どくとるマンボウ青春記 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 867
レビュー : 85
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101131528

作品紹介・あらすじ

18歳のマンボウ氏は、バンカラとカンゲキの旧制高校生活で何を考えたか-。個性的な教師たちと大胆不敵な生徒たちが生み出す、独特の元気と喧騒に身をまかせながら、ひそかに文学への夢を紡いでいったかけがえのない日々は、時を経てなお輝き続ける。爆笑を呼ぶユーモア、心にしみいる抒情、当時の日記や詩を公開、若き日のマンボウ氏がいっぱいにつまった、永遠の青春の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 生徒が「面白い」と言っていたので読んでみました。
    恥ずかしながら、北杜夫の作品は読んだ記憶がなかったのですが、エッセイはとても魅力的な文章が多かったです。
    斎藤茂吉の息子として、医者になることを父から強くおしつけられながらも、旧制高校時代の話や戦後の混乱期を自身の望通りに生きてゆこうとする著者の姿は、滑稽ながらも読者の人生観に訴えてくるものがあるように思います。
    自分がなすべき「仕事」とはどのようなものなのか、他者とのつながりをどのように持つべきものなのか、著者の一見すると自堕落で適当な生活にも、ヒントがあるのではと感じました。

    エッセイの文章も軽快で笑いに富んでおり、著者のほかの作品もぜひ読んでみたくなりました。

  • 読みやすくおもしろかった。ときどき笑いだしそうになったし、現代のへたな「笑える」エッセイよりおもしろいかもと思ったり。文章がすごく好き。軽妙で、ときにスマートに自虐的だけど、芯に熱く真剣なものがあるような。
    松本の旧制高校での生活。松本に行ってアルプスの山々を見てみたくなった。
    先生とのあれこれや、試験の話とかが特に好きだった。
    「航海記」も読みたくなりました。とまらないー。

  •  辻邦生について調べていて、この本にぶつかった。辻邦生と北杜夫が旧制松本高校の先輩後輩だというのは知っていたが、作品中に登場しているのは知らなかった。そう言えば、中学時代に北杜夫は結構読んだのだが、この本は読んでいなかった。
     太平洋戦争末期の東京から始まり、壮絶な話もあるが、基本的には北杜夫のエッセイらしい馬鹿話・ヨタ話が中心である。彼のエッセイを読むと必ず感じるのは、自分のことを笑い飛ばす精神だ。したたかさとも言えるが、そのおかげで深刻な話も気楽に読める。
     タイトルに「青春記」とある通り、北杜夫の青春時代、旧制高校時代から大学時代のエピソードが中心になっている。読んでいて、何だかとても懐かしかった。当然ながら私が行ったのは新制の高校・大学だけれど、雰囲気が似ているのだ。もちろん作中に描かれる旧制松本高校のように過激ではなかったけれど、本当に似ている。私が卒業した高校は、県下の公立高校普通科では一・二を争う問題校で、日々何かが起こっていた。けれど、教員と生徒は基本的には仲が良くて、今思えば一緒に問題を起こしてたような気がする。教育委員会ににらまれた教員は、私の高校に飛ばされるって話もあったくらいで、現在だったら新聞沙汰になるようなことも多かった。けれど、本当に、私たちは毎日精一杯生きていたし、精一杯バカをやったし、精一杯後で思えば恥ずかしいようなことをやった。それが、北杜夫の描く旧制松本高校に、驚くほどよく似ている。
     もしかしたら、似ているのは私の高校と旧制松本高校ではなくて、ある程度の年齢になってから振り返る「青春時代」というものかも知れない。人みな青春時代があって、それに対する思いはそれぞれだろうけれど、何か共通する部分もある。その共通部分を思い出させるのが、この本かも知れない。上記のように、基本的には馬鹿話で、笑いながら読めるけれど、読後感はしみじみとしている。それは、読者の心の中の青春時代の印象なのかも知れない。

  • 北杜夫さんが亡くなった.「楡家の人びと」を読んで以来,また彼の本を読み始めていたので寂しい.
    この本は旧制松本高校から東北大学時代の回想のエッセー.旧制高校での生活を描いた本の中でも最もすばらしいものに入るのではないか.バカバカしいこともたくさん出てくるが,それとともに親友の辻邦生さんや望月市恵先生との出会いも語られる.そして文学に目覚め,真剣に取り組む様子などまさに「青春記」にふさわしい.
    現在,旧制松本高校の校舎は旧制高校の博物館みたいになっていて,北杜夫さんの高校時代の物理の迷答案や,昆虫学者になりたいのを父茂吉に反対されてすねて作ったような短歌の色紙などもおいてある.この夏に見たばかりで印象も強いうちにこの訃報にあった.ご冥福をお祈りします.
    本の中でまたお会いしましょう.

  • 斉藤孝『読書力』にあったオススメの書。必ず読もうと思う。

  • ◆青春とは、かくもおかしいものだ!◆
    鮮明に網膜に残っているのは、信州のひえびえとした大気の中にひろがる美しい山脈(やまなみ)である。殊にその秋の私の心象を映してか、夕暮れの光景ばかり思い出される…。旧制・松本高校とその学生寮・思誠寮を舞台に、日々バカ騒ぎ、悩みながらも、大人へと向かう青春の記録。バンカラと呼ばれた松高生、個性的な教師たち、皆、滑稽ながらも愛らしい。松本市にある旧制高等学校記念館を、合わせて見るのもおすすめです!

  • 北杜夫の青春小説
    以下書き抜き
    模倣し、かつ模倣されない奴は駄目なんだ。
    みんなが馬鹿に見えて仕方がないときと、自分が片輪に見えて仕方がないときがある。しかし、みんなが片輪に見えるときや、自分が馬鹿に見えるときは一ぺんもない。
    ・一体、この世の若者で、死への誘惑を受けなかったものがどれほどいようか。よほどの強者か、相当に鈍感な者か、あるいは外界の危機が自己の内部を覗きこむことを妨げた場合を除いて。
    ・スペインのことわざに、三十歳までは女が暖めてくれ、そのあとは一杯の酒が、またそのあとは暖炉が暖めてくれる
    ・他のすべてのことに無能力だとしても、残されたただ一つのことに才能があるとは限るまい。
    ・今日、また俺は1日を棒にふった。人生は棒にふれ。しかし1日はもっと大切にすべきだ。

  • どんな時代でも若者の考えることは大体同じなのだなと感じた。

  • 旧制高校の学生がやっていることはめちゃくちゃだけど、それがゆるされる世の中の雰囲気があったんだなぁ

  • 著者が40歳の頃に、自分の青春時代について書いているエッセイ。航海記、狂阪神時代と続いてこの著者のエッセイを読むのは3冊目。そのため、前者2作品のようなノリなのかと思い読み始めると、流石に少し重かった。青春時代を戦時中~戦後で過ごしたのだから無理はない。まずくても食べるしかないし古本屋で本を買うにも米がいる、というようにとにかく空腹との闘いという今では中流家庭以上では恐らく想像できないような暮らしをしている。
    とはいえ、多くの人が書くと暗いエッセイとなるのだろうが、そこは流石北杜夫氏。個性豊かな登場人物と著者自身の行動に笑わざるを得ない。というかどこまでが本当のことなのかわからない。大変な時代は大変なりに、皆で団結して楽しく明るく過ごそうとしていたようにも見える。
    若い頃は一度でも死に憧れる、だが戦時中は死は日常なのでそのようなものはない、など納得できることも。時折真面目な話を挟んでくるので油断ならない。

    著者お気に入りの話を読んだ直後にこれを手にしたのは偶然かそれとも。

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著者プロフィール

1927年東京都生まれ。54年、『幽霊』を自費出版。60年、『どくとるマンボウ航海記』が大ベストセラーとなりシリーズ化し、作家に転身。同年、『夜と霧の隅で』で芥川賞、64年、『楡家の人びと』で毎日出版文化賞を受賞。著書に『さびしい王様』『輝ける碧き空の下で』などがある。

「2018年 『どくとるマンボウ航海記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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