地球はグラスのふちを回る (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101128078

作品紹介・あらすじ

飲んでびっくり、中国の五ツ星のブランデー、ウィーンの森の居酒屋村の白ぶどう酒、ヴェルレーヌを施療病院で野垂れ死にさせたアブサン、サイゴンの米兵用酒場の暗闇で飲んだビールetc,etc…世界の酒場を巡歴した著者が、忘れ難き名酒・珍酒を紹介し、酒にまつわる小咄を披露し、酒を愛する紳士のたしなみを説く。ほかに、食・釣・旅などの話題を満載した無類に楽しい一巻。

感想・レビュー・書評

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  • 10年越しに読了。なぜか中途でやめて放り出してたエッセイ。10年ぶりに詠むの再開。酒からはじまり魚へと、世界をまたにかけてかたり、その国の風土や人も語るといった体で。舞台はだいたい50年ぐらい前で。エスカルゴ食べて、「バターとニンニクとパセリのみじん切りの香りが腸をねじる」(p.41)なんて表現したり、ヴェルレーヌの詩を一節口ずさめば、共産圏の同行者に「頽廃だ」と吐き捨てられたり、開高健と大江健三郎が吐き出したほど不味いと思ったブランデーを、最高級品です!と野間宏に持っていったら、だまってのんで「もう一杯おくれ」と言われたシーンとかは印象に。あとは◆「戦い合う当事者は、人間的にはなれない。真に人間的なのは、第三者の傍観者である」(ゲーテ)p.234◆旅でも同じだ、というのが私の考えだな。何でも記憶にとどめようと気ばって見て歩くと、物ごとの表面ばかり見ることになる。本質が見抜けなくなる(略)自然体に構えて、それ触覚にひびいてきたもの、耳と目と頭に残ったもの、それがきみにっとての物ごとの本質だということになるp.234-235◆「漂えど、沈まず」(略)男の本質、旅の本質は、まさにこれなのだp.240◆といったあたりが良かったかな。

  • 毎晩少しずつ、就寝前の寝酒代わりにとちびちび読み進めました。酒と料理と釣りと女を楽しみながら海外諸国を歩き回る著者の語り口はさっぱりと明朗、それでいて描写が生き生きとしており、特に酒と料理のパートが魅力的。読みながらその国の空気ごと味わうような心持ちがして、気軽に海外へ行けなくなったご時世だからこそ余計に魅力的に見える。知らない国で酒を飲みたいなあ。タイトルも良いですね。

  • 雑誌や新聞の記事として発表されたものを集めた短編集。内容に重複あり。
    趣味の話をするおっさんの好奇心とこだわりと下世話さ。でも、繊細さも所々あるような気がする。
    表記を変えて同じ言葉を二度繰り返すなど、適宜に溜めのある読み口が良い。

    I章は酒、II章は食い物と煙草、III章は釣り、IV章は旅の話。釣りにあまり興味を持てないので、III章は総じて退屈に感じたが、一方で旅行好きな私にとって、IV章に入ると旅情のこもった小編がたまらない味わいをもって差し向けられてきた。これよ、これを待っていた。

  • 作家のエッセイって割と好きで、それは自分の知らない美味しいものを知っていて、かつその美味しいものをより美味しそうに見せてくれるからなんだけど、開高健が魚介類好きだったおかげで大層よかった。越前蟹、鯖の串焼き、ソフトシェルクラブ、アメリカの牡蠣と蛤。晩酌しながら読むと尚のこと良い。酒の肴になる。

    あとココアのバンホーテンって当て字が蛮瘋癲なんだな。知らなかった。

  • 酒の話はこの人がするのが一番面白い。

    最高だ。さすがである。さすが。

  • GWの旅のお供に選んだ一冊。こんなにぴったりな一冊があっただろうか!まずタイトルが素敵すぎる。旅してる最中からまた旅に出たくなっちゃう。各地で味わうお酒に食べ物。釣り、そしてちょっぴりエッチな話もあるのだけど、不思議といやらしくなくて、あっけらかんとしている。東欧に行きたくなったなぁ。そして、ウィスキーの飲める大人になりたいと思った。(笑)旅もどんどんお手軽になっちゃって、旅慣れればなれるだけ、いつどこに行っても、本当の驚きに出会えることは少なくなっている。こういう生き生きとした感性で旅を捉えられたら。

  • 福井の越前ガニについて書かれているので読んでいる。文学の分野で福井というのは、どう捕らえられているのか?

  • 食べ物を求めた旅したくなる!

  • 御叱呼までがいい匂いを発散するという、ズブロヴカ。
    思わず買って、飲みながら読んだ。

    その他にも、アブサン、シュタイン・ヘーガー、茅台酒、プイイ・フュイッセ…古今東西の銘酒が飲みたくなる。

    涎が出るほど旨そうな料理や酒、そして旅先での生々しい匂いを感じる風景描写、読みながら、生理的に、本能的に惹き付けられてしまうエッセイの数々。

    たまらん。

  • 酒から始まり、釣やら何やらが、いつもの開高節で繰り広げられる。
    酒でも飲みながらゆっくり、直接、聞きたいなぁという感じ。

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著者プロフィール

開高 健(かいこう・たけし):1930年大阪に生まれる。大阪市立大を卒業後、洋酒会社宣伝部で時代の動向を的確にとらえた数々のコピーをつくる。かたわら創作を始め、「パニック」で注目を浴び、「裸の王様」で芥川賞受賞。ほかに「日本三文オペラ」「ロビンソンの末裔」など。ベトナムの戦場や、中国、東欧を精力的にルポ、行動する作家として知られた。1989年逝去。

「2024年 『新しい天体』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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