イエスの生涯 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123165

感想・レビュー・書評

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  • 「死海のほとり」と表裏をなし「キリストの生涯」と一対をなす。
    そんな作品です。作風はけっこう堅めストレート。

    個人的には「沈黙」を合わせた4作を土台にして、あとは気になった作品を積み上げていって、頃合いをみて「深い河」をぶっかけるって具合に読んだら、遠藤周作のスタンスがなんとなくつかめるんじゃないかなーって気がします。

    「死海のほとり」ほど小説でもないしガツンとこないけど、ちょっと我慢をしてでも神学大生には是非読んでほしいです。
    .
    04 けいじ

  • 研究文献を引用しつつも、小説家としての想像や創作を多分に盛り込んで描いた、愛に溢れるイエスの生涯。蔑まれ死んでいったイエスとユダの間の、奇妙な同一性やつながりは興味深い。ユダ本人は、自分の裏切りが後々まで記憶される運命にあるとまでは予想しなかっただろうと思うけどね。

  • 今年の7月に訪れた 遠藤周作文学館で遠藤周作さんの作品・生き方に改めて興味を持ち、すぐさま本屋さんに走り購入した本が”イエスの生涯”です。先日やっと読み終えました。

    思い起こせば、あれからものすごい忙しさが続き、毎日毎日朝から全速で走り続けている日々でした。

    コンピュターを立ち上げている時間に練習したり・本を読んだりしていたものですから、1冊を読破するのに、ものすごい時間がかかってしまいました。

    こんだけ時間がかかると、話の内容の時系列が狂って来てしまって、正直なところ書評などを書けるものではありません(笑)

    ただただ一つだけ心に残ったことを要約するならば・・・

    遠藤周作さんが愛したお母さん、そのお母さんが遠藤周作さんに与えた洋服の一つである”洗礼”そして”キリスト教”。彼は着にくいとは思ってはいても愛する母親がくれたものを脱ごうとはしなかったし、出来なかった。

    とは云えども矢張り、着心地は悪いと思っていたのは事実である。しかしある日決心をする。この着心地の悪い洋服を、自分に合う和服に仕立てようと・・・・。

    人生のヒントが頂けたかなと思いました。
    (しかしながら、もうこれからは1冊の本を読むのにも5か月もかけるのはよそうと思いました(笑)。)

  • 解説に書いてあるようなことそのままになってしまうが、やはり人間としてのイエスが、どう考え、どう行動したか?について書かれた本。
    キリスト教入門、という言葉がいいかどうかわからないが、興味のある人にとってとっかかりになる本でもあると思う。

  • 『「西欧キリスト教」というだぶだぶの洋服を、長い年月をかけて和服に仕立て上げた作品』だとの解説がありましたが、キリスト教とは全く無縁でも、イエスの人間性やその背景がひしひしと伝わってくる、そして小説だからこそ発見のある、貴重な一冊。遠藤周作氏以外に書ける人は無論いないでしょう。

  • ぼくは、他の多くの日本人がそうであるように信心薄き無宗教者だ。強いて言うなら、いざという時の神頼み教信仰といえるかもしれないが、これもまた多くの日本人がそうであるように、その時ですら神のイメージはもっていない。神を拠り所にするということへの関心とか、そもそもこれだけ多くの人の信仰心を駆り立てるキリスト教へのあまりな無知からこの本を手にとった。
    これを読み通したところで、ぼくですら知っている断片的な逸話が整理されるわけでもないし、ほく程度の知識しか持ち合わせなければ、当たり前の様に作中で使われる4つの福音書とは?旧約、新約とは?にはじまり、様々な疑問すらわくが、この本を読む価値はそんなところにあるのではなく、現代を生きる日本人には到底想像し得ない、イエスの時代の人々の思想、永く虐げられたユダヤの地の人々の歴史、世界観、いつか現れるだろう救世主への期待など、ひとことでは表せぬ時代背景をも含めてイエスの生涯を綴っていることにある。
    第4章冒頭で著者の述べるとおり、イエスと同時代を生きたわけではないため、誰かの目を通し語られるイエス像しか知ることができずそれらがすべて歴史的事実かどうかというと、そうではないものもあることは聖書も然りではあるが、語り継いだ人々の信仰心の産物もまたひとつの真実だ。
    誤解を恐れず言うなら、キリスト教は弱き者の宗教だとおもう。キリスト教におけるイエスとは母なるイエス、永遠の同伴者イエスであり、ぼくたちが苦しい時、イエスはともに苦しみ痛みを分かち合っている、むしろイエスは弟子に見捨てられ民衆に罵倒され極限の肉体的苦痛を受け、惨めな最後を遂げ、この世の苦しみをすべて理解し引き受けてくださるという愛がぼくたちを救うのだとおもった。
    同著の「死海のほとり」も読んでみよう。

  • 日本人のキリスト教理解、宗教理解の手がかりに!(船田真里子先生)

  • 違う視点からのイエスの生涯。新書にありそうな感じで、文庫で読むには違和感があった。

  • キリスト教信者でもないかぎり日本人にとってイエスのことはあまり知らないと思います。
    遠藤周作は伯母の影響から幼くしてキリスト教徒になりましたが悩んでいた時期もあったそうです。

    例えば「最後の晩餐」や「死後の復活」などその真実に迫ろうと、数多ある文献から作者なりの答えを導き出そうとしています。
    キリスト教信者以外の日本人にとっても興味深い一冊です。

  • 上京時に母からもらった本。重い。とにかく重い(ハードカバーだったので物理的にも)。なにを伝えたかったんだろう...?wイエスの生涯を淡々と。

  •  福音書に記されている事実ではなく、真実から、人間の「永遠の同伴者」としてのイエス像に迫る。とくにユダとペテロに関する省察は非常に興味深いが、俗情に流れ気味になる箇所があるのが少々気になる。

  • カトリック教徒である遠藤周作氏が人としてのイエスの内面に迫って書いた本。あくまで人としての内面に注目をしている。

    また、イエスだけでなく、イエスを取り囲んでいた弟子たちの心理、ユダヤの大衆たちの心理、パリサイ派などの心理などの描写も加えている。

    四つの福音書をもとにそれらを総合的に踏まえたうえでイエスの生涯のひとつの解釈を表現している。

  • イエスはいかにしてイエスキリストになったのか。
    人間としてのイエスの生涯を描く。

  • 遠藤周作のフィルターを通したキリスト教は好き。

  • キリスト教について、私の考えを根底から覆してくれた本。

  • この書籍はイエスの本当の人物像、または歴史をできるだけありのままに書いた物です。一見して宗教色的なものが匂うかもしれませんがあくまでも正しい知識を読み解く為に読みました。
    この中ではイエスはごく普通の青年であり特別な能力などは持っていなかったが哲学面で人間の為の神の正しい存在を解いていた。

  • 文字通りバイブル。

  • 青年大工イエスはなぜ十字架上で殺されなければならなかったのかー。あらゆる「イエス伝」をふまえて、その<生>の真実を刻む。

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著者プロフィール

1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50~53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。


「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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