王妃マリーアントワネット(下) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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感想 : 108
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123226

作品紹介・あらすじ

フランス革命によってヴェルサイユ宮殿の栄華は過去のものとなった。貴族たちは財産を奪われ、特権を剥奪され、次々と裁判にかけられる。王と王妃の処刑を要求する民衆の声は、日増しに高くなって行く。激しい愛を胸に秘め、フェルセンは王妃救出を必死に画策するのだが-。苛酷な運命の中、愛と優雅さとを失うまいとする悲劇の王妃の生涯を、円熟の筆に描き出す華麗な歴史絵巻。

感想・レビュー・書評

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  • 悲劇の時間へ…の一冊。

    上巻から息つく間もないぐらいに彼女のあの悲劇の瞬間までが刻一刻と綴られ刻まれていく。


    財政破綻からの群衆の苦しみ。

    その憎悪の吐け口を探し、革命という名の狂気にしか見えない残虐な行為に時代とはいえ人間の怖さを感じた。

    断頭台に上がるまで、彼女の心を嘘偽りなく全て晒されるかのような見事な描写は圧巻。

    最後まで国王と国王妃だった証ともいうべき、美と優雅という鎧を纏い階段を上がる姿、この世での最後の言葉まで息を呑むほど。

    喚声と拍手から一転、静寂に包まれた広場。
    それは彼女の人生そのもの。

  • マリー・アントワネットと言えば、子供の頃に見たアニメ「ベルサイユのばら」での印象が強かったが、今回改めて遠藤周作の本を読んでみて、今までのイメージと似ているところ、違っていたところ、それぞれ色々あって面白かった。無邪気な姿を見せる一方、皇太子妃そして王妃として誇り高く振る舞い、品位や威厳を重んじる姿は、ベルばらと似ていると感じた。一方で、自ら策略家となり、戦争を起こすことも厭わないというある種の強さ・強引さは、読みながら新鮮に感じた。最後にマルグリッドだが、彼女の感情の動きは、人間に普遍的とも言えるように思った。自分より遥かに恵まれた人間への、時に激しい嫉妬という醜い感情、しかし一方で、純粋で正義感の強いアニエス修道女を、心から信頼できる真っ直ぐな心も持ち合わせている。マルグリッドをみていると、まるで「自分のことだ」「あの人のことかも」としばしば思う所以だろう。

  • 絶対王政のツケをすべて払わされた不幸な国王ルイ16世とその家族。革命本を読めば読むほど、彼らへの同情が増す。
    慶喜のように絶対恭順を貫く将軍にも感心したが、最後まで王家の誇りを失うことなく散った王妃にも胸打たれた。
    劣悪な社会に対する反動とはいえ、狂った民衆による衆愚政治が怖すぎる。
    「白い人」の主人公よりはマシだが、マルグリットの加虐心には辟易した。

  • 歴史小説の中では断トツで好きな一冊です。
    初めて読んだのは学校の授業でフランス革命を学んだ直後で、遠藤周作は革命のさ中にフランスに居てその目で見たことを小説にしているのではないかと錯覚するぐらいのリアルな描写とドラマチックな展開に感激し夢中になって読んだ記憶があります。
    物語の終盤、アントワネットが最期に口にする「ごめん遊ばせ」「うっかり、いたしましたのよ」の言葉に彼女の王妃としての誇り、気高さ、優雅さの全てが集約されているように感じました。

  • 首飾事件の帰結から、マリー・アントワネットの処刑まで。フランス革命の混乱に翻弄された人生。何度も逃走し、全て失敗して最後は運命を受け入れたというのは初めて知った。終盤は妻として、母としての心理描写が多くて読むのが辛かった…。創作も一部あるけど、基本的に史実に基づいてるので教養として読んで良かった!

  • まるで今の日本。無知で無能なアホバカ首相。我々の税金を私的に勝手に使いまくるその妻。そして全てにおいてレベルの低い一般大衆。違うところは、人が良く善意のルイ16世に対してアホバカだけでなく性格最悪で腹黒い我が国の首相。気品があり美しい王妃に対して下品で醜い首相の妻。無気力で他人事の日本国民に対して血の気の多い第三身分のアホども。
    フランス革命は明らかにやりすぎであのうす暗いコンシェルジェリーに幽閉されていた王妃に同情するが、日本の革命は徹底的にやれば良い。早く起こらないかな…

  • 下巻はフランス革命がいよいよ始まる。市民の暴動や貴族たちの特権はく奪など、革命に向かうそれぞれの立場での情景が描かれている。14歳で異国から嫁ぎ、37歳で断頭台の露と消えたマリーアントワネット。統率力のない王へのいらだち、貴族たちの策略、裏切り、ひそかな愛…なんと波乱に満ちた短い人生だったのだろう。フランスの財政難を理解できなかった王妃は湯水のように公費を使う。そして、その贅沢三昧は、やがて恨みから国民の暴動へと発展。今や歴史を代表する悪女のレッテルを貼られた王妃だが、その行動の中に、心から楽しんでいるわけではない、何かとても暗い孤独を感じた。晩年の生活を読み進むとさらにその印象が一転する。心から王を愛し、子供たちを溺愛するひとりの妻、母であった。そして断頭台に立つ瞬間までエレガントさと気品を失わなかった美しい女性であった。

  • 普通の人間の物語、なのに時代や立場に飲まれてなんともやりきれない悲しい物語になってしまった。勝者はいないし正解もなく、でも残した足跡から後世の人は色んな思いを抱いたり。歴史てすごい。面白かった。

  • 史実通りではない部分も多いようですが、概ね史実に基づいて描かれている事もあり、これが現実に行われた事かと思うと胸が締め付けられる想いを感じる。
    フランス革命までの華やかなフランスの貴族社会やフランス革命さ中のフランス国内の情勢などは、日本の歴史の授業では第1次世界大戦の方に重点をおかれるのでなかなか詳しいことを知る機会がないので、こういう物語を通して歴史を知るいい機会になると思う。

  • マリー・アントワネットがフランスに嫁いでから、最期までの物語。
    彼女と、彼女に似た孤児、マルグリットとの2つの視点から描かれたもの。
    2人の運命も考え方も読んでて辛かったなぁ。
    運命をなんとなく感じながら、改善できないマリー・アントワネットも、
    そんな彼女を初めて見た瞬間からひどく憎むマルグリットも。

    ストーリーは辛かったけど、文章は読みやすくて、さすがだなぁ。

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著者プロフィール

作家。1923年東京生まれ。慶應義塾大学仏文科卒業。フランス留学を経て、1955年『白い人』で第33回芥川賞受賞。1958年『海と毒薬』で新潮社文学賞・毎日出版文化賞受賞。1966年『沈黙』で谷崎潤一郎賞、1980年『侍』で野間文芸賞、1994年『深い河』で毎日芸術賞を受賞。1995年文化勲章を受章。1996年、73歳で永眠。

「2023年 『自分をどう愛するか<生活編>幸せの求め方 ~新装版~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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