- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101123165
感想・レビュー・書評
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何故キリスト教が今日に至るまで二千年もの間廃ることなく発展してきたのか?それは愛の宗教だからではないか?しかも、それは他社への高次元の愛である。「汝の敵をも愛せよ」とその当時弟子たちでさえ受け入れがたかった、常識として考えられなかった教えをとき、そして十字架上で自分を十字架に追いやった人々を神の前に取りなすその姿から、理解できるような気がした。そして、それはイエスの復活の後、人間的に弱虫だった十二人の弟子たちを殉教をも惜しまない信仰者へと生まれ変わらせていった原動力となったのではないか。
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遠藤周作のなかにあるイエス像と、わたしのなかにあるイエス像はなんでこんなにも近いのだろう、といつもおもう。無力でぼろきれのようで弟子にも失望されて、当然ユダヤ民族の反ローマ主導者ではなく、弱い人のそばにいて苦しむ人のとなりで祈っていて、でも無力で失望される。しかしその命をもって全てを救済しようとするあまりにも深く溢れ出る人間への愛。現代人はキリスト教なんて、宗教なんて、と馬鹿にするけれど、究極的な意味での人間の救済はやっぱりお金にも権力にも他人の愛にも求めることはできないのかもしれない、そんな時代に示唆するものはとても多い気がするのだけれど。新約聖書の福音書のイエスの復活まで、つまりほんとうにイエスの生涯をこと細かに書いていて、わたしはなにかそれを追うにつれ心がみたされていく、そんな感覚。ユダに対する記述がほんとうに視点の転換だったけれどもすっと腑に落ちて感動した。定期的にキリスト教に触れる意味を今一度問い直した一冊。
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ページをめくらずにはいられない展開。読ませる。唯一のイエスの理解者であるが故にイエスを裏切ったというユダ像がとても良い。
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遠藤周作が「弱きイエス」を、当時の風景や情景がリアルに伝わってくるように描いている。
過去の様々なイエス伝を踏まえつつ、その実像に肉薄しようとしているようだ。
「歴史的イエス」の見方、「真実のイエス」の見方、すごく学ぶべき点は多いかと思います。
当時イスラエルにいたらイエスの像はこのようなものだったのかと目の前に出来事が淡々と繰り広げられていくような感覚を覚えた。
日本人としてのキリスト教、宗教の見方を遠藤周作氏に学んだところが大きいと思います。 -
「死海のほとり」に次いで読みました。キリスト教徒ではない私には腑に落ちる内容。なぜイエスは惨めな死に方をしたのか。その後の謎は残ったままなので、「キリストの生涯」を読もうと思う。
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ミュージカル"Jesus Christ Supersta"の副読本として、買ったものの長い間積読だったものをようやく読了。判りづらい箇所はあったが、聖書とは何か、キリストとはどんな人物なのか、知ることが出来ました。少しずつ、遠藤周作を軸にキリスト教について読み進めて行きます。
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よくわからなかったので評価なし。それなりに面白さ(funnyではなくinteresting)はあった。また、読んでよかったと思う点は、キリスト教に対する幼稚な先入観が払拭されたことだ。キリスト教と縁のない人生を送ってきた私にとって、その教義などはあくまでも想像上のものでしかなく、そこではたとえばキリストはつねに絶対的に善人であり、聖書は文字どおり「バイブル」であり、信者は妄信的であった。しかし、じっさいにはキリスト教を深く信仰していることで知られている著者の遠藤周作ですら、聖書の解釈には疑義を挟み、それどころかなぜここまで神格化されているのかという、キリストという偉大なる存在それ自身についても深く掘り下げている。このような態度が信者のなかで存在するということを知っただけでも、私にとっては大きな驚きであるとともに収穫であった。キリスト以外にも、聖書に登場するさまざまな人物のエピソードについてもほとんどが初耳で、むしろ善行で知られる、道徳的な人物は少数派であるように感じる。こういう聖書の内容もまた多分に驚きであった。とかく、勉強になる1冊であった。
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遠藤氏が描く、ただ愛の人であり、すべての人の同伴者であるというイエス像がありありと心の中に立ち上ってきて、心が震えるような感動が読んだ後もずっと続いている。