女の一生〈2部〉サチ子の場合 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 50
  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123240

作品紹介・あらすじ

第二次大戦下、教会の幼友達修平と、本当の恋をし、本当の人生を生きたサチ子の一生。

感想・レビュー・書評

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  • 内容(「BOOK」データベースより)
    第二次大戦下、教会の幼友達修平と、本当の恋をし、本当の人生を生きたサチ子の一生。

  • 遠藤周作らしいいろんなテーマがあった。
    神の沈黙が、今回は「殺すなかれ」と教えながら戦争を黙認する教会の沈黙や、「神なんていない」という救いのないアウシュビッツに変奏していた。
    神は直接の救いをもたらすわけではないが、修平の渾身の疑問を正面から受け止めて苦しげに分からないという高木牧師や、アウシュビッツに共に収容されていながら、いつもあなたのために祈っていると語るコルベ神父を通して、神の沈黙は沈黙ではないと語られている気がする。つまり、直接目に見える解決はしなくとも、苦しむ人ともに苦しむ愛なる神、のように。神のみならず人間も、他者の苦しみを前に無力だ。サチ子も修平の苦悩を前にマリア像に祈るしかできないし、ジムも長崎の不運に心を痛めながら原爆を落とすしかない。でもそこで祈ることや痛むことは無意味ではなくて、人間はつまりいつでもそういう存在を望んでいる。弱っている時、ただそこにいてともに苦しんでくれる相手を。「沈黙」「侍」と相通じるテーマで、とにかく苦しいけど深い。

  • やはり周作さんらしい救いのないお話でした。
    1部に続き2部でも大量虐殺が…

    今まで本当に上っ面の事しか知らずに生きてきた自分が情けない思いでいっぱいになりました。
    だからって自分に何が出来るのかは分からないけど、せめて「女の一生」に出会えたことに感謝して生きて行きたいです。

    P98、そは求むところなき愛なり
    p263、労働をつづけながらも…
    P347、路は悪いかわりに…
    P487~ラスト迄
    とっても心に響く言葉であったり文章でした。

    あと、長崎の方言好きだな(笑)
    大浦大聖堂にも行ってみたい!
    マリア像の前で思いっきり泣きたい!

  • かなり昔に読んだきりだった為、再読。
    前より面白かった気がする。
    キクの時と比べて話があっちこっちに行くので、サチ子に思い入れがしにくく、前は少し苦手だったところを今回は乗り越えられた。
    キクと同じくイエス様もマリア様もいちばん大切なものを助けてくれない。それでもサチ子は最後まで祈る。在るものの中から幸せを見つけて、それに対して感謝する。
    人生はこの形でいいのだと耐えていた。という言葉で遠藤周作の作品の全てに通じるものを見た気がします。
    それでも修平とコルベ神父に何か救いを見せて欲しかったな。ヘンリック等々で救われるという解釈もできますが。でもこの感じがいいんだよなー…

  • 沈黙からずっと続いてる感じがします。サチ子の話にアウシュヴィッツがどう関係しているのかはつかみ損ねてますが戦争の悲惨さは伝わってきます。

  • アウシュビッツでのコルベ神父の死のシーンは感動した。

  • 第一部の幕末・明治初期から時代は下り、第二部は第二次大戦の時代が舞台になっている。

    コルベ神父、キリスト教信仰における非戦の問題、神風特攻隊、長崎の原爆など、さまざまなエピソードが織り込まれている。

    長崎で一緒に遊んでいた3人の幼馴染。一人は信仰と戦争の問題に苦しみながらも特攻隊として戦死し、一人はその恋人として別離に苦しみ、一人はアメリカ兵として原爆投下の飛行機に乗っている、、、

    戦争の不条理をこれでもかと思い知らされる。

  •  
    ── 遠藤 周作《女の一生 2部 サチ子の場合 19860327 新潮文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4101123241
     
    (20160814)
     

  • 名作です。

  • 第一部キクの場合の続編といえなくもないけど、構成は大分違うし、わりと視点も飛んでるので物足りなく感じてしまうところもあるかもしれません。でも最後は主人公である幸子と同じようにどこか満たされない、ぽかんと穴が開いたような気分で読了しました。
    時代はキクが亡くなった時より進んで太平洋戦争時になるわけですが、戦争は良くないということがメインテーマではない。あくまで1人の女性を主人公とした物語です。それなのにアウシュビッツと日本で場面が所々飛んでしまうので、幸子の存在が薄くなりがちだったのが残念でした。前作のキクはキクのいないところでもすごい存在感だったので比べると見劣ってしまうような気がします。
    清吉と修平とを比べてもあまりに修平が幼く脳天気で鬼気迫るものがなく、何となく幸子と修平もおままごとの延長にしか見えませんでした。このあたりも時代の違いなのかなぁとも思ったり。キリスト教徒として戦争に巻き込まれていく修平の葛藤も唐突すぎてあまり伝わってきませんでした。
    アウシュビッツのコルベ神父のエピソードはまた別の一つの作品として読んでみたかったです。最後のヘンリックに希望が見えてとても良いシーンでした。どちらのエピソードももっとじっくり読みたかったというのが一番の感想です。

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著者プロフィール

遠藤 周作(えんどう しゅうさく)
1923年3月27日 - 1996年9月29日
東京生まれ。父親の仕事で、幼少時代を満洲で過ごす。帰国後にカトリックの洗礼を受けた。1941年上智大学予科に入学したが、中退。慶應義塾大学文学部仏文科入学・卒業後、カトリック文学を学ぶためにフランスへの留学。帰国後の1954年『アデンまで』を発表し小説デビュー。1955年『白い人』で芥川賞を受賞し「第三の新人」として脚光を浴びた。
1958年『海と毒薬』で第5回新潮社文学賞及び第12回毎日出版文化賞、1966年『沈黙』で第2回谷崎潤一郎賞、1979年『キリストの誕生』で第30回読売文学賞評論・伝記賞、1980年『侍』で第33回野間文芸賞などそれぞれ受賞。1995年に文化勲章を受章している。
上記受賞作のほか、1993年刊行『深い河』もキリスト教と日本人をテーマにした代表作と見なされており、映画化された。60年代以降「狐狸庵山人」(こりあんさんじん)を名乗り、様々なエッセイを記した。数々の作品が欧米で翻訳され高い評価を受けており、存命中ノーベル文学賞候補だったこともよく知られている。

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