複合汚染 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101132129

感想・レビュー・書評

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  • 上梓は1975年。世間では環境汚染、公害問題が深刻になっていた。
    あれから約50年、環境汚染という問題は、さすがに今の日本ではない(表面化してないだけかもしれないが)。しかし、異常気象、環境破壊がそれに代わっているような気がしてならない。

    「文明開化した人類は、壊れない物、腐らない物、燃えない物を追い求めた結果…」と、語る。本書では、PCBに繋がるのだが、現在では農薬に限らず、プラスチックや化石燃料かもしれない。ひょっとしたらSDGsも将来的には未知数? 開発・利用された当初は、持て囃され、夢の××だったのが、実は…、というものは少なくない。
    しかし、私たちにどんな選択肢が残されているのだろうか。きっと、「現状は安全といわれている」農薬を使い、車を使い、プラスチックで包装され、水道水を飲むしかない。今さら、電気もガスもネットも車もない社会に戻ることはできない。それが、環境破壊だとしても、…。

    「どうして日本に原料を輸出し、化学製品を買い、なぜ日本を儲けさせるのか?」の問いに「わが国に公害をもたらしたくないから」と答えた首相の話がある。誰もが、実験台なのかもしれない、と、空を睨む。

  • 高校の現代社会の授業で紹介されて読んだ本。

  • 以前借りたけど頭に入らないか時間切れでつんどく…
    つん…ど…つんどくしてたもの

    再トライ

    各所で参考に出される大事な書か。

    長くかかりましたが読み終わり、
    私が産まれる9年前に書かれた本にすでに
    御用学者という言葉がかかれていたり
    企業の広告、国の機関の言うことを
    いちいちうのみにせず、疑ってみることの大切さ
    わからなくても、学者に「もっとわかりやすく言ってください」と聞いていいということ、またその勇気
    世の中をじっくりみている「ご隠居」とのやりとり
    文章が楽しく、時間かかったけど読んだかいあり。

    ふせんはったとこめも

    p161
    おそろしいものを食べて生きている為、染色体がめちゃめちゃになっているから遺伝子もくるっている。
    孫の顔をみたいとは思わないという半端な知識人。
    →もっとも男性的な意見だということ。こんなことを言う人に限って幸せな結婚をしているし、子どもの出来も悪くない。その幸せを子どもにも与えたいとなぜ思わないのか・

    確かに。女性なら、子どもや孫の幸せを考えて生活をよくしようとしたりするもんだもんね。

    p391
    マンハッタンの高層ビル群のなかで3,4回に事務所がある人でエレベーターを使う人はなく、階段を上らないでいると具合が悪いのかと聞かれたそう。
    エレベーターは老人と病人と、ハイヒールを履いたおしゃれでバカな女のためにあると。

    機械は病人を作る。ギルダー女史

    p490
    ヨーロッパや東南アジアの牛や豚は車道を横切って移動していく。
    運動している。
    →会いたい♡

  • 「小説家の直感と広汎・周到な調査によって自然と生命の危機を訴え、多くの読者を震駭させた問題の作品」。(裏表紙の紹介文より)
    1974(昭和49)〜1975(昭和50)年に朝日新聞朝刊に連載された小説をまとめたもの。小説としては構成がかなり歪で、個人的には科学的ノンフィクションに近いエッセイだと理解している。作者は全体構成を考えず、短期的な計画だけで書き進めたのではなかろうか。そう思えるほど話題がとりとめなく移り変わっていく。しかし、内容はどれも興味深い。
    当時に比べると21世紀の現在では日本の社会で環境汚染や公害について騒がれることは少なくなったように思う。しかし、何十年も前の汚染は現在にも確実に影響を及ぼしている。本書のデータは古いので、その後どうなったのか調べてみたい。

    学んだ点:
    ・日本の政府(厚生省など)が定める基準値や方針は正しいとは限らない。自分の健康は自分で守らなければならない。
    ・日本古来の小規模な有機農業は本来コストがかからないもの。
    ・家庭で使う中性洗剤、合成洗剤、界面活性剤などは人体にも自然環境にも有害。昔ながらの粉石けんは、汚れもよく落ちるしコストも安い上に安全。

  • 2019/06/11

  • 食品添加物など、個別ではそこまでの被害がないとして使われる物質が複合的に恐ろしい汚染を引き起こすということを伝えている本。ミレニアム世代以降はたしかに恵まれた環境で育ったかもしれないが、こういう食べ物で育ったため長生きしないかもなとすら思う…

  • 1974年から1975年,朝日新聞連載小説.農薬,添加物などの化学物質の複合汚染の危機を世に知らしめた本.
    告発の書といった雰囲気ではなく,非常にうまい語り口なので,するする読んでしまう.
    でも社会的な問題に関心の薄い私にはなにも残るものがない.
    申し訳ない.

  • だいぶ前の本であるので、現代ではもう少し進歩があるのかもしれない。
    最近話題の「ねばねば石鹸」の前身(?)が提案されていた。(我が家でも使っている)
    ただ、洗濯石鹸についての部分で、「お母さんを甘やかさないで~」というような記述が見られる。現代に生きる私からしてみれば、少々強い言い方で、がっかりした。夜に石鹸液に洗濯物をつけておいて、朝に洗えばいいとのことだが、なかなか難しいことである。

  •  
    ── 有吉 佐和子《複合汚染 19741014-19750630 朝日新聞 197504‥ 新潮社 19790529 新潮文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4101132127
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%CD%AD%B5%C8+%BA%B4%CF%C2%BB%D2
     
    ♀有吉 佐和子   作家 19310120 和歌山 東京 19840830 53 /
    ♀Carson, Rachel Louise 19070527 America   19640414 56 /
     
    ── カーソン/青樹 簗一・訳《沈黙の春 ~ 生と死の妙薬 1964-19740220 新潮文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4102074015
    ── 《Silent Spring 1962‥‥ America》
     
    (20160919)
     

  • 小説というよりは、ドキュメンタリーに近い。
    高度成長期の日本では、環境破壊がすすみ、深刻な問題となっていた。
    この作品が注目されたおかげで、各自治体を含めた国の黄河への取り組みが行なわれるようになったそう。
    分厚い本ではあるが環境問題に関心のある方にはおすすめ。

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著者プロフィール

昭和6年、和歌山市生まれ。東京女子短期大学英文科卒。昭和31年『地唄』で芥川賞候補となり、文壇デビュー。以降、『紀ノ川』『華岡青洲の妻』『恍惚の人』『複合汚染』など話題作を発表し続けた。昭和59年没。

「2023年 『挿絵の女 単行本未収録作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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