王妃マリーアントワネット(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.75
  • (118)
  • (134)
  • (216)
  • (10)
  • (0)
本棚登録 : 1015
レビュー : 93
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123226

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • フランス革命の入門書として最適ではないか。

  • 「人は罪なきものとして王たりえない」

    これはルイ16世を死刑にするために、ある政治家が言った言葉である。
    歴史の流れはルイ16世を反革命と封建制度の象徴として、どうしても生贄にせねばならぬと考えた。たとえ彼が一人の人間としては無害な国王だったとしても、国王であったゆえに裁かれなければいけないということだ。

    時代にはなかなか逆らえないものだということは何となくわかる気はする。
    だって、僕が生きていく時に人生をどう選択していくとどういう未来が待ってるなんてことは当然わからないから。
    いかに聡明な人であったとしても未来は見えないものであるし、だからどんな選択をしたとしてもその段階では同じ意味しか持たない。それが正しい選択であったか間違った選択であったかが分かるのは後々になってからなのだから。
    マリーアントワネットは本当に傲慢な人だったのだろうか。それとも、良い人であったのだろうか。
    生まれた時代が悪かった。生まれた身分が悪かった。そんなことを言うのは簡単だけど、その時代にはその時代の、その身分にはその身分の人なりの苦しみや楽しみがあるものであるし、ある人たちにとっては常識のことが他の人たちにとっては非常識であることもよくあることだ。
    それによって、革命が起こったとしてもそれは仕方がないことなのことなのかもしれない。だけど僕にはその時どうすれば良かったなんてことはわからない。
    なぜなら、何が正しくて何が悪いかをその時に正しく判断できるということは、ある意味非常識でもあるのだから。革命を起こすのはいつでも、前の制度でいう罪人なのだから。
    だけど、この小説に書かれたマリーアントワネットのように、遅くはあったけど、だんだんと人間らしい部分が現れてきた人を悪く言うことはとてもじゃないけどできない。だって、人は罪なきものとして生きえないのだから。


    P.188 フェルセンに宛てて
    「わたくしにはあなたのほか、相談する友はおりません。そしてわたくしは自分がこれから夫にかわって闘わねばならぬと思っています。おそらくわたくしは負けるでしょう。負けると知っても戦わねばなりません。」

    P.354 エリザベート内親王に宛てて
    「あの子たち二人が、わたくしが彼らにたえず教えた事を忘れないでほしいと思います。それは人生で一番大切なことは、自分の主義を守り、自分の義務を果たすことだということです・・・・・・娘がいつも弟を助けて行かなくてはならぬと感じてい欲しいのです。息子は彼が決して私たちの死の復讐をしないよう、彼のため亡夫の言葉を繰り返して述べておきます。」

  • アントワネットにまったく共感できない。なんでさっさとギロチンにかけないんだろうともどかしかった。
    わざとそういう面を描いて、王妃と一般民衆の感覚の違いを浮き彫りにしているのかな・・
    それにしてもいらいらした。

  • 下巻。
    シスター・アニエスが好きだったのになぁ…。

  • マリーアントワネットがどうしようもなく好きになりました。
    なんだかんだ言われているけど、やっぱり王妃だけあって、気丈さに尊敬。
    映画のマリーアントワネットもよかったよ。キルスティン・ダンストが好きになった。

  • 真相は誰にもわからない。
    けれども、この解釈があっていいと想う。
    歴史的文書から王妃の心情や、作者の解説は奥が深く視野が広い。

    マリー・アントワネットの生涯とともに、
    フランス革命、
    フェルセン公と王妃の悲恋も描かれている。

    フランス革命の本質をしっかり描いている。
    遠藤周作の力作。

  • (下)の方がテンポが良かった。もうかつての豪華な生活はなく、ほとんど幽閉されっぱなし。でも逃亡しようとする場面は本当に緊張した。終わりに近づくにつれてマリーアントワネットがかわいそうになってきた。民衆よりむしろアントワネットを応援してた。

  • これまた上巻は素早く読んだのに下巻、だんだん気持ちが重くなってきてだいぶ放置していた本。実在の人物に架空の人物を織り交ぜ、今そこにいるかのような存在感を持たせるあたり、さすが遠藤周作作品という気がする。民衆の集団心理の恐ろしさ、そして運命の歯車が狂っていく恐ろしさをひしひしと感じた。

  • マリー・アントワネットの生涯に
    架空のマルグリット、アニエス修道女を
    投入してくるあたりがさすが。

    おもしろい!

  • せっ・・・戦争嫌だー!!!!(ぶるぶる)<br>私としては、コレすごい反戦小説になった気がします。<br>マリー・アントワネットを描いてる小説なんだけど、むしろそれ以上に血におぼれていく民衆の描写が強烈。<br>遠藤さん、好きと言いつつそんなに読んでないんだけど、一貫して人間の弱さ、主義主張の頼りなさを描いてるのねー。<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4101123160%3ftag=ieiriblog-22%26link_code=xm2%26camp=2025" target="_blank">イエスの生涯</a>にしても<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4101123152%3ftag=ieiriblog-22%26link_code=xm2%26camp=2025" target="_blank">沈黙</a>にしても<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4101123020%3ftag=ieiriblog-22%26link_code=xm2%26camp=2025" target="_blank">海と毒薬</a>にしてもそうだもんなー。<br>マリーちゃんは普通にカッコいいんだけど、例えばミュージカルのエリザベート好きな人とかにもいいんじゃないかな。<br>そうそう、そんでミュージカル先に見てたもんで、マルグリットちゃんの設定とかには驚きました。え・・・最後までこのまんま・・・?むしろアニエスとかのが目だってるやん!がんばってるやん!<br>でも私としてはやっぱり民衆だなあ。うえーん。最近の日本はどうも戦争に対してイケイケムードになってきてるので、みんなもっとこういう本を読んで欲しいよ。ナチスとかならみんな無責任に非難できちゃうんで、もっとフランス革命について勉強しようよ!<br>外からの脅威ももちろん怖いけど、内からの脅威はもっと怖いよー!!

全93件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

遠藤 周作(えんどう しゅうさく)
1923年3月27日 - 1996年9月29日
東京生まれ。父親の仕事で、幼少時代を満洲で過ごす。帰国後にカトリックの洗礼を受けた。1941年上智大学予科に入学したが、中退。慶應義塾大学文学部仏文科入学・卒業後、カトリック文学を学ぶためにフランスへの留学。帰国後の1954年『アデンまで』を発表し小説デビュー。1955年『白い人』で芥川賞を受賞し「第三の新人」として脚光を浴びた。
1958年『海と毒薬』で第5回新潮社文学賞及び第12回毎日出版文化賞、1966年『沈黙』で第2回谷崎潤一郎賞、1979年『キリストの誕生』で第30回読売文学賞評論・伝記賞、1980年『侍』で第33回野間文芸賞などそれぞれ受賞。1995年に文化勲章を受章している。
上記受賞作のほか、1993年刊行『深い河』もキリスト教と日本人をテーマにした代表作と見なされており、映画化された。60年代以降「狐狸庵山人」(こりあんさんじん)を名乗り、様々なエッセイを記した。数々の作品が欧米で翻訳され高い評価を受けており、存命中ノーベル文学賞候補だったこともよく知られている。

王妃マリーアントワネット(下) (新潮文庫)のその他の作品

遠藤周作の作品

ツイートする