針女 (新潮文庫 あ-5-17)

  • 新潮社 (1981年1月1日発売)
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  • 本 ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101132174

感想・レビュー・書評

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  • 2022.11.20 図書館

  • 2015 7/24

  • 仕立て屋の縫子として働く清子。
    その仕立て屋の主人は、江戸っ子気質でさっぱりとした性格の三五郎。
    その妻で世話好きなお幸。
    二人には弘一という一人息子がいるが、幼い頃から面倒をみる清子を実の娘のように思っている。

    そんなある日、清子は誤って針を踏んでしまい階段から転落。
    その清子に手渡されたのは弘一の入隊通知だった。
    その後、手術をしたものの清子の右足は治らず、弘一は戦地に赴く。

    戦禍の迫る最中、弘一の本を整理する三五郎。
    それを手伝う清子は弘一の書いたノートを見つけ、彼の本心を知ることとなる-。

    「華岡青洲の妻」を思い出させる本でした。
    あれと違うのは、清子が弘一の妻でなかったということ。

    お幸が前半と後半ではまるで人が違ったようになっています。
    母親の息子への愛情というものは凄まじい・・・。
    淋しさが彼女を鬼に変えたのだろうと思います。

    それに対峙する清子が内心は怒りを覚えたり戸惑いながらも、冷静に大人の対応をしているのが素晴らしい。
    それは彼女が幼い時から親がいなくて一人で生きていたからだと思う。
    何ももたない、人に期待しないという彼女のそれまでの生き方を見た気がしました。

    ただ有吉佐和子さんがこの本で描きたかったのは、そういう女同士の葛藤ではなく、最後に清子が感じたことだと思います。

  • 両親を失って
    ほかの家で育てられる少女が
    女性になる25歳までの記録。

    彼女は孤独の身。
    しかも彼女はその待遇が災いし
    最後には最大の災難を
    味わうことになります。

    ですが、彼女とて、
    戦争を乗り越え、変わりました。
    ですが、それは人も変わったということで。

    さびしいお話。
    でもすごく心にしみました。

  • 終戦間際から終戦後数年の清子と弘一、それを取り巻く人々の流れ。<br>
    人生はなるようにしかならないという話。それは絶望的なのではなくて、ただ単純にそういうものなのだという事。<br>
    人生についてちょっと考えてみたい人に。(あんこ)

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著者プロフィール

有吉 佐和子(ありよし・さわこ):1931年、和歌山市生まれ。作家。東京女子大学短期大学部英語科卒。1956年『地唄』で芥川賞候補となり、文壇デビュー。以降、『紀ノ川』『華岡青洲の妻』『恍惚の人』『複合汚染』『和宮様御留』など話題作を発表し続けた昭和を代表するベストセラー作家。1984年没。

「2025年 『有吉佐和子ベスト・エッセイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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