双頭の鷲(下) (新潮文庫)

  • 新潮社 (2001年6月28日発売)
3.94
  • (49)
  • (44)
  • (56)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 408
感想 : 40
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (608ページ) / ISBN・EAN: 9784101125329

みんなの感想まとめ

魅力的な軍事の天才、ベルトラン・デュ・ゲクランを中心に展開する物語は、歴史の深い背景を持ちながらも、読後に悲壮感を残さない独特の雰囲気を醸し出しています。作品は、アレクサンドル・デュマのダルタニャン物...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ※上下巻通しての感想です
    幼児性のある軍事の天才、ベルトラン・デュ・ゲクランがあまりにも魅力的。全体としては「悲劇」なのだろうが、読後に悲壮な感覚は残らなかった。
    解説にもあるとおり、アレクサンドル・デュマのダルタニャン物語を彷彿とさせる傑作。

  • 歴史ものの小説を読むと、どこまで本当の出来事なのかと気になるが、意外な点まで史実に沿った内容だった。それだけゲクランが稀有な存在だったということもあるが、歴史好きでも聞いたことない人物。百年戦争の前半で活躍した人物みたいだが、一番有名なジャンヌ・ダルクはナポレオンが大衆操作で担ぎ出した悲劇のヒロインというのが経緯なのだそう。エドワード黒太子も世界史で出てきてクレシーの戦いなど有名だが、ボルドーを拠点にアキテーヌ公として君臨していたとは知らなかった。

  • そうか、ジャンヌダルクの少し前の時代に当たるわけか、ってのを、作者あとがきを読んで知った。でも本小説を読了した今、作者評の通り、デュ・ゲクランの方が、成し遂げた仕事は大きいと思える。何といっても、全く知らないフランス史に興味が沸いただけでも、自分にとって本作の価値は大きい。

  • 主人公、それを取り巻く登場人物達の魅力に最後まで満喫。
    上下巻では足りない!これこそ大長編で読みたい。

    ベルトラン・デュ・ゲクランという人物は本国フランスではどのぐらい名を知られているのだろうか?
    これだけ興味深い人物なら何度か映画化されても不思議ではないような。かのオルレアンの乙女より物語としては爽快感抜群なのに。気になるところ。

  • 著者:佐藤賢一(1968-、鶴岡市、小説家)

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    上巻の無邪気で純粋なベルトランが周囲を振り回し、周囲は振り回されていることをわかりながらも、その魅力に抗えずにベルトランを助けるといった感じで、爽快感をかんじながら読み進めることができた。一方で下巻はほとんど変わることのないベルトランに対し、周囲が大きく変わったことで様々な悩みに振り回されているように読めた。
    多くの人の思惑が飛び交い、フランスという国家が大きく変わってゆく中でベルトランの存在が一服の清涼剤となっていたように思う。気持ちのよい人物だった。

  • 100年戦争の英雄と言えばジャンヌダルクぐらいしか思い浮かばないけど、フランス史にこんな痛快な英雄がいたことを全く知らなかった。
    ベルトランの無邪気な振る舞いは正に子供のようで、エマニエルやシャルルをはじめそれに振り回されつつも盛り立てる人々が親のようであり、その互いに思い遣る関係に温かい気持ちになる。
    現代社会でも無邪気な子供を優しく見守ることのできない未熟な大人がいるように、中にはベルトランの出世に嫉妬する貴族や実弟もいる。そんな人たちには相応の末路が用意されているあたりも痛快だった。
    ただベルトランの過去、実の母親に愛されることがなかった過去はあまりに辛く哀しい。
    連戦連勝でフランス王家の信頼を得て大元帥の地位まで昇った英雄。嫉妬も愛情のひとつとカウントすればフランス史上最も多くの人々に愛されたと人物だと言える。でも母親の笑顔はベルトランに向けられることはなかった。こんな哀しいことなんてあるだろうか?同じ男の子として生まれたものとしてベルトランの哀しみは痛いほど解る。
    男の子は誰よりも母親に喜んで欲しくて、認めて欲しくて頑張るし無茶もする。大元帥の地位まで昇るほどにガムシャラに頑張ったのに母親の笑顔を得ることなく終わったベルトランの不幸はあまりにも残酷だと思う。それほど男の子にとって、いや全ての子供にとって母親の存在は大きいものだと思う。
    親の愛情を受けられないってことは最も大きな不幸だと思う。それはベルトランほどの成功を手にしたと思われる大人物であっても。

  • この本が読者を掴んでしまうのは、やはりゲクランの個性なのかもしれない。後書に佐藤氏のコメントがあるが、様々な古書からもあながち脚色ではないということで味わいも一層深まるというところである。いつまでもガキ大将で礼儀知らずそのくせ滅法な戦上手で戦をやらせたら連戦連勝、しかし女嫌いな醜男、一体これ以上のキャラクターが存在するのだろうかと思うほどである。脇を固めるのがやや神経質ともとれる従兄弟で托鉢修道士でもあるエマニエル、ゲクランが母との確執の中で疎遠になり、その後復縁したギョームとオリヴィエ、そして軍神ゲクランをフランス王家の復活と失地回復に最大限活用したシャルル5世。これだけ見ても

  • 上巻に比べると、デュ・ゲグラン自体の生き生きとした会話が減り、
    どちらかと言うと周りの状況で話が進んでいく感じです。
    それでもおもしろくは読めましたが、少し物足りなさは感じました。

    晩年だからでしょうか・・・!?
    実際登りつめていく若い時と違い、
    登りつめてしまってからでは勢いは違うものですよね。

    自分は変わっていなくとも、
    自分を取り巻く人や環境が変わっていくのは若い頃だって同じなのだけど、
    歳を取ってからの変化は何か寂しいものが付き纏います。

    これだけみんなに愛されて、また好きに生きたであろうに、
    それでもこの人の人生はとても悲しく感じます。
    最後にモーニとエマヌエルに語らせなければ、
    悲しい気分のまま終わったかも・・・。
    爽やかな読後感に仕上げてくれたところに感謝です。



    それにしてもこれだけの人がどうしてここまで無名だったのでしょうね?
    ナポレオンの隠蔽工作って話も出てましたが、それでも不思議・・・。

  • 英仏の百年戦争で活躍したフランスの英雄、ベルトラン・デュ・ゲクラン。彼の活躍を献身的に支えた従兄弟のエマニエルと妻のティファーヌ。下巻では、エマニエルの独白を通して子供を慈しむ母性愛のような二人の心情が細か描かれていて印象的。
    物語は、中世ヨーロッパ、群雄割拠する領主たちが、婚姻関係や利害関係、嫉妬等かから離散集合を繰り返す混沌とした情勢の中で、フランス王シャルル五世は、デュ・ゲクランと共に、中央集権国家の樹立を目指してイングランド勢を大陸から追い落とすことに成功する成功譚になっている。ただ、晩年はデュ・ゲクランとシャルル五世のデュオの勢いも夕陽が沈むように衰えていき、二人が亡くなると元の群雄割拠状態に戻っていく。
    文庫版あとがきによれば、百年戦争の英雄としては、ジャンヌ・ダルクと比べてもデュ・ゲクランの方が圧倒的に活躍したという。ジャンヌ・ダルクがかくも有名なのは、ナポレオンが意図的に宣伝しまくったからだとか。
    デュ・ゲクランが幼少期に両親から虐待されていたのが史実、というのには驚いた。長編だが読みごたえあり!!

  • 最後のモーニとエマヌエルがゲクランの墓の前で語らうところが何とも言えず、よかった。

  • 全くなじみのないフランスの歴史小説。
    でもすごくおもしろかったなー。
    上下巻ともボリュームがあったけど、ちょうどいい読み応え。
    質、量ともによかった。

  • ついに大元帥の位まで登りつめた、ベルトラン・デュ・ゲクラン。国王シャルル五世との奇跡のデュオは、民衆に希望をもたらした。破竹の快進撃を続ける武将は、いつしか生ける伝説に。だが、フランスで、スペインで、強敵に打ち勝ってきた男にも、黄昏は訪れる。その日までーー、男は太陽のように、周囲を照らし続けた。不世出の軍人と彼を巡る群像を描く歴史小説、堂々の完結編。

  • ついに大元帥の位まで登りつめた、ベルトラン・デュ・ゲクラン。国王シャルル五世との奇跡のデュオは、民衆に希望をもたらした。破竹の快進撃を続ける武将は、いつしか生ける伝説に。だが、フランスで、スペインで、強敵に打ち勝ってきた男にも、黄昏は訪れる。その日まで―、男は太陽のように、周囲を照らし続けた。不世出の軍人と彼を巡る群像を描く歴史小説、堂々の完結編。

  • やはり長いという感は否めない。話の勢いは上巻の方があったかな。
    とはいえ、文章に凄く惹きつけられたのも確か。特にベルトランを恐れる周囲の恐怖心のようなものは、ひしひしと伝わってきた。

    歴史小説が苦手でも存外に楽しめる一冊。

  • 日本ではなじみの薄い、英仏100年戦争の英雄ベルトラン・デュゲグランを主役に据えた傑作。
    作者の佐藤賢一をフランス史版司馬遼太郎なんて表現する人もいるそうだが、非常に細かく調べ上げた史実にフィクションを絡ませ、まるで実際にそうだったと思わせる手法は司馬遼太郎っぽいです。

    とにかく熱く、量的にもサクサクと読める一冊でした。

  •  フランスとイギリスが大陸の領土をかけて戦った百年戦争の時代,貧乏騎士からフランス大元帥の座にまで登りつめた自称「戦の天才」ベルトラン・デュ・ゲクランの一代記です。
     上巻ではベルトランの大活躍が痛快に描かれていましたが,下巻ではついに彼の死が描かれます。私は涙もろいので,ベルトランが死ぬところを読んだら絶対泣くだろうなーと思いながら読み進めていたのですが,彼の死の瞬間は割に淡々と描かれていて,意外にもあっさりと終わってしまいました。しかしエピローグで,従兄弟エマヌエルと副官モーニの会話の中でベルトランの最期の言葉が明かされた時,そのたった3文字の言葉があまりにも切なくて涙がボタボタと……ああいかん,妻N子に借りた本なのに……。幼い日から彼が求めてやまなかったのはそのたった3文字で,彼が大得意とした戦争なんてのは,それに比べたら手慰みのお遊びに等しかったのです。それが切ない。で,彼が何を求めてやまなかったのかは,これから読む人もいると思うのでここには書きません。自分で読んでみてください。

  • 他はダメだけど、何か一つに秀でる人間のかっこよさが読んでて気持ちよかった。

  • 黒太子がますます駄目っ子に…!

  • 2010/01/28完讀

    這本書除了處理龐大的歷史議題,也寫出書中許多人複雜的內心思緒,寫作手法雖稍稍有點紊亂,但是內容實在寫得相當好。

    上冊狂飆又爽快,下冊竟是如此悲傷的一冊。上冊埋下所有的悲傷的種子,被ゲクラン的光芒所擋住,但在下冊全部發酵出來。沒想到ゲクラン居然也變心,エマヌエル的悲戀,黑太子的落魄,ゲライー的覺悟等等,都是很悲傷的部分。尤其是ゲクラン對媽媽的複雜心情和家庭中的悲劇,最終導致他的死亡。ゲクラン的戰爭在上集給我有點慶次的感覺,但他終究不如慶次般清洌脫俗,暮年的他讓人讀起來好感傷,好寂寞。

    佐藤賢一最後寫道,聖女貞德是被拿破崙炒熱的。說起英法百年戰爭的代表人物,絕大部分的人也只認識她。佐藤把這位埋沒在歷史之中的大英雄寫得相當迷人,我很想再多讀關於他的書。

    我也想多讀讀佐藤其他的作品,《王妃の離婚》已購入。逛書店有看到佐藤預計十卷本的法國大革命,雖然還要好幾年才完成,但等他寫完我想一口氣買回家讀。

    --
    「世の中が明るすぎると、本当の輝きを見落としてしまう。」
    「人間は確かに自分以上の存在になれる。無力な子供を思うとき、親となった人間には、自分にも信じられない力を湧くのだ。そうでなければ、俺のような凡夫には、生きる価値などあるはずがない。」

    (602page)

全28件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

佐藤 賢一(さとう・けんいち):1968年、山形県生まれ。東北大学大学院でフランス中世史を専攻する。1993年、「ジャガーになった男」で、小説すばる新人賞を受賞してデビュー。1999年、『王妃の離婚』で直木賞を受賞。2014年には『小説フランス革命」で毎日出版文化賞特別賞、2020年に『ナポレオン』全3巻で司馬遼太郎賞、2023年に『チャンバラ』で中央公論文芸賞を受賞した 。他の著書に『傭兵ピエール』『二人のガスコン』『オクシタニア』『女信長』『新徴組』『ラ・ミッション 軍事顧問ブリュネ』『遺訓』『最終飛行』など多数。

「2025年 『歴史小説のウソ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤賢一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×