質屋の女房 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101130026

感想・レビュー・書評

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  • 目次を見て、また読んで、魅力のあるものがほとんどなかった。本作の読書は淡々と作業をする感じであった。特に気に入った作品がなかった。文体は静謐かつ読みやすい。期待したほど、楽しめなかったのが残念だ。

  • 2019年2月11日、「陰気な愉しみ」を読了。
    2019年2月13日、「悪い仲間」を読了。

    著者は、1920年4月18日生まれ。1953年に、「悪い仲間」・「陰気な愉しみ」で、芥川賞を受賞したとのこと。
    したがって、今回読了した作品は、著者が33歳頃に書かれたものになる。

    城北高等補習学校に通っていた時に、同い年の古山高麗雄ら浪人仲間と遊び歩いたようだ。
    城北高等補習学校は予備校で、城北予備校の前身のようである。その城北予備校だが、こちらは1987年に廃校になっているようだ。


    2019年年2月14日、「家族団欒図」を読了。

    251ページに、脊椎カリエスに病んでいた時期があったと書かれている。
    著者は実際に脊椎カリエスに罹患していたようだが、その脊椎カリエスを調べておく。

    「結核菌が血管を通じて脊椎に転移することで発症し、感染した部位に炎症が起こり、骨や椎間板が破壊されて膿(うみ)が発生する病気です。「結核性脊椎炎」とも呼ばれます。」

  • 仲良しグループの力学を扱った数編が印象に残った。息苦しさから逃げたくて何人かでつるんでいたら、グループの意思になんとなく引っ張られてもっと息苦しくなってしまう話。そのうちどうしたって人は一人なんだってわかるんだけど、若いときは一人でいられない苦しさがありますね。

    今読むと若者あるあるなので、ああそうね、というくらいの感想になってしまうところがある。でも、運がいいと(悪いと?)ずっと集団(会社とか特定の価値観とか)とつるむ人生を歩むケースもある。最後に、「それはそれで楽しかった」と思えるのなら、それはそれでよいのかもしれない。わたしも、「人はしょせん一人」教の一員なのかもしれない。

    高校大学のうちに読めばもっと印象が深かったと思うので、若い読者の皆さん、もしそういうのに関心があったらお早めにどうぞ。

  • まぁ上手いんでしょうけど、長旅の中で読むには当方のリズムと合わなかった。それでも後半に収められている表題作はぐっと引き寄せる力がありまする。
    しかし吉行淳之介といい、このお方といい、今でいうところの風俗に題材を求めるところを見るに、昔も今も変わらんという陳腐な結論に辿り着いて良いものやら。

  • 戦前学生特有の(徴兵制度に起因する、それに逆らう自由)行動・心情から戦後の家族まで、私小説らしい佳作な短編が揃っている。
    特に「ガラスの靴」「悪い仲間」が良かった。文章も読みやすい。他の作品も読んでみたい。

  • 学生時代(出征前)を描いた作品が一番多く、終戦直後がひとつ、戦後10年以上経った時代を舞台にしたものが2つ。芥川賞受賞作を含む。
    発表された時期はバラバラ。安岡章太郎の代表作を集めたと言っていいだろう。
    「ガラスの靴」は恋愛(それも未熟な恋愛)小説の傑作。若さと才能だけではなく、あの時代に生きていたからこそ書けた。今の上手い作家が同じ時代を舞台にしたところで、これは絶対に書けない。「待つことが、僕の仕事だった。」忘れられない。
    代表作だけあって、どれも良かったし、戦争中に浪人していた、母に愛された取り柄のない一人っ子の気分というのは、彼だからこそ書けたと思うが、自分が中年となり、かつては不在ながらも存在感と威圧感のあった父が老いた姿を描いた最後の2作も素晴らしい。
    もっと読みたい、安岡章太郎。

  • 読了

  • 短編集。
    ただ流されていくようでありながら、そこまで悲惨な境遇には陥っていない青年の話ばかり。
    でも十分に悲惨で、破滅的だけど、一方でなんとなくおかしみも感じられる。
    時代も風俗も十分感じられるけど、どれも今の時代に読んでも面白く、文学とはこういう言葉の力をもつのだなぁ、と関心するものばかり。

  • 短編集

    個人的には表題作の『質屋の女房』よりも、
    『悪い仲間』や『陰気な愉しみ』の方が好きで、
    社会に劣等感を抱きつつ中々前に進めない登場人物たちに非常に好感が持てます。

    『ガラスの靴』も読後感の素晴らしい作品です。

    短編で読みやすい作品ばかりですので、是非手に取ってほしいです。

  • 青春期はある意味、モラトリアムであるとおもいます。
    産みの苦しみを経て青年は次のステージへと進んでいくのが一般的な成長だと思うのです。

    しかし、ここでの主人公はモラトリアムとも言えない、本当に無駄な時間、糞みたいな時間を過ごしています。
    「誇り」も「覚悟」も無いから、女も抱けず、軍人にもならず、学生にもなれず、母親からも独立できずにいます。

    こんなクソ野郎が主人公のくせに、苦悩感が薄くさらりと仕上がっています。
    でも、それでも苦悩感が残っているんです。

    そんなバランスがとても心地よかったです。

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著者プロフィール

安岡章太郎(1920年5月30日~2013年1月26日)小説家。高知県生まれ。1941年慶應義塾大学文学部予科入学、44年に陸軍に応召、満州へ送られるも胸部疾患で現役免除。戦後復学するが、脊椎カリエスを患い、48年英文科を卒業。51年、文壇デビュー作「ガラスの靴」が芥川賞候補となり、吉行淳之介、阿川弘之らとともに「第三の新人」と呼ばれる。53年、「悪い仲間」「陰気な愉しみ」により芥川賞受賞。60年、『海辺の光景』で野間文芸賞、67年、『幕が下りてから』で毎日出版文化賞、74年、『走れトマホーク』で読売文学賞、82年、『流離譚』で日本文学大賞、89年、『僕の昭和史』で二度目の野間文芸賞、91年、「伯父の墓地」で川端康成文学賞、96年、『果てもない道中記』で読売文学賞(随筆・紀行賞)、2000年、『鏡川』で大佛次郎賞等、数々の文学賞を受賞。2001年、文化功労者。

「2018年 『僕の昭和史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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