源氏物語 (巻三) (新潮文庫)

  • 新潮社 (1980年1月1日発売)
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  • 本 ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101127101

感想・レビュー・書評

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  • 大河ドラマ光る君への影響で、円地文子訳を数十年ぶりに再読中。退職して時間ができたら、与謝野晶子訳も読み比べてみたい。

    改めて感じたのが、宮中における儀式、忌みの多さ。こんなことばかりやっていたら仕事にならないだろうと思いつつ、そういえば、これこそが彼、彼らの仕事だったと思い出す。

    それから、庶民に対する直球の侮蔑、見下し。恵まれた我らこそ、庶民の生活を案じ、暮らしよく計らおう、などという思想なりノブリス・オブリージュがいっそ気持ち良いほど欠落している。それはそうだよなあ。どこの国でもまあ、そうだったろうなあ。

    そして、女は何事にも鷹揚に構え、一事に打ち込んで秀でたり抜きん出たりするのは見苦しい、という記述。光源氏がたびたび口にするこの台詞、これはチクチク刺さる。藤式部の意図としては皮肉?それとも本音?

    どなたかも書いていたが、長台詞やくどくどしい言い回しなどもあり、通しで読むのはわりとしんどい。その日の気分で選んだ箇所をさらっと読むのがいいのだろう。

    私にとって平安は、華やかだけど非人間的な場所。いまの日本に生まれてきて本当に良かった。平安はときたま心に思い描くだけで十分だ。

  • お香を調合したり合奏会を開いたりと楽しい平安の「丁寧な暮らし」をはさみ込みつつ、息苦しい人間ドラマがねりねり続く。わたしとしては玉鬘が幸せになったから満足。

    黒髭大将や女三の宮がストーリーに投入されるときなど、関係者の選択のしようのなさがきっちり設定されていて、紫式部先生うますぎだろう!と感服してしまう。だれかを悪者に仕立て上げられない人生がリアル。

    紫の上が具合が悪くなったときの物の怪の言い分が、三読目の今回ひときわ鮮やかに響いた。登場人物それぞれがいよいよ運命の糸に絡めとられていくんだろうなという期待をもって第四巻へ。

  • 養女玉蔓に対して父として振る舞おうか恋人としていい寄ろうか悩む光源氏。
    いい気なものだが、自分でも自分をコントロールできずに苦悩するのは、いい気味です。

    で、玉蔓の結婚のいきさつは、またしても省略されてしまいます。肝心なところをなぜ書かぬのか紫式部。秘するが花ってことですかね。
    当時の読者なら、それこそ火を見るよりも明らかに想像できたかもしれませんが、現代の私には食い足りないところです。

  • 資料番号:010672251
    請求記号:913.3/ ム/ 3
    資料区分:文庫・新書

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著者プロフィール

円地文子

一九〇五(明治三十八)年東京生まれ。小説家、劇作家。国語学者・上田万年の次女。日本女子大附属高等女学校中退。豊かな古典の教養をもとに女性の執念や業を描いた。主な作品に『女坂』(野間文芸賞)、自伝的三部作『朱を奪うもの』『傷ある翼』『虹と修羅』(谷崎潤一郎賞)、『なまみこ物語』(女流文学賞)、『遊魂』(日本文学大賞)など。また『源氏物語』の現代語訳でも知られる。八五(昭和六十)年文化勲章受章。八六年没。

「2022年 『食卓のない家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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