質屋の女房 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101130026

感想・レビュー・書評

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  • 追悼・安岡章太郎、ということで、今年亡くなられた「第三の新人」安岡章太郎の短編集を。1953年芥川賞受賞作もおさめられています。もうどれも、ほんとうにおもしろかった。戦後日本はこうであったのだな、という昭和感はもちろんあるのですが、今をもってしてもまったく古びていない。弱くて、ぐうたらで、どうしようもない個人の姿を描き、現実からいかに逃げ得るかを追求する。いつも追いつかれてしまうんですが、この短編集はそれでも悲壮感があまりないように思える。いや、最後は本当に恐ろしいんだけど、それでも基本的にユーモアでくるまれていて、追いつかれても追いつかれてもするりと逃げ出そうとするのだろうなあといった自由な空気が確かにある。「海辺の光景」もぜひ読みたい。戦後日本はこういう文学を生んでいたんだなあ、こういうひとがいてくれたんだなあ。ご冥福をお祈りします。

  • まぁ上手いんでしょうけど、長旅の中で読むには当方のリズムと合わなかった。それでも後半に収められている表題作はぐっと引き寄せる力がありまする。
    しかし吉行淳之介といい、このお方といい、今でいうところの風俗に題材を求めるところを見るに、昔も今も変わらんという陳腐な結論に辿り着いて良いものやら。

  • 戦前学生特有の(徴兵制度に起因する、それに逆らう自由)行動・心情から戦後の家族まで、私小説らしい佳作な短編が揃っている。
    特に「ガラスの靴」「悪い仲間」が良かった。文章も読みやすい。他の作品も読んでみたい。

  • 学生時代(出征前)を描いた作品が一番多く、終戦直後がひとつ、戦後10年以上経った時代を舞台にしたものが2つ。芥川賞受賞作を含む。
    発表された時期はバラバラ。安岡章太郎の代表作を集めたと言っていいだろう。
    「ガラスの靴」は恋愛(それも未熟な恋愛)小説の傑作。若さと才能だけではなく、あの時代に生きていたからこそ書けた。今の上手い作家が同じ時代を舞台にしたところで、これは絶対に書けない。「待つことが、僕の仕事だった。」忘れられない。
    代表作だけあって、どれも良かったし、戦争中に浪人していた、母に愛された取り柄のない一人っ子の気分というのは、彼だからこそ書けたと思うが、自分が中年となり、かつては不在ながらも存在感と威圧感のあった父が老いた姿を描いた最後の2作も素晴らしい。
    もっと読みたい、安岡章太郎。

  • 読了

  • 短編集。
    ただ流されていくようでありながら、そこまで悲惨な境遇には陥っていない青年の話ばかり。
    でも十分に悲惨で、破滅的だけど、一方でなんとなくおかしみも感じられる。
    時代も風俗も十分感じられるけど、どれも今の時代に読んでも面白く、文学とはこういう言葉の力をもつのだなぁ、と関心するものばかり。

  • 短編集

    個人的には表題作の『質屋の女房』よりも、
    『悪い仲間』や『陰気な愉しみ』の方が好きで、
    社会に劣等感を抱きつつ中々前に進めない登場人物たちに非常に好感が持てます。

    『ガラスの靴』も読後感の素晴らしい作品です。

    短編で読みやすい作品ばかりですので、是非手に取ってほしいです。

  • 青春期はある意味、モラトリアムであるとおもいます。
    産みの苦しみを経て青年は次のステージへと進んでいくのが一般的な成長だと思うのです。

    しかし、ここでの主人公はモラトリアムとも言えない、本当に無駄な時間、糞みたいな時間を過ごしています。
    「誇り」も「覚悟」も無いから、女も抱けず、軍人にもならず、学生にもなれず、母親からも独立できずにいます。

    こんなクソ野郎が主人公のくせに、苦悩感が薄くさらりと仕上がっています。
    でも、それでも苦悩感が残っているんです。

    そんなバランスがとても心地よかったです。

  • 学校にもいかず何となく悪い方へと落ちこぼれてでも、最下層まではいけない中途半端な感じのひとが主人公。ガラスの靴は、狩猟店で夜のアルバイトをしている僕と、進駐軍のメイドの女の子が知り合って、進駐軍の主人が留守の間に食料を全部食べ尽くして、楽しく二人でふざけあってるところが好きだった。

  • 陰鬱で卑屈、

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