イエスの生涯 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1982年5月27日発売)
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  • 本 ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123165

感想・レビュー・書評

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  • スコセッシ監督、遠藤周作『イエスの生涯』原作に映画製作 2024年後半にも撮影開始 : 文化 : クリスチャントゥデイ
    https://www.christiantoday.co.jp/articles/33171/20240111/martin-scorsese-shusaku-endo-a-life-of-jesus.htm

    遠藤周作『イエスの生涯』『深い河』 若松英輔 - 日本経済新聞(2023年4月8日 会員限定記事)
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD138ZU0T10C23A3000000/

    遠藤周作 『イエスの生涯』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/112316/

  • キリスト教について知りたいと思っていたところ義父母文庫にあったので読みました。
    なぜ弟子や信者はキリストが酷い目にあっているのに助けなかったのか、弟子はなぜキリストが亡くなってからキリスト教を布教する人となったのか、謎が深まった。疑問多く読むのに時間がかかってしまった。

  • あとがきにもあるが、神としてのイエスではなく、人間としてのイエスの生涯。
    人間は結局、現実的な効果を求める。それをイエスは「汝等は徴と奇蹟を見ざれば信ぜず」と言う。

  • 作者の既存作品の紹介を公演した記録や、文豪達との様々な交流を通して神をテーマとしたエッセイの様に語りかけ。
    この書籍からドストエフスキーや吉行淳之介に出会えるとは思っておらず嬉しく楽しい読書でした。

  • 自分の思い描いていたイエスの姿とは全く違った印象を持った。
    神の愛を伝えたいイエスと目の前の見える奇跡を求める民衆とのギャップ。
    イエスがここまでの孤独を抱えていたことを知らなかった。

    イエスの苦しみはまさに人間が抱える様な苦しみで、神の子にも関わらず人間の苦しみも分かち合ってくださる。
    自分の中では勝手にイエスは「思い悩むことのない、完璧な存在」と思っていたが実はそうではない。
    無力だったからこそ、弟子たちに伝えられたことがあったのだ。

    地上に来てくださり、神であり人でもある神の子に感謝する気持ちがより一層強まった。

  • 神の愛とは、人間が苦境にいるときに、目に見えて具体的に手を差し伸べてくれる事ではない。
    人々に必要なのは、奇蹟ではなく、愛であり、
    "自分の苦しみや悲しみを分かち合い、共に泪を流してくれる母のような、永遠の同伴者"であると、イエスは知っていた。
    人々の全ての罪を背負い、磔刑となることで、愛の神の存在を証明しようとしたイエス。
    全ては、人間の悲しみや苦しみを分かち合うために。永遠の同伴者となるために。 

    "我々は知っている。このイエスの何もできないこと、無能力であるという点に、本当のキリスト教の秘儀が匿されていることを"

  • 小説というよりは評伝である。
    しかし、明確な問いが立てられ、それに明敏な答えを与えている点では学術論文にも等しい。
    遠藤周作は小説家だけではなく、なぜ哲学者にならなかったのだろうか。
    当世の安っぽい社会学者や思想家とは異なる、ちいさき者への優しさがある。

    イエスの名前やその最期を知ってはいても、なぜ磔刑に処せられたか、弟子に裏切られ、また復活の伝説が興されたのか、その詳細は日本ではあまり知られていない。

    『侍』でも描かれていた、現世利益をもとめる仏教観と、奇蹟でなく
    苦悩と悲哀に寄り添うキリスト教観の違い。
    イエスの愛は現代のキリスト教ではゆがめられている気がしないでもないが。

  • 2001年、911アメリカ同時多発テロの衝撃の後、イスラム教ユダヤ教キリスト教についての本を少しばかり読んだ。読んだけれどもよくわからないというのが本音である。

    その当時集めた中で今までなぜか読まず最後に残ったのがこの『イエスの生涯』もうすぐクリスマスだが、この本はイエス様が厩で生まれたとは書き始まっていない。ところがこれがわかりやすかった。遠藤周作氏の人柄と作家の力量だからだろう。

    西洋画に書かれた神々しい像は、後の時代の想像力によってなされたので、容貌も平凡な中東人がどうしてイエスキリストなのか?

    イエスはユダヤ人で大工さんであった。ナザレというところで30~40代まで近親者と働いて暮らしていたが貧しかった。そんな普通の人が思うところあったのか、困る身内の反対を押し切り、捨てて家出してしまう。そして放浪の生活。原始キリスト教に出合のだが、原点は貧困にあえぐ人々への同情。奇跡を起こすでもなく、救済者メシアでもなく、何にもできない無力者のイエスが政治的陰謀にはめられて、ゴルゴタの丘で十字架にかけられてむごたらしく殺される。その処刑されたということにキリスト教の意味があるという、遠藤氏の直観力が開示される。

    おおざっぱに言ってしまったが、遠藤氏が思索なさったことに妙に納得してしまった。
    この後編に『キリストの誕生』をお書きになったが。

  • 気持ちを分かってくれる人がいるだけで
    救われるから
    生きてゆこうと思う。
    彼という人がいなかったら
    この世の人はどれだけ寂しい思いをしただろうと思う。

  • 人間は神の愛よりも奇跡や効果ばかりを求める。著者の言葉を借りるなら、私たちのほとんどは卑怯で弱虫だ。私にもイエス様の哀しげな顔が見える気がした

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著者プロフィール

1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50~53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。


「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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