女の一生〈1部〉キクの場合 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 77
  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123233

感想・レビュー・書評

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  • キクの清らかさに感動。一途な愛に心打たれる。マリア様へ話しかけるキクに涙。。。

  • 「沈黙」に続く遠藤周作のキリスト教&長崎テーマの読書。

    作品自体は「沈黙」のほうが素晴らしい出来のように感じたけれど、キクという女の一生を通して、信仰や愛について描かれているだけに、より感じるものは多かった。

    キクの激しくも哀しい一生にはもちろん胸を打たれたんだけれど、伊藤とプチジャンの海辺での対話が圧巻。(むしろエピローグの津和野での懺悔が蛇足に感じた。勝手な感想だけど。)
    神は本藤よりも伊藤を愛すると。本藤のような人に神は必要ないのだというような。
    そうなのか…。本藤はすごく頑張ってるからこその成功なのにな、神様がその頑張りを見守ってくれて、幸運を与えてくれないと、割にあわなくない?なんて最初は思ったけれど、筆者の描く神はそうではないのね。救済を与えるのではなく、傍にあって苦しみをともにしてくださる。それならダメ人間ほど神に愛されるってこと?それって不公平じゃない?いやいやでも、人間は完璧じゃないんだから、本藤のような人だって弱くずるく醜い部分があるわけで、そこにおいては神がともにあって…。っていうかそもそも不公平って発想自体がおかしいような。でも…。

    「沈黙」に続いて、考えれば考えるほど、神という存在の意味が、大きく変わってくる読書。

  • キクの一生はよかった。読みづらいと思っていたけど意外と読めた。飛行機で一気読みした

  • なぜそこまで、と思わせるほどの、キクの一途な愛。清吉の一途な信仰。

    キクの気持ちは、あの時代の、女性が男性を慕う気持ちの在りかたや、現代ほど一人ひとりの世界や知識が広くないことを思えば、うなづけるものでもあります。
    あのような結果になったことは、腹立たしく悔しく悲しいけれど、キクの純真さと清廉さ故の結果であり、ある意味では仕方のないことだったのでしょう。

    一方、清吉をはじめとする切支丹たちの一途な信仰心については、個人的には理解しきることはできませんでした。

    しかし、この時代に、迫害を受けても拷問を受けてもその信仰心を捨てなかった人たちが、少なからず居たということは事実で、神の存在や、信仰心というものについて、考えさせられました。
    救われたい、というより、信じたい、ということなのでしょうか。

    人間の切ない祈りが、登場人物それぞれの形で苦しいほどに描かれていて、重く救いのない話でしたが、読んでよかったと思います。
    気軽に人に勧められる本ではないけれど、多くの人に読んでほしいですね。

  • これも読んだ記憶だけで、何も頭に残ってないなんて。

  • 一言で言うなら『凄い愛の話』。二部はパワーダウンするので読まなくて可。神を罵ることも「祈り」なのだなぁ。罵倒される日常もそう思うとちょっとラク。

  • 印象的だったのは、折々のキクとマリア像との対話(?)だ。いつも真っ直ぐで飾り気のないキクの言葉は、時に微笑ましく、時に悲しく、その一途な思いは美しい。

  • 半年くらい前に、津和野に行きまして。
    そのときたまたま立ち寄った、山奥にあるちいさな教会が、
    ずっと昔、キリスト教を棄教させようと
    集められた教会だという話を聞きました。

    まさかそのモデルになっているとは。
    この本に出てくるあの場面が、拷問のあった場所を指しているとは。
    すごく衝撃的でした。
    早くこの本を読むべきだった…

    この本、先輩Wさんからお借りしたのですが、
    そのWさんと、宗教について考えさせられる本だよね、
    という話をしました。

    宗教とは? 信じるとは? 愛とは?

    っていうのが主要なテーマかと。

    自分を信じるのってすごく大変。
    そして不安も伴うし。
    だけど、誰かがそばにいてくれたら、
    何かが支えてくれたら、
    きっと自分という人間は生きていける。
    そう思わせてくれる本です。

  • とっても大切な本。

  • 「清吉さんのためうちにできたことは……少しのお金ば作ってやったことだけ。ばってん、そんなお金のために……体ばよごさんばいかんやった」
     高校2年、修学旅行の事前学習として学校からだされた課題本のひとつ。
     もともと遠藤周作の作品はほかのキリスト関連の文学作品よりも抵抗なく読める。視点が偏っていないからだ。遠藤周作氏も洗礼をうけたキリシタンだけれど、彼の視点は第三者であり、読者に考えさせる余地を作ってくれる。なぜキクは身を売るほど清吉を愛していたか、それを踏みにじった伊藤。伊藤の二面性にみえるのは人間の本質だ。キクが一途に清吉を想う過程は、決して清らかなものではなかった。胸張り裂けんばかりの衝撃、悲痛が混じり合う。だからこそ読み進めずにはいられない作品だ。

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著者プロフィール

遠藤 周作(えんどう しゅうさく)
1923年3月27日 - 1996年9月29日
東京生まれ。父親の仕事で、幼少時代を満洲で過ごす。帰国後にカトリックの洗礼を受けた。1941年上智大学予科に入学したが、中退。慶應義塾大学文学部仏文科入学・卒業後、カトリック文学を学ぶためにフランスへの留学。帰国後の1954年『アデンまで』を発表し小説デビュー。1955年『白い人』で芥川賞を受賞し「第三の新人」として脚光を浴びた。
1958年『海と毒薬』で第5回新潮社文学賞及び第12回毎日出版文化賞、1966年『沈黙』で第2回谷崎潤一郎賞、1979年『キリストの誕生』で第30回読売文学賞評論・伝記賞、1980年『侍』で第33回野間文芸賞などそれぞれ受賞。1995年に文化勲章を受章している。
上記受賞作のほか、1993年刊行『深い河』もキリスト教と日本人をテーマにした代表作と見なされており、映画化された。60年代以降「狐狸庵山人」(こりあんさんじん)を名乗り、様々なエッセイを記した。数々の作品が欧米で翻訳され高い評価を受けており、存命中ノーベル文学賞候補だったこともよく知られている。

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