侍 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123257

感想・レビュー・書評

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  • 藩主の命令でローマ法王に新書を渡すために派遣される三人の侍。案内するのが野心的な宣教師べラスコ。メキシコ、スペインへ苦難な旅が続く。異国の地でお役目のためキリシタンになることを迫られる侍たち。でも帰国すると日本は鎖国にキリシタン禁制。侍たちは捕らえられ・・。

    後味悪っ!と言いたくなるような結末で、救いのない話だった。ただメキシコ、スペインへの船旅は冒険旅行小説のように楽しく読めるし腹黒い野心家宣教師べラスコや派遣される侍・長谷倉の人物造形も巧く読ませる。

    遠藤周作の作品を読めば読むほど、これはキリスト教の話ではなくてキリスト教を通して日本人とは何なのか?日本って何だ?と、物語を貫く一本の軸として問い続けているように思う。「沈黙」にもそういうとこあるかな。

  • 貧乏な一人の侍が突如、殿様の命令によりメキシコへ派遣される。同行者には通訳兼神父のベラスコ。旅の途中で侍はお役目の為にキリスト教に帰依する。そして日本に帰ってきて…
    この本の最後にある解説を読んでびっくり。実話を元にしたフィクションだそうだ。大河ドラマにしたら視聴率とれるんではないか?

  • 徳川幕府が切支丹禁止令を出す頃の東北のある大名が遣わした遣欧使節団に関する事実。大海に出て世界を見てきた「侍」が数年後、日本に帰国して待っていた運命とは。もの悲しくもあり、人間とは?信仰とは?を問いかけられる。

  • 今年は、支倉常長らの遣欧使節団が旅だってから丁度400年。支倉(本作では長谷倉)やソテロ(本作ではベラスコ)をモチーフとした本作は、2人が諦めの心境の中でキリスト信仰に真に目覚めるまでの心の旅を描いているが、実は、著者の実体験がベースになっているとのこと。「沈黙」よりも分かりやすく、面白かった。

  • 『沈黙』に触発されておそらく初読、個人的には『沈黙』には及ばないかな。
    こちらの作品は主人公が二人設定されており、それぞれのストーリーが紡がれているため若干冗長な感がある。
    日本人にとっての自己とは何か?という考察、非常に興味深い。
    ヨーロッパはキリストという絶対的な客体との関係の中で自己を捉えるが、日本は家族・地縁・上司等客体であって客体でもない人間関係の中に自己認識の基盤がある。
    これは決定的な相違であり、だからこそ侍達には絶望が、パードレには(あくまでパードレ自身にとってだが)希望が最後に待ち構えている。
    侍達の境遇は現代日本の何処にでもありそうな話、つまり日本人の精神性はなおも変わっていないというこれもある意味悲しい話でもあります。

  • 重い、暗い話だ。
    宗教と自分の虚栄心、また社会制度の中で揺れ動く主人公達。
    真面目だ。
    神なのか家なのか、自分の屋台骨となる信念を持っている人たちはすごい。現代人にはあまり無い感覚だ。

  • 権力に翻弄された庶民の数奇な運命。。
    この話は知ってましたが、ここまでだったとは…。
    この作家の誠実さは、尋常ではない。

  • ベラスコ(ルイス・ソテロ)の烈しさはどこからくるのでしょうか。支倉常長の思いと慶長遣欧使節の事実も気になります。
    今年は出帆400周年なんですね。
    いつか仙台&石巻に行ってみたい。

  • 報われない道程だと知りながらも、「武士」ゆえに拒否することも、引き返すことも出来ない・・・
    宗教、伝統、階級、そして鎖国に否応なく翻弄される、宣教師と支倉常長たち一団のローマ法皇謁見までの長い長い旅路を、遠藤周作の美しい筆致で、重厚に描いた作品です。

  • 名前は聞いたことがあるが、よく知らない支倉常長。ローマまでの道のりはどれほどの苦しみがあったのか、垣間見ることができた。キリスト教とは距離を置いていた支倉の気持ちやその葛藤についてもっと描ききってほしかった。

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著者プロフィール

遠藤 周作(えんどう しゅうさく)
1923年3月27日 - 1996年9月29日
東京生まれ。父親の仕事で、幼少時代を満洲で過ごす。帰国後にカトリックの洗礼を受けた。1941年上智大学予科に入学したが、中退。慶應義塾大学文学部仏文科入学・卒業後、カトリック文学を学ぶためにフランスへの留学。帰国後の1954年『アデンまで』を発表し小説デビュー。1955年『白い人』で芥川賞を受賞し「第三の新人」として脚光を浴びた。
1958年『海と毒薬』で第5回新潮社文学賞及び第12回毎日出版文化賞、1966年『沈黙』で第2回谷崎潤一郎賞、1979年『キリストの誕生』で第30回読売文学賞評論・伝記賞、1980年『侍』で第33回野間文芸賞などそれぞれ受賞。1995年に文化勲章を受章している。
上記受賞作のほか、1993年刊行『深い河』もキリスト教と日本人をテーマにした代表作と見なされており、映画化された。60年代以降「狐狸庵山人」(こりあんさんじん)を名乗り、様々なエッセイを記した。数々の作品が欧米で翻訳され高い評価を受けており、存命中ノーベル文学賞候補だったこともよく知られている。

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