日蓮 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2023年9月28日発売)
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本 ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784101125367

作品紹介・あらすじ

地震が起こる。疫病が蔓延する。命が無惨に失われる。何故だ。日本が悪法に染まってしまったからだ──。日蓮は法華経への帰依を説き、他宗派に敢然と挑む。それは権力者たる北条氏を敵とすることに等しかった。斬首の危機、佐渡への配流。苦難の中で、信じる法をひたすら世に広め続ける日蓮は、その信仰と情熱で人びとを救うことができるのか。歴史を動かした僧の半生を描く、感動巨編。

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤賢一 『日蓮』 : もし日蓮が 〈現代〉に生きていたならば|年間読書人
    https://note.com/nenkandokusyojin/n/nc4e67e6c2346

    『日蓮』|感想・レビュー・試し読み - 読書メーター
    https://bookmeter.com/books/17470338

    佐藤賢一 『日蓮』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/112536/
    (単行本)
    https://www.shinchosha.co.jp/book/428004/

  • 南無妙法蓮華経と南無阿弥陀仏の違いすらわかってないレベルで読みましたが、すんなりと読めました。漢字が多くてオススメしづらい本ですが、まぁまぁ面白いです。

  • 法華宗に縁があり、とある僧の話を聞いた時に全く腑に落ちなかったが、日蓮のこのような教えに依ると思うと納得。
    結局、宗教とはなんなのか…わからないが、宗教者の話は興味深いかもしれない。

  • 空海と親鸞は読む機会が比較的多いなか、
    中学校の社会科で日蓮を知っても、
    そのままで通り過ぎてしまうが多いと思う。
    日蓮といえば『立正安国論』と法華経と南無妙法蓮華経、日蓮宗。
    なかなか、小説で読む機会が少ないのも事実である。
    日蓮の、貴重な背景や考え等を知ることが出来た一冊。

  • 著者の他の作品を読んでいないので何とも言えないが、著者はこの作品で何を伝えたかったのか、分からずじまいだった。
    日蓮という主人公に感情移入もしづらい。

  • 中世ヨーロッパを舞台とした名作を多く著している佐藤賢一氏、今作は日本、それも宗教家か、と些かの吃驚と期待を抱いて手に取った。
    なるほど、確かに平安・鎌倉期に各宗派を率いた(あるいは拓いた)高僧たちの中でも、日蓮を主人公に選んだことについては何となく合点がいく。
    いわば"優等生的な"教祖として、空海や親鸞が創作の中で描かれているケースをしばしば目にするのに対し、日蓮は、タイプこそ大きく異なれど道鏡や道元らと並ぶ怪僧の一人…というイメージがあった、個人的に。
    世俗に敏く政治に阿るのとは対極に、自身が読み込んだ古来よりの経文こそに絶対的な価値基準を置き、師や権力者が働き掛けようと一切融通が利かず、時に詭弁とも思われる論を弄する姿は狂信的でさえあり、殉教者と呼ぶにふさわしい。
    浄土宗の念仏と違い、現世の娑婆でこそ救われるべきなのだ、と法華経を用いて主張する日蓮の教えは、為政者にとっては前者よりも不都合であろうし、それを援用し成立していた既得権益の枠組みを壊すことは至難であったろう、という背景も推察できるので、上手く立ち回ったとて覆せなかったかもしれないが、日蓮の主張にここまで符合する法難の数々が都合よろしく発生するという有利な状況がありながら、ついには正教としての地位を確立することができなかった…とは、世渡り下手にも程があると呆れてしまうが…。

    このように排他的な日蓮のパーソナリティーに焦点を当て、さらには、どれほど勉強されたのか、と感嘆するほどの蘊蓄や解釈を盛り込みながら、巧みに仕上げられた娯楽小説としてぐいぐいと読んでいったが、それも中盤まで。
    後半に入っても同じような展開が繰り返され、またその起伏も平板になっていき、明らかに息切れ? と思われた。
    「王妃の離婚」や「黒い悪魔」に見たような高い完成度は感じられず、残念。

    本筋と関係ないが、釈迦本人の言葉として網羅的に遺されたものがなく、キリスト教の新約聖書に当たる教典がないからこそ仏教の解釈は多様に渡り、だから厄介なのだな…と改めて感じた。

    「仏教、これまちまちにして旨趣究めがたく、なお不審な点も多くあり、どれが正しくどれが誤っているか、私は理非を明らかにできたわけではありません。」

    「日蓮はすぐには答えなかった。いや、答えられなかった。日蓮とて、相手の気持ちを考えないではないからだ。
     (中略)
     日蓮は思い切った。やはり強々に答えることにした。」

  • 日蓮宗開祖である日蓮の半生の物語。
    堕落腐敗した宗教界に対して、毅然と立ち向かう姿勢というのは尊敬すべき点であると思う。ただ、問答の場に引き出すために必要以上に煽り立てるとか、何かと強引な手法を取る部分はいかがなものか、と思ってしまいました。

    自分の信じた道を進むことを決して諦めない。どんなに理解されなくとも、権力には屈することなく、命の危機を迎えてもなお、自分の信じた道を全うする事を選び抜いた半生。
    尊敬すべき人物ではありますが、心の底から賞賛できないのは、攻撃性が高いからでしょうか。融和でなく排斥の道であると感じたからだと思います。

    宗教2世である自分は、宗教家を題材にした小説は読まない方がいいのかもしれない、と思ってしまった。いろんな鬱屈した想いが掘り返されて、物語として素直に読めない部分がありました。

    外部情報に左右されて楽しめないのはよくないぞ。

  • 2023/12/12読了
    『ナポレオン』は面白かったし、日蓮上人の生涯を描いた歴史小説ということで期待したのだが、正直期待外れ。ストーリーは、他宗派を攻撃し、迫害されの繰り返し。執着を捨てたはずの僧侶でありながら、妙に肉親への情愛に拘る日蓮上人のキャラクター造形。話の最後は〈文永の役〉が起きて、予言が当って良かったね的雰囲気で終了し、〈弘安の役〉も、その時の“神風”も語られず何とも消化不良な感。ひょっとして続編が構想されているのかも知れないが、多分……買わないし読まないだろう。

  • 寛容の心は 経典に記されていないのか
    一神教の怖さ

  • 作品中にお経の文言が頻繁に出てきて、はっきり言って、難しかった。しかし、日蓮の、自分の信じたことに命をかける強い意志は、充分感じられた。でも、これだけ、他宗派をコテンパンに批判したら、さぞ恨まれただろう。僕だったら、怖くて、よう言わんわ!

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著者プロフィール

佐藤賢一
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第6回小説すばる新人賞を受賞。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』(集英社)で第121回直木賞を、14年『小説フランス革命』(集英社/全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を、2020年『ナポレオン』(集英社/全3巻)で第24回司馬遼太郎賞を受賞。他の著書に『カエサルを撃て』『剣闘士スパルタクス』『ハンニバル戦争』のローマ三部作、モハメド・アリの生涯を描いた『ファイト』(以上、中央公論新社)、『傭兵ピエール』『カルチェ・ラタン』(集英社)、『二人のガスコン』『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』『黒王妃』(講談社)、『黒い悪魔』『褐色の文豪』『象牙色の賢者』『ラ・ミッション』(文藝春秋)、『カポネ』『ペリー』(角川書店)、『女信長』(新潮社)、『かの名はポンパドール』(世界文化社)などがある。

「2023年 『チャンバラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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