冬の優しさ (新潮文庫)

  • 新潮社 (1987年1月1日発売)
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  • 本 ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123264

感想・レビュー・書評

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  • 著者の青春時代からのエッセイ集。
    タイトル通り「優しさ」が感じられる。それは色々なことを経験し、日々考えているからこそ出てくるもののように思えた。
    『留学』や『沈黙』では、宗教とは?日本人とは?ということが描かれていたと思うが、そういった人間の心の深いところを考えるというのは、つまり「優しさ」を持っている人だからなのだと感じられる作品だった。

    「仕事部屋の窓から」では、苦しみをこらえた人間の例え話として、親からむりやり縁談をすすめられている若い娘がのむまいのむまいとしているうちに、食事も喉を通らなくなったことから、占い師や基督教の告解、心理療法へと考えをつなげていく。
    著者の洞察が光る部分ではないだろうか。

    堀辰雄『風立ちぬ』についての「生きめやも」をキーワードにした考察や、北杜夫の躁鬱病についてのエピソードも大変興味深いものだった。

  • 留学時代から老翁になるまでの人生を綴った文学的自伝。

    いまいち、<冬の優しさ>と本文のつながりが理解できかねた。

    あの春の優しい感じは、冬の厳しさのおかげなのか。その意味で、冬って優しいのかも知れない。

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著者プロフィール

1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50~53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。


「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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