王妃マリーアントワネット(下) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 93
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123226

作品紹介・あらすじ

フランス革命によってヴェルサイユ宮殿の栄華は過去のものとなった。貴族たちは財産を奪われ、特権を剥奪され、次々と裁判にかけられる。王と王妃の処刑を要求する民衆の声は、日増しに高くなって行く。激しい愛を胸に秘め、フェルセンは王妃救出を必死に画策するのだが-。苛酷な運命の中、愛と優雅さとを失うまいとする悲劇の王妃の生涯を、円熟の筆に描き出す華麗な歴史絵巻。

感想・レビュー・書評

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  • 歴史小説の中では断トツで好きな一冊です。
    初めて読んだのは学校の授業でフランス革命を学んだ直後で、遠藤周作は革命のさ中にフランスに居てその目で見たことを小説にしているのではないかと錯覚するぐらいのリアルな描写とドラマチックな展開に感激し夢中になって読んだ記憶があります。
    物語の終盤、アントワネットが最期に口にする「ごめん遊ばせ」「うっかり、いたしましたのよ」の言葉に彼女の王妃としての誇り、気高さ、優雅さの全てが集約されているように感じました。

  • 下巻。フランス革命が始まってからの疾走感が凄まじい。人間の狂気をえぐるように、しかしあくまでも宗教的に描く、遠藤らしい作品だった。
    歴史の痛みを垣間見たような感覚だった。そんな史実の上に立つ我々だと、痛々しいほどに感じ、考えざるをえない時間を得た。

    13/5/16

  • 下巻は首飾り事件とその後のフランス革命、王妃たちの逃亡、そして最期までです。
    ベルばらではこの逃亡計画から最期までがわりとあっさり描かれてて、詳しくはあんまり知らなかったので、今巻は私的に読みごたえがありました。

    私はやっぱり同じ女としてマリー・アントワネットには同情するし、尊敬もするなと思いました。
    王妃としてはダメなとこもいっぱいあるし、もっと国民を見てたら違うフランスが今あったのかなとは思うけど、王妃としての誇り高さはすごいです!

    上巻は、ふーん、そうなんだ。みたいな感じてただ読み進めていくだけだったけど、下巻は何度も感動できるとこがあって良かったです。

  • 世界史好きにはたまらないなぁ。授業で習った歴史上の人物がたくさん登場です。

    誰かの血が流れなければ時代の流れって変えることはできないのかな。それはフランス革命に限らずです。フランス革命では王と王妃以外にも多くの血が流れているんです。2人の死をもってフランス革命というわけではないと改めて感じました。
    マルグリットが認めた人格者のアニエスの処刑。革命とは何か。彼女の最期の言葉がすべてだったように思います。
    日本だって軍国主義から民主主義に変わるまでにどれほど多くの命が失われていったんだろう。もちろんあたしも含めて今生きている人達はそれを忘れてはいけないし、学ばなくてはいけないと思いました。

    血なまぐさい後編の中で国王一家の絆にほっとしました。
    ルイ16世は王妃と子供たちを愛していたし、マリーも国王と子供たちを愛していた。もちろんフェルセンには惹かれていたのかもしれないけれど、常にルイ16世の妻である王妃としてあり続けた。
    読み応えのある作品だったと思います。

  • 御園座でのトークショーで吉原光夫さんが読んだと言っていた原作。オルレアン公爵は1か所しかなかった。4回見たミュージカルなんで,脚色すごくて。

    マリーアントワネット,確かに暗い話でしたが
    残酷な部分はオブラートに包んだ感じでした

    図書館さん,ほんとごめんなさい。明日返します

  • 東宝ミュージカルの原作という事だが、舞台の内容と全然違う
    マルグリッドは最後まで裏稼業の人だった…だから違和感だったんだな。舞台も本もそれぞれに面白い。アントワネットが最後まで気品と優雅を忘れずにいたのは感動的だった

  • ちょうど幽閉されたシャルルを描いた絵画を観た後で
    興味があったところ同僚に勧められて読んだ本。
    フィクションを含めた歴史小説。
    堅苦しさがなくとても読みやすかった。
    お陰様でフランス史に興味が出てきたので
    他も当たってみようと思う。

  • 意外だったのがアントワネットを救出しようとする画策がかなりあったこと どれも失敗に終わるけど
    遠藤周作さんは「時代の流れには逆らえない」ことをリアリティを交えて描くという作風なのかな?侍でもそうだった

    個人としてでなく王妃として絶対王政の悪の側面の象徴として殺されるアントワネット 集団心理とか個人の自由とか貧困とかとにかくさまざまな思想と民衆の感情とが行き着いた先に処刑があった あくまでそういう面から見ると王妃はフランス革命の犠牲者なんだよね

    死刑直前も自身の気高さを忘れない、王妃として生まれ王妃として死ぬアントワネットの人生を追体験してしまった 私は私で死ぬときなにを思うのだろうね

  • 物語はあまりにも有名な悲劇に向かってどんどん進んでいきますが、悲惨な状況でも誇りを失わないマリーは輝きを増していきます。しかし革命の残虐描写が意外とキツいので、「ベルばらが好きで」という方は要注意です。またこれを下敷きにした帝劇版とも細部がかなり違います。観劇後に同じものを期待して読むとショックを受けるかもしれません。読了後、軽いトラウマになりました。

  • 転落の象徴的逸話である首飾り事件の余波で民衆のアイドル的存在から憎悪の対象へ一変し公開処刑に至るまでを描く。気まぐれで移り気な民衆の怖さ、それでも貴族としての立ち振舞を意識し愛と優雅さに生きるアントワネットの姿が印象的だ。徹底的な悪政のイメージが強いルイ16世だが、王と王妃は囚われ逃亡しながらの何度も救出が試みられることから貴族社会からはそれなりに支持があったことが窺える。

    搾取された民衆に同情すべきであるが、万策尽き刑宣告まで幽閉され疲弊しながら衰弱するアントワネットのさまはなんともいたたたまれない。ギロチンによる公開処刑直前、執行人の足を踏み一言「あらごめんあそばせ」、最後まで気品ある態度で臨んだオーストラリア出身の王妃の象徴的エピソードである。

  • パリ行きの飛行機の中で何とか読み終わりました。
    彼女に関してはいろいろ逸話がありますが、こちらは良い人に描かれています。
    時代背景も興味深く、生まれたときから運命づけられたかのような翻弄された人生は切ない気持ちになりました。
    個人的にはこの本の通り、魅力的な人だったんだろうなと思います。

  • 首飾り事件~バスティーユ陥落~ヴァレンヌ逃亡事件。王家がかわいそうで、途中で読むのをやめてしまった。


    フェルセン伯爵の活躍が際立ち始める。マリー・アントワネットに最後まで献身したスウェーデン出身の貴族。
    (世界のすべてが、あの方を裏切ろうと)
    (私はあの方を忠実に守り続けよう)

  • 下巻はフランス革命がいよいよ始まる。市民の暴動や貴族たちの特権はく奪など、革命に向かうそれぞれの立場での情景が描かれている。14歳で異国から嫁ぎ、37歳で断頭台の露と消えたマリーアントワネット。統率力のない王へのいらだち、貴族たちの策略、裏切り、ひそかな愛…なんと波乱に満ちた短い人生だったのだろう。フランスの財政難を理解できなかった王妃は湯水のように公費を使う。そして、その贅沢三昧は、やがて恨みから国民の暴動へと発展。今や歴史を代表する悪女のレッテルを貼られた王妃だが、その行動の中に、心から楽しんでいるわけではない、何かとても暗い孤独を感じた。晩年の生活を読み進むとさらにその印象が一転する。心から王を愛し、子供たちを溺愛するひとりの妻、母であった。そして断頭台に立つ瞬間までエレガントさと気品を失わなかった美しい女性であった。

  • 普通の人間の物語、なのに時代や立場に飲まれてなんともやりきれない悲しい物語になってしまった。勝者はいないし正解もなく、でも残した足跡から後世の人は色んな思いを抱いたり。歴史てすごい。面白かった。

  • 「マリー・アントワネット」も、作家によって盛り込むエピソードが違うから、読めば読むほど勉強になる。
    この作品も読みやすく丁寧に書かれているけど、淡々とした感じ。

  • 自分の過酷な運命を受入れ、潔く死地に赴くマリー・アントワネット。幽閉生活の中で彼女は何かを学び、死を静かな心で受け入れる境地に至ったのだ。

  • ・読んだ動機は、自由主義を考えるにあたり、古典的自由主義が発生した時代背景を感じてみたかったこと。
    ・特権階級の優雅さと平民の苦しさはある程度表現されていたので、概ね満足。この格差が不満を募らせる、革命の要因になったことが伝わってきた。
    ・古典的自由主義は、特権階級による圧政からの自由であることが具体的にイメージ出来た。
    ・革命後の平民の狂暴さと残忍さがよく描かれていた。
    ・一般的に革命を起こしたあとの混乱をどう治めるかは、革命前に考えておかなければいけないが、革命が考えている以上の自体に発展するために上手く行かないという構図が見えた。
    ・マリーアントワネットの死までが描かれているが、フランス革命という点ではまだ先が長い。

  • マリー・アントワネットは、フランス王妃。14歳で結婚し、37歳でギロチン死刑となるが、フランス革命は王妃のお金遣いが荒いせいだけではなく、軍事費(アメリカ独立革命に干渉してのこと)によって財政の苦境に見舞われた。王妃のスキャンダルもあったが、実際は王だけで浮気はしていない。スウェーデン人ウェルセン伯爵とはプラトニックで終わっている。どんなに辛くても、王妃としての優雅さを忘れず死刑のときも保っていたという。

  • 当時の雰囲気が伝わってきました。ボリュームを感じさせない内容でした。

  • 史実通りではない部分も多いようですが、概ね史実に基づいて描かれている事もあり、これが現実に行われた事かと思うと胸が締め付けられる想いを感じる。
    フランス革命までの華やかなフランスの貴族社会やフランス革命さ中のフランス国内の情勢などは、日本の歴史の授業では第1次世界大戦の方に重点をおかれるのでなかなか詳しいことを知る機会がないので、こういう物語を通して歴史を知るいい機会になると思う。

  • 【後編4‐3 政治経済および思想の成熟期】
     フランス革命前夜からその顛末を、王妃マリー・アントワネットと娼婦マルグリッドの両方の視点から追いかける。カイン型人生観の一つの集大成として起こったのがフランス革命。人類の自由史において消すことの出来ない華々しい一ページを飾ったこの革命であるが、その背景にある人々の感情、時代の軋みを見つめると、その大輪の根が吸い上げるのは、時代において流されてた人々の涙と鮮血である。
     最高の栄華を極めたブルボン朝ルイ14世の時代から、急激に陰りを見せ始めたルイ16世の世が舞台である。フランスの第三階級は明日食うパンにも困窮し、空腹は憎悪に満たされ始める。人々は徒党を組みその血走った眼は国家の転覆を夢見る。ベルサイユ宮殿で金と権力と愛憎の茶番に没する王侯貴族にはそんなことは露知らず、王と王妃に至っては、自身が国民に愛されていると信じてやまない。国民の願いは王族が美しくいること、優雅でいること、それこそが自らの義務だと信じてやまない。
     そしてバスティーユ牢獄襲撃、革命の狼煙である。ベルサイユ宮殿を襲う黒い濁流。手に手に武器を持ち、聞かざる白い人々を打ちのめす。そしてギロチンが無機質に落下する。世界の自由はこのように奪取されたのだ。それだけは事実である。

     これを読むと、歴史とは人の生涯の集まりであるのだと、胸に刺さるような思いがよみがえる。

  • マリー・アントワネットがフランスに嫁いでから、最期までの物語。
    彼女と、彼女に似た孤児、マルグリットとの2つの視点から描かれたもの。
    2人の運命も考え方も読んでて辛かったなぁ。
    運命をなんとなく感じながら、改善できないマリー・アントワネットも、
    そんな彼女を初めて見た瞬間からひどく憎むマルグリットも。

    ストーリーは辛かったけど、文章は読みやすくて、さすがだなぁ。

  • 首飾り事件以後から彼女の最期まで。淡々と最後まで書かれている。ソフィア・コッポラ監督の「マリー・アントワネット」は華やかな部分が多く描かれてたけど、こちらは暗く重い部分が多い。こちらの方が、より、彼女の芯の強さだとか誇りだとかが強調されていた。マルグリットは民衆を代表するような存在でピリリと光る。マリー・アントワネットが処刑されたときの涙がすごく印象的。

  • 4101123225 389p 1987・11・15 10刷

  • 上巻に記載

  • フランス王室の華やかさを描いた上巻とは打って変わって、下巻ではアントワネットの環境が血と死の匂いに染まっていく。

    面白いのは敬虔な修道女であり、神は貧しい人々を救済するはずだという信念の下革命に参加し、革命に付きまとう人々の血への死への渇望と熱狂を誰よりも嫌悪したアニエスのモデルは実際には「暗殺の天使」と呼ばれた人物、シャルロット・コルデーであった事。最後には事故によるマラー暗殺で断頭台に送られたアニエスであるが、断頭台に消えゆく暗殺者コルデーが信じられない程毅然とし、愛らしくいられたという史実も作中のアニエスの人物像を考えれば納得できるものであり、作者の深い史実理解と創作の巧さを感じた。

  • マリーアントワネットといえば悪女の代名詞くらい思ってたけど、
    これを読んだら考えが変わった。
    それにしてももっと堅苦しい本かと思ったら意外と読みやすくてびっくり。

  • 度重なるフェルセンの脱走計画に対して彼女が運命だから、と言ったのはある種の諦念を持ちえるだけの月日が経ったのだろう。
    カペーが息子と最期に別れる時にも、こうなったことを恨んではならないと釘を刺していたのも彼女と同じ気持ちだったからなのだ、きっと。
    歴史小説は、結末がわかっているだけに、至るまでが苦しかった。

    歴史の授業で習えば、単なる暗記事項のひとつにしか過ぎないけれど
    本当は小説で登場人物が様々なことを繰り広げたように、連続した事象の上に成立している。
    それを痛感したし、感じさせるだけの精緻な文章力。面白かった!

  • 最後は断頭台で命を絶つという、アンハッピーエンドの本を読むということに抵抗が有ったのですが、以前から気になっていたので読みました。

    読み始めたら、描写の分かり易さと、軽快な物語の展開に、あっと言う間に下巻まで読み進めてしまいました。

    マルグリットや修道女アニエスは架空に人物らしいですが、それ以外にこの時代に活躍した様々な人を題材にして、どうマリーアントワネットに関ったかを具体的に描いており、全てが彼女の破滅へと繋がっていくところが読んでいて圧巻でした。

    王様のルイ16世が処刑されるシーンや、民衆が罪の無い貴族を虐殺するシーンなどちょっと心が痛みますが、とっても勉強になりました。これで、次回フランス旅行に行った際は、街の見方が随分変わりそうです。。

  • フランス革命によってヴェルサイユ宮殿の栄華は過去のものになった。
    貴族たちは財産を奪われ、特権を剥奪され、次々と裁判にかけられます。

    王と王妃の処刑を要求する民衆の声は、日増しに高くなっていく。

    激しい愛を胸に秘め、フェルセンは王妃救出を必死に画策するのだが...

    苛酷な運命の中、愛と優雅さとを失うまいとする悲劇の王妃の生涯を、円熟の筆に描き出す華麗な歴史絵巻となっています。

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著者プロフィール

遠藤 周作(えんどう しゅうさく)
1923年3月27日 - 1996年9月29日
東京生まれ。父親の仕事で、幼少時代を満洲で過ごす。帰国後にカトリックの洗礼を受けた。1941年上智大学予科に入学したが、中退。慶應義塾大学文学部仏文科入学・卒業後、カトリック文学を学ぶためにフランスへの留学。帰国後の1954年『アデンまで』を発表し小説デビュー。1955年『白い人』で芥川賞を受賞し「第三の新人」として脚光を浴びた。
1958年『海と毒薬』で第5回新潮社文学賞及び第12回毎日出版文化賞、1966年『沈黙』で第2回谷崎潤一郎賞、1979年『キリストの誕生』で第30回読売文学賞評論・伝記賞、1980年『侍』で第33回野間文芸賞などそれぞれ受賞。1995年に文化勲章を受章している。
上記受賞作のほか、1993年刊行『深い河』もキリスト教と日本人をテーマにした代表作と見なされており、映画化された。60年代以降「狐狸庵山人」(こりあんさんじん)を名乗り、様々なエッセイを記した。数々の作品が欧米で翻訳され高い評価を受けており、存命中ノーベル文学賞候補だったこともよく知られている。

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