十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101123387

感想・レビュー・書評

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  • タイトルが気になって、10頁は立ち読み。
    10頁読んで、私は、面白いと思ったから購入。11頁以降が面白く感じられないかもしれないっていう不安はあったけど(笑)、大切な事だと思う。

    この本では手紙だけど、メールでも同じ事。
    ただ、相手にどう自分らしく伝えて、"気持ちを"上手く伝えようとするか・・・
    まあ、それで時間がかかってしまうのは良くないなーと思う。

    でもやっぱり、心がこもっててる方がいい。
    手紙を書かない世の中だからこそ、こういうのは、ありだと思う。
    相手ありきのものだからね。

  • あとがき込みでこの本を読んで良かったと思う。
    この時代、手紙が今と比べてどれ程重要なツールだったか知った。

  • 狐狸庵ものの先駆けなる、手紙の書き方を中心とした軽妙なエッセイ。死後発見された原稿ながら、昭和三十五年ごろの、新婚で幼い長男を抱えた遠藤周作が肺結核を患っていた頃のものらしい。
    男性読者を想定したものでもあり、かなり時代は感じさせるし、すごく腑に落ちながら読んだわけではないが、「読み手の身になって」書け、という一貫した主張も時に語られる人間心理も普遍的なものである気がした。恋文書く側は男性編で、断る側は女性編と銘打たれているのが、昭和というより平安時代の古典常識だなと思った。森鴎外は『雁』で、「見られる」女から「見る」女への転換と挫折を描いたけれど、このエッセイでは一貫して女は受け身。その辺が特にこの作品の古さを印象づけていると思う。良い悪いではなくて、そういう時代だったんだね、っていう。古さでいうならモガとかモボとか死語だし。まず候文で手紙を書く発想はそもそもない。
    私は手紙を書くのは好きな方だけど、こうして見ると昔はこんなに手紙が身近なものだったのかって驚く。メールやLINEが発達した今、もはや手紙自体が絶滅危惧種だし、そうするとここで筆者が述べていることの半分くらいは絶滅危惧種属性だけれど、メールでもLINEでも対面のコミュニケーションでも、要するに相手の立場に立って相手との関係性を考えながら、紋切り型でなくやりとりをするのが血の通ったコミュニケーションよね、って思う。
    あとあたかも当然のように書いてるけど、手紙を送られたら嬉しいものだろう!っていう前提に立っているのが力強い。メールでもLINEでも、迷惑じゃない?って考えがちな私としては、そこそんなに自明視して大丈夫そう?って若干心配になる。

  • 面白いタイトル。はて、なぜこんなタイトルを?と思ったらこれは未発表作品らしい。そこで、印象的な出だしの一文がタイトルになったというわけか。

    遠藤周作の語り口が楽しめる一冊。書かれている手紙の書き方指南については、内容がちょっと時代を感じさせるもので例えが古く(美人女優の例えに香川京子とか有馬稲子とか言われてもわからん・・・)実践的かというとだいぶ疑問。私は実践的なことを学ぶよりも、近所に住んでいる頭のよくて本もたくさん読んでいるおっちゃんの話を聞きに行っている感じで終始楽しんだ。とは言うものの、なかなか普遍的な内容も多く、「ようなゲーム」についての記述もなかなか興味深かった。

    手紙は出す相手の身になって書く内容を考えること。単純なようで本当に難しい。自分もたぶんあんまりできてないような気がする。気をつけようと思うけど・・・

  • 表現に関して一読してみるとよい本として紹介されていた作品。私にとっては少し昔の作家さんの印象があって、読みにくい文章なのかなぁと構えていたものの、挑戦的なタイトルに興味を惹かれて読んでみた。そしたらびっくり。中の文というか語り表現が、内容以前に単純に楽しかった。まっすぐさっぱりアイロニックで、こんなに吹き出すように読む本だとは思わなかった。
    男女の捉え方や、取り上げられているものが手紙、というのが時代を感じさせるものの、伝えたいことを伝える、という観点は現代も変わらない。大切なことは「読み手(相手)の身になって」ということ。
    食わず嫌いせずに読んでよかった。

  • 図書館でなんとなく手にとったら遠藤周作の本だった。

    手紙の書き方についての本。
    没後10年の節目に見つかった原稿だそう。
    古い時代の例文もありながら、現在にも通じる内容。

    形式より「読む人の身になって」書くことが大事と。手紙を書くときの気持ちが少し楽になった。

  • 遠藤周作の手紙の書き方指南。内容的に流石に現代では無理だと思うものもあるが、骨子は今も充分通用する。「ようなゲーム」、表現力を高める訓練としてとてもよさそう。

  • 気持ちを伝える手紙の書き方を、おもにラブレターの例で楽しく解説してくれている。今の時代、手紙を書くことは少ないが、デジタルで文を書くことは避けられない。またラブレターを書く年齢ではない人も、周りの人から共感してもらったり、好感を持ってもらいたいケースは多くある。そんな時に何をどう書けば相手に伝わるのか、この書はためになることを丁寧に教えてくれている。
    狐狸庵先生が小説や随筆を書くときに、いつも気にしていたポイントなんだろうと思う。

  • タイトルが長い!そして挑発的!
    長すぎて、逆にそれが目を引いて買ってしまいました。

    色々な場面においての手紙の書き方についてです。

    だいぶ昔に執筆された本のようで、今はあまりお目にかかることも少なくなった(…と思われる)ラブレターの書き方なども入っていますが、つづられ方にユーモアがあり、面白おかしく、でもフムフム、と納得してしまいます。
    なるほど、同じことを伝える内容でも、書き方ひとつで相手が受ける印象ってこんなにも違うのだなぁ。
    筆不精を克服した筆者のコツも書かれていますよ。

  • 相手の心を動かす手紙はどう書くのか、ユーモアを交えながら講義形式で説明する。手紙の書き方だけでなく、人付き合いでの普遍的な大切さが書かれていて、読んで肯くことばかりでした。

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著者プロフィール

1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50~53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。


「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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