女の一生〈1部〉キクの場合 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 77
  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123233

感想・レビュー・書評

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  • 2018.05.29再読しました。

    前回この作品を読ませていただいた時は、お借りしていた本にもかかわらず、泪が止まらなくてページをぬらしてしまいました。まさに自分にとって人生の教科書になる作品だったので、今回は泣かないように再読を試みましたが…
    ムリでした(TT)

    浦上四番崩れ。
    今からわずか145年前までこんなにも酷い事が行われてたんですね。

    何回読んでもキクの美しい愛と心に感動します!
    そして、「女の一生」、「沈黙」を読んだ時にも深く考えさせられる神の存在。
    神は存在するのか?カタチはあるのか?と言う事。

    わたくしの勝手な考えなのですが、神ってその人の人生なのではないか?と思うんです。その人がどうやって生きてきたか、によって神の存在を知る人、知らない人がいて、カタチを創る人創らない人もいて。
    たぶん、その存在を信仰できる方たちはとてもステキな人生の持ち主なんだと思います。

    キクもきっと人生という神様に出会えたのではないでしょうか。
    決して汚れのない美しい人生だったと思います。

  • 幕末から明治維新に向かう日本で、禁教のキリスト教を隠れて信仰してきたキリシタンが、迫害され流刑される浦上四番崩れを描いた作品。
    これは宗教の自由や信仰の自由を認める上で歴史上重大な出来事を、キリシタンの青年、清吉を想うキクの一生とともに書ききった名作と言える。
    キリスト教を禁止にするには、日本古来の公序良俗が乱れるという恐怖感に始まるが、当時はそれを許容する度量は日本にはなかった。だから鎖国したのだが、その間200年にも渡って受け継がれた。逆に言えばそこまで続けば、棄教する方が難しいのか。
    日本では今、性的少数者の権利を法的に認めるかどうかの議論をする土壌ができつつある。ほんの100数十年前にキリスト教が認められた時と似た状況でもある。なぜなら性的少数者を認めると日本の家族観が損なわれたり、男性と女性が結婚できるのは子ども作る権利を持つというデリカシーのないことを言う人もいるからだ。それは違うだろう。結婚という行為は、契約論だから。倫理観を保つことにはつながるし、人間の尊厳に関わる。
    折しもキクは、汚れなき身体を、愛する清吉を助けるために、伊藤に捧げた。あの時にキクは清吉の妻にはなれないと覚悟し、白い泪を流した。これこそ人の愛であり、愛する気持ちがあれば性的少数者も関係ないはずだ。
    そういう大義をキクの死ぬまで清らかな心が教えてくれる。

  • 何回読んでも色褪せない感動があります。

    これほどまでに見返りを求めない愛はすごい。
    初めて泣きすぎて胸がつまりました。

  • 何度も読んで、何度も泣いた。

    この人の作品は、なぜこうもありありと情景が思い浮かぶんだろう。

  • 内容
    長崎の商家へ奉公に出てきた浦上の農家の娘キク。活発で切れながの眼の美しい少女が想いを寄せた清吉は、信仰を禁じられていた基督教の信者だった…。激動の嵐が吹きあれる幕末から明治の長崎を舞台に、切支丹弾圧の史実にそいながら、信仰のために流刑になった若者にひたむきな想いを寄せる女の短くも清らかな一生を描き、キリスト教と日本の風土とのかかわりを鋭く追求する。

  • 幕末から明治にかけての長崎において、密かに信仰を保っていたキリスト教徒が弾圧された”浦上四番崩れ”という歴史的史実を、弾圧されたキリスト教徒に思いを寄せる非キリスト教徒の女性キクを主人公に描いた遠藤周作の1982年の作品。

    『沈黙』でも描かれるようなキリスト教徒への迫害の様子のおぞましさはさることながら、主人公のキクとの出会いにょり最終的に改修する迫害する側の人間の心の弱さや、明治に入り諸外国との外交関係の観点から弾圧が次第に問題視されていく様子など、様々な主題が交差する。

    それにしても、若干ステレオタイプな表現もあるにせよ、遠藤周作はこうした悲劇的な女性を描かせても巧い。通俗小説ではあるが個人的に強く印象に残っている『わたしが・棄てた・女』を思い出した。

  • 女性の尊厳を描くことで男性の尊厳を浮かび上がらせ、総じて人間の尊厳とは何か、を考えさせる。
    長崎が舞台でとても読みやすい。ただ、やはり遠藤周作は重すぎて、1冊読むと食傷してしまう。

  • 面白かった。江戸~開国の激動の時代における、キリシタンの扱い。その中でも愛を貫いて死んでいくキクの姿に感動。

  • 沈黙の映画をみて原作を読んでキリスト教の話とは違う遠藤周作の本を読んでみようと思い一番キリスト教っぽくない題名の本を選んだつもりだったんだがキリスト教の話でした。キクがかわいそうでなかなかきついお話でした。

  • キリシタンの拷問の描写が辛い。自分はこのような拷問を受けても信仰を捨てずにいられるだろうか。

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著者プロフィール

遠藤 周作(えんどう しゅうさく)
1923年3月27日 - 1996年9月29日
東京生まれ。父親の仕事で、幼少時代を満洲で過ごす。帰国後にカトリックの洗礼を受けた。1941年上智大学予科に入学したが、中退。慶應義塾大学文学部仏文科入学・卒業後、カトリック文学を学ぶためにフランスへの留学。帰国後の1954年『アデンまで』を発表し小説デビュー。1955年『白い人』で芥川賞を受賞し「第三の新人」として脚光を浴びた。
1958年『海と毒薬』で第5回新潮社文学賞及び第12回毎日出版文化賞、1966年『沈黙』で第2回谷崎潤一郎賞、1979年『キリストの誕生』で第30回読売文学賞評論・伝記賞、1980年『侍』で第33回野間文芸賞などそれぞれ受賞。1995年に文化勲章を受章している。
上記受賞作のほか、1993年刊行『深い河』もキリスト教と日本人をテーマにした代表作と見なされており、映画化された。60年代以降「狐狸庵山人」(こりあんさんじん)を名乗り、様々なエッセイを記した。数々の作品が欧米で翻訳され高い評価を受けており、存命中ノーベル文学賞候補だったこともよく知られている。

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