パニック・裸の王様 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 866
レビュー : 94
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101128016

感想・レビュー・書評

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  • 開高健 短編集。「裸の王様」「パニック」は 読みやすく、モチーフの本来の意味 と 小説のテーマを リンクさせた構成が 面白い。「なまけもの」「流亡記」は 落ちていく人生 という感じ

    「 裸の王様 」アンデルセン「裸の王様」をモチーフに
    *権力の虚栄と愚劣
    *主人公 太郎の子供らしい感情の回復(鋳型の破壊)
    を描いた短編

    「 パニック 」ネズミの大群によるパニックをモチーフに
    *ネズミの大群が持つ 巨大で 妄信的なエネルギー
    *官僚組織(人間の群れ)が持つ 腐敗体質
    を描いた短編

  • はじめての開高健。全4作共通して主人公が優秀なせいか、読んでて安心感があるというかストーリーの乱高下にモニターが振り回されないで済むので、終始落ち着いて食い入るように読めた。裸の王様を読んでスカッとしたし、逃亡記を読んで鬱屈としたけどつまりは、誰もがそうだと頷くようなあるべき理想を愚直に追い求めることは本来当たり前なのに、それがどういうわけか実社会ではとても困難なものになってしまう、その虚しさと不条理さを開高健は描きたかったのかな邪推。

    他のも読んで考えてみよう。

  • 主人公の冷静な視点で描かれた、個人と社会の暗部。昭和の文章で、少し読みにくい。

  • 「パニック」は話の内容自体は面白かったが、表現として生理的に不快感を覚えるのが目についた(遠藤周作の九官鳥のように)。
    「裸の王様」「巨人と玩具」は普通の作品で引き込まれる要素はない。
    「流亡記」は最初の数ページが抽象的で全く面白くなかったので読んでない。

  • 裸の王様が良かった。
    大人の物差しで子供を評価する。子供のころの物差しは捨てたのだからショウガナイ。子供は大人好みの嘘をつこうとする。これを大人はいい子と言う。ショウガナイ、この世は大人で成り立ち造り上げられるのだから。ショウガナイを覚えることを成長と言うんです

  • 芥川賞受賞に納得。芥川の羅生門みたいに、人間の本質を力強く描写しているけど、読み終わった後、こころが疲れてしまう。

  • 2014/10/22購入
    2015/06/18読み始め
    2015/06/28読了

  • 理性を失った圧倒的な欲望と狂気、一瞬で起こる価値の逆転。話によって時代や背景が違うのに、人間の奥底に流れる本質をとらえて離さない、そんな気がした。
    大昔に読んだまま忘れていた本だったのに、読みなおしたらたまにふとフラッシュバックする光景の数々がよみがえってきて、この本だったのか、と驚いた。

    書き手が第三者の視点から比較的冷静に書いていたからよかったものの、主観的に生々しく書いていたら嫌悪感を抱いて人間に絶望して、後味の悪い読了感になっていたかも。

  • 第38回(1957年下半期)芥川賞受賞作。この時は、大江健三郎「死者の奢り」とともに候補作となり、選考委員の間でも意見が割れたが、結果的に「裸の王様」が受賞。なお、大江は第39回「飼育」で受賞している。さて、その「裸の王様」だが、よくできた小説ではあるものの、今読むと観念的に過ぎる欠陥が目に付かないでもない。つまり、万事に作り込み過ぎているという印象を拭えないのだ。開高健といえば、後年は例えば「オーパ!」に代表されるような、行動派の作家として他には類を見ない作風を誇った。別人のように変貌を遂げたのだろう。
     なお、作中で「シンデレラ」をアンデルセンの作品としているが、それは間違い。「シンデレラ」は、ペローやグリムによって採録された民話だ。

  • 芥川賞受賞を含む4つの短編集。社会や家庭から阻害された人間が、どのように変化してゆくか。心理描写がするどく、読みやすい。発想も独自性が高い。

著者プロフィール

開高 健(かいこう たけし、かいこう けん)
1930年12月30日 - 1989年12月9日
大阪府、天王寺区生まれの小説家。大阪市立大学法文学部法学科在学中、同人誌活動を始める。洋書輸入商、壽屋(現・サントリー)宣伝部を経て、作家活動を開始。
1958年、『裸の王様』で芥川賞、1968年『輝ける闇』で毎日出版文化賞、1979年『玉、砕ける』で川端康成文学賞、1981年菊池寛賞、1987年『耳の物語』で日本文学大賞をそれぞれ受賞。ほか、主な著書に『日本三文オペラ』『夏の闇』『私の釣魚大全』『人とこの世界』などがある。

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