- Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101132211
感想・レビュー・書評
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そうだろうなあと想像、難くなかった演劇界のあれこれが広がった。
いやいやいや、有吉佐和子さんの古びていない小説力だからこそだと思う。
中心が俳優「八重垣光子」と「中村勘十郎」って、記憶ではモデル問題も出たような(?)
誰それと舞台俳優の名前をあてはめてしまうのだが、もちろん巧み構成力と筆運びのフィクション。
そしてシテの演出家と、その別れた妻の脚本家のからみあいが微妙。
しかもミステリー仕立てで、読むのに興深いのである。すごい作家だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昭和57の作品。
前半は演劇や舞台の話が中心でやや退屈気味だったが、後半は推理小説らしくなりあれこれ考察したくなる。
どんでん返しとまでは言わないけど、犯人やその状況などは意外な展開だった。
不自然なところもあるけど、良いラストだったし、登場人物もなんかいい。
偉大な才能ある人こそ、しばしば大きく欠けている点もあるというのは、現代こそ大きくうなずける。 -
★3.5のおまけで。
ミステリーとして楽しむものではなく、人間関係の泥々感を堪能する作品ですな。最後の締め方なんか最高かと。もしかするとすべての話は最後の伏線だったのかなとさえ思います。
いや、楽しいエンターテインメント作品です。 -
一つの演目に関わる芝居人たちの話が急にサスペンスに。
今迄に味わったどの小説やドラマより、切れ味よく、切なく上質のサスペンス。長編なのにぐいぐい読ませる面白さ。
八重垣と勘十郎のやりとりや劇場の空気感はかつて演劇にはまっていた自分にとっては懐かしく、それもこの作品を楽しめた理由。
推理中心のやすっぽい某シリーズ小説と違い、役者同士、親子、師弟、男女それぞれの葛藤、心の闇が良く描かれ、読後には松本清張にも通じる「人の業」というべきものの悲しさ、やるせなさを感じた。 -
舞台の上でのみ生きて、華やぐ。
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自分が、日中戦争の頃の歴史に疎いのが残念。多少なりとも知識があればより楽しめただろう。
それでも、こんなすばらしい推理小説(ミステリー?)に出会えてよかった。
というか、有吉佐和子さんに出会えてよかった。
奇しくも、私が生まれた年にお亡くなりになったのも何かの縁じゃないかと思いたいくらいに。 -
八重垣光子と中村勘十郎のスター2人の帝劇の特別公演。その公演中に2億円と引換に八重垣光子を殺すという脅迫電話が。
うーんおもしろかった。ミステリー的な要素もだけど、演劇の裏で繰り広げられるドラマがおもしろい。登場人物のそれぞれの人物像がしっかりとしているし、うまい!!って感じ。 -
おもしろかったー
文章がなんか包容力というか豪胆というか、そういう雰囲気があって好き。なんでも受容しそうな感じがする。
女優こわい。 -
演劇の世界にいると死んでしまうと思って、演出家を辞めて現在推理小説家になってた渡紳一郎。
彼は、不眠症で、いつも決まった時間に薬を飲み眠りにつくのだが、その日は睡眠前に電話がかかってきた。
別れた妻・脚本家の小野寺ハルからの電話だった。
その内容は、公演を目前に突然の降板を宣言した有名劇作家の代役として、脚本を書くと言い出したのだ。
そして、彼女の出した条件は演出家は、紳一郎にすることだった。
翌朝・・紳一郎の家の前には、東竹演劇の重鎮達が顔を揃えて待っていた。知らない仲ではなく、必死にお願いをする姿をみて渋々承諾をする。
主演は、歌舞伎役者・中村勘十郎と大女優・八重垣光子と決まっていた。
70歳を越えた二人。
そして演じるのは、男装の麗人・川島芳子(愛親覚羅明清)若くしてなくなった舞台だったのだ。
舞台稽古も色々とあったのだが、なんとか公演となった。
公演は、補助席を出すほどの大盛況だった。
ある日、一本の電話が劇場にかかってきた。
「二億円を用意しろ、さもなくば大詰めで八重垣を殺す。」
舞台の裏で絡み合う人間模様。
華やかに見える舞台の裏では・・。
そして、公演中にかかってきた脅迫の電話。
事件の開幕のベルは華やかに幕を開ける・・・。
これは、なかなか面白かったです。
テンポもよく読みやすかったですね
興味のある人は手をとってはいかがですか?
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なんで私がいいと思った本は画像がノー・イメージなのかしら・・・ マイナーな本が好きなのかな? サスペンスです。舞台の上も、裏も、面白かった。