満潮の時刻 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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本棚登録 : 368
感想 : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123370

感想・レビュー・書評

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  • 小説のところどころに「沈黙」の一場面を思い出させる描写があって、遠藤作品そして遠藤周作さんのつながりを感じました。そのほかの作品にも流れる「人間をありのままに受け入れる」ものについての遠藤さんの強い確信を感じるよい小説でした。

  • 静かな気持ちになりました。
    静かに静かに進みながらも、気づけば最高潮に。まさに満ち潮のよう。感情の大波が訪れていました。

    生きることを見つめていく明石の、たった一人と九官鳥一話の深夜の対話。溢れる彼の涙。
    明石の心を捉えた、病室の夫婦。手を握り合った2人の情景が忘れられない。
    良書でした。

  • 林檎は生の匂い

  •  40代の働き盛りの男性が、結核により療養生活を送ることになることから物語は始まり、淡々とした療養生活と、その心境の機微が描かれている。
     今の医療技術からは考えられない治療法、入院期間だが、当時多くの人々が命を落とした結核という病気の恐ろしさを垣間見た気がした。
     その苦痛、死の淵に立たされたときの模写が妙にリアルなのは、作者自身結核を患っていたからなんですね。
     病院のなんとも言えないあの重い空気感も、読んでいるだけで気が滅入るよう。

     ケムリハナゼ、ノボルノカ。
     わたしは今まで大きな病気も事故もしたことがない。
     本当の苦痛、不幸、孤独感を味わったとき、何を考えるのだろう。誰か、そばで手を握ってくれる人間がいてくれたらいいなあ。

  • 病院独特の希望とは遠い場所にある暗い雰囲気が重たかったです。そこにいる人たちの日常なので陰鬱な感じではないですが、やっぱり異質ではあるかなと思います。
    あたしも病院なんて歯医者くらいしか縁がないので、想像するだけで恐怖の場所です。医学のことはよく分からないですが今はきっと手術するのに骨を切ったりしないですよね……「海と毒薬」でも出てきたシーンですが、怖い以外のなんでもない。物語よりその医療的な部分の方が印象的でした。
    どことなく中途半端な感じがしたのは、明石の長崎旅行のせいじゃないかと思います。
    遠藤作品と長崎は切っても切れない関係ですが、この作品に限ってはなんだか唐突なような気がします。奥さんと行くかと思ったら明石一人だったし。
    なんとなく尻すぼみな感じがしてしまいました。

  • 生を見つめる眼、沈黙の声。著者の訴えたいことが、じわりと伝わってくる。生活と人生は違う。なので日常から離れた入院生活で実感できたのだろう。14.1.8

  • 『沈黙』と同時に執筆されながら、未完のまま作者の死後出版された作品です。未完成であるだけに、修正されていない作者のダイレクトな思いが伝わってきます。

  • 初めての遠藤周作

  • 初めて手にとった遠藤周作の本。
    包み込むような優しさに溢れていました。

  • 死の淵に立った男の人の話。
    人生万事が塞翁が馬っていうことばが常に頭から離れなかった。
    悪いことをすればどこかでしっぺ返しが来る。
    いいことをすればどこかで返ってくる。
    戦争から逃れたものは・・・という感じで。

    生きるか死ぬかの瀬戸際みたいなぎりぎりの状態ではなくて、水が地面にしみこんでいくようにじわじわと病に蝕まれていく。
    ひとつひとつの行動の意味を考えて、どうあるべきかを考えずにはいられない作品。

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著者プロフィール

一九二三年東京生まれ。慶応大学仏文科卒業。リヨン大学に留学。一九五五年『白い人』で第三十三回芥川賞を受賞。一九六六年『沈黙』で第二回谷崎潤一郎賞受賞他、数多くの文学賞を受賞。主な著書に『沈黙』『海と毒薬』『恋愛とは何か』『ぐうたら生活入門』『宿敵』等多数。

「2021年 『怪奇小説集 共犯者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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