死海のほとり (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.79
  • (76)
  • (73)
  • (120)
  • (7)
  • (0)
本棚登録 : 714
レビュー : 74
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123189

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 彼らは互いに会えないにしても、互いの記憶の中で、それこそ急に忘れていたねずみとの思い出が急に甦ったように、今回の死海のイエスの軌跡を辿る旅を鮮烈なまでに思い出す日が来ると思う。
    記憶の中で、彼らは互いに会い続けるだろう。
    そして、<私>はその度に彼の首にある赤黒い火傷の痕を思い出すのだろう。

  • 信仰を見失った私は、エルサレムに旅立ち、そこでイエスの足跡と生涯を辿る。なにかのきっかけになればと淡い期待を抱いてエルサレムを訪れた私だったが、そこにあったエルサレムはイエス時代から何度も破壊され、再建された街であり、イエスの足跡を追うのはほぼ不可能だった。群像、としてイエスに関係のあった人物の視点を描いた小説と現代の私が章ごとに交互に表れながら、愛と信仰の原点を探る。

    沈黙以来、久々に読書において圧倒的にキリスト教を感じた。遠藤周作の書くキリスト教はまさにわたしの奥深くに根付くキリスト教と同種のもの。作中のイエス像はかなりわたしのイエス像と近い。ナチスドイツによるユダヤ人の大虐殺と絡めて書いてあるのがとても虚をつかれた感覚。
    久しぶりに原点に戻った。信仰しているとかしていないとか、洗礼を受けているとかいないとか関係無く、やっぱりわたしにはキリスト教が必要。

  •  著者のイエスの生涯もよかったが、本書も良書である。
    イエスを主役とするイエスの時代の物語と、著者が現地で感じたことについて対談形式で進む物語と、章立てが交互に進んでいく。

     旅の中で、著者はイエスの時代に起こったことが聖書に書かれているが、それが本当にあったことなのか、それとも現実ではないのか、など友人に語りかけたりしているが、それは、著書”イエスの生涯”における、事実と真実という書き方に置き換わるのだろう。

     本書を読みながら、前に読んだ(見た)三浦綾子氏の”イエス・キリストの生涯”の美術画を片手に読み進めると、なおよいと思う。

     『神よ、なぜ、私を見棄てられました』と十字架の上で声をあげるが、それがなぜだったのか、まだ私にはわからない。色々、まだ読んでみようと思う。

  •  先に『沈黙』と『イエスの生涯』を読了していたため
     テーマに新鮮味を覚えらなかったのが個人的に残念な点。

  • 著者は聖書原理主義や三位一体を否定している(と思う)。病人をひたすら癒しながら力を持たず暴力にさらされる姿を見習うべきか、迷った。万能の力を持つイエス・キリストのイメージが打ち砕かれた。

  • 久々に読みづらかったなぁ。でもたまにはこういうのも読んでおかないとね。

  • 遠藤周作の作品を読むと、望みもしないで生れ落ちてしまったこの美しい世界でなんとか生きていくための「同伴者」としてのイエス像を描いていると思う。

  • エルサレムにキリストの面影を求めにきた作家とキリスト教を捨てた友人、そしてキリスト自身の最期の物語とを、重ね合わせながら進んでゆくお話。

    遠藤作品は、キリスト教をテーマにした作品が多いのは周知だが、西洋的なものでなく、日本の風土と習慣、そして思想にいかに昇華するか、を描いている点に私はいつも惹かれる。

    「沈黙」「侍」「深い河」と読んだが、これらにあるような一環したドラマとしての面白さはなく、淡々と、苦しいほどに綴られていくが、遠藤周作の、”キリスト教”観が、とても解る一冊だと思う。

  • ボクが買ったのは、箱入りハードカバーの上製本だ。

    周作さんでは、最も影響を受けたのがこの『死海のほとり』で、特に「アルパヨ」の章は鮮烈なイメージを受け取った。

    (この項、書きかけ)

  • 話の本筋覚えてないやー。
    だけど、キリストを特別な力を持った偉大な人物ではなく、他人に対するやさしさのあるごく普通の人間として描いていたのが良かった。

著者プロフィール

遠藤 周作(えんどう しゅうさく)
1923年3月27日 - 1996年9月29日
東京生まれ。父親の仕事で、幼少時代を満洲で過ごす。帰国後にカトリックの洗礼を受けた。1941年上智大学予科に入学したが、中退。慶應義塾大学文学部仏文科入学・卒業後、カトリック文学を学ぶためにフランスへの留学。帰国後の1954年『アデンまで』を発表し小説デビュー。1955年『白い人』で芥川賞を受賞し「第三の新人」として脚光を浴びた。
1958年『海と毒薬』で第5回新潮社文学賞及び第12回毎日出版文化賞、1966年『沈黙』で第2回谷崎潤一郎賞、1979年『キリストの誕生』で第30回読売文学賞評論・伝記賞、1980年『侍』で第33回野間文芸賞などそれぞれ受賞。1995年に文化勲章を受章している。
上記受賞作のほか、1993年刊行『深い河』もキリスト教と日本人をテーマにした代表作と見なされており、映画化された。60年代以降「狐狸庵山人」(こりあんさんじん)を名乗り、様々なエッセイを記した。数々の作品が欧米で翻訳され高い評価を受けており、存命中ノーベル文学賞候補だったこともよく知られている。

死海のほとり (新潮文庫)のその他の作品

死海のほとり 単行本 死海のほとり 遠藤周作
死海のほとり Kindle版 死海のほとり 遠藤周作

遠藤周作の作品

ツイートする