な港。女はどちらも求めてしまう。この両者の狭間で葛藤する明子は、最終的には波にも飲まれず、港にもとどまらず、自らの意志で沖へ出ていく。
    そういう見方もできる小説ではないか。

  • もう10年以上前ですが、就職活動期間中に読んだ気がします。
    最終的に、どちらの生き方も否定せずに終えるのが遠藤周作流の優しさと思いました。

  • 不器用だからこそ、不自由だからこそ見出したその生き方。
    邪魔するのは偽の強さを振り翳すまさに人間という遣る瀬無さ。
    ある意味では「彼の生きる道」なのかもしれない。それでも「生き方」と表現する方が、私も好きだ。
    その時代にどれだけそういう捉え方があったのかどうかはまた別だが。

  • どもりのために消極的な性格の福本一平は、ことばで語りあう必要のない動物との触れあいに、心のやすらぎを感じていました。彼は、小学校時代の音楽教師の示唆を受けて、ニホンザルの生態を研究する道をえらびます。彼は日本猿研究所に所属し、志明山でニホンザルの餌付けを試みていましたが、志明山の土地が観光業者の手にわたったことで、ホテルの開発が着手されてしまいます。さらに研究所の所長が交代したことで、人づきあいの苦手な一平は苦しい立場に追いやられ、職を辞して比良山で研究をつづける道をえらびます。

    一方、小学校時代から一平と幼なじみの中原朋子は、志明山の開発を進める業者に勤務する夫のもとに嫁いでいました。彼女は、志明山の開発に反対しているのが一平であることを知り、彼の研究に対する真摯な態度にひそかな感銘をおぼえていました。しかし、彼女の夫の藤沢が飛行機事故によって命を落とし、彼女は夫の上司である加納からの求婚を受けます。

    自分の望むものはかならず手に入れようとする加納のアプローチを拒むことができず、ついに朋子は加納との結婚を承諾しますが、不器用でありながらも一途にニホンザルを守ろうとする一平のすがたに、朋子は心のなかで声援を送ります。

    ドラマティックな構成の作品で、信仰をめぐる著者独自のテーマが追求されている作品群とは異なる印象ですが、単純にたのしんで読むことのできる内容でした。

  • 就活前の私にピッタリな一冊。

    人からどう思われようとかそんなことは構う必要はなくて、それより自分の意志を大切に。
    守りたいものは、なにがなんでも守る。守りたいものを見つける事は人生において大切だとつくづく感じたな。

    遠藤さんのメッセージが伝わりやすい、読みやすい一冊。

  • 著者は洗礼を受けたキリシタンとして有名であるが、今回のストーリーには彼独特の宗教観は見受けられなかった。
    吃音症の少年が成年へと成長していく中で、変わらない純朴さが描かれている。対照的に、その友人は成長するにつれて少女から女性へと変化していく。
    ただひたすらにまっすぐ生きようとした、不器用な男性が、時代の波にもがきながら戦い続ける。

    愛とは何なのか。
    自らの信じるものは何なのか。
    そんなことを考えされられた一作だったと思う。
    この辺りが遠藤周作氏の魅力ではないだろうか。

  • 読み終わった後も本を読んでいる余韻が残っているような本。
    私が遠藤周作の作品の中で一番好きな作品。

    自分のやることに一身を捧げる決意、その強い意思を一平から感じた。

    一平の生き方、加納の生き方、朋子の生き方はそれぞれに違う。
    誰の生き方が悪とか善とかいうことではなく、ただ単に生き方が違う。

    そんな当たり前のことを改めて理解する。そんな作品であると思う。

  • 未だにこれ以上の作品には出会っていません!

  • これ読んで中国での仕事の姿勢が変わった。
    彼のように自分も生きていく事になっても
    間違いじゃないんだと、勇気付けられた。

  • 大学の卒業研究でニホンザルについてちょこっとかじったから、あまりに内容が近くてちょっとびっくりした。
    一平はあれで幸せ……なんだろうなあ……。”彼の生き方”を考えると胸が苦しくなる。
    加納は嫌い。嫌い。嫌いだ。根本から女を馬鹿にしてる。…でも朋子の気持ちも分かる…。
    朋子は『昔の女性』という印象だったけど、今もこの頃と変わっていない部分はあるんだろうな。だから彼女の気持ちの変遷も行動も理解できるんだと思った。

    ずっとオチのついた話しか読んでこなかったから、最後は少し戸惑った。
    でもホントにすごく読みやすい。昔の文庫だから字も小さいしこの本は厚みがあったけどあっという間に読めた。かといって字だけなぞってる訳でもないし。
    読んでるのが楽しい。

  • 大好きな作品。何度読んでも泣ける。ラストが現実味があってまたいい。

  • まっすぐに自分の生き方を貫く主人公は素敵ですね。
    どうしようもなく他者に影響されたり、阻害されて、変えざるを得ない時もやっぱりあるけれど…。
    主人公が恋い焦がれている女性も、最終的には悲しい結末になってしまって、エンディングを物悲しくさせているところがあるけど、美しい描写で描かれていてGoodですね。

  • よかった。
    最後まで、朋子が加納を捨てられなかったところ。
    主人公の生き方には憧れるが、朋子に深く共感を覚える。

  • 生き方に迷った時、自分を見つめ返したい時、一体何回読んだか分からない。

  • 吃りのあるニホンザル研究者の話。
    主人公一平は吃りのため弱気な性格。昔から動物に心惹かれ、恩師の言葉もあり、動物の研究者となる。
    小学校からの幼馴染朋子に恋をするも、大学進学してから縁遠くなっていた。
    ニホンザル研究者として猿の餌付けに従事するも、ホテル建設問題や新しく来た研究所長との関係悪化により退所。
    その後別の山で研究を進めるも、以前の研究所でホテルを建設した加納専務の邪魔が入る。加納の秘書は朋子であった。
    朋子は専務の部下である夫がいたが、途中で夫が飛行機事故により死亡。朋子と一平、加納との三角関係や、汚れた人間の世界と自然に生きる猿たちの世界が描かれる。

    今回はキリストには触れられないが、途中長崎が出てくるあたり遠藤周作らしさを感じる。
    いわゆる小説らしい展開(幼馴染との再会や朋子の夫の事故死)はあまり好きではないが、まったく興味のないテーマではありながら楽しめた。

  • 久しぶりに本で涙が出ました。
    これまで読んだ遠藤周作の作品は暗いものが多かったのでテイストが異なるこの本に驚きました。

  • 私は福本ほど純粋で心が綺麗な人間ではないけれど、人間の汚い部分や醜い部分を見たくない、関わりたくないという気持ちはよくわかる。人間と猿の行動原理は別物だが、福本がチンクシャに自己投影し、自分の姿を重ねて見たのは自分との対話であるように思える。

    福本以外にも藤沢、加納、朋子、その他の登場人物もキャラが立っており、それぞれがそれぞれの価値観に従って物語が進行していく。そこに正しさはない。強さとは何か、弱さとは何か。そう問いかけてくる一冊。

全45件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50~53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。


「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

遠藤周作の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×