官僚たちの夏 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101133119

感想・レビュー・書評

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  • この作品は、通産省の人事を巡る人間関係を描いています。主人公の風越は官僚的であり、ある面では、非官僚的です。誰に対しても歯に衣着せぬ物言いは魅力的だ。「男なら」を好み、人に頭を下げるのが嫌いだ。保身を考える組織人には羨望だろうと思う。

    • seiyan36さん
      おはようございます。
      この作品、高度成長期を舞台にした作品のようですね。
      官僚に限らず、日本全体が熱かったと思われる時期が、懐かしく思い...
      おはようございます。
      この作品、高度成長期を舞台にした作品のようですね。
      官僚に限らず、日本全体が熱かったと思われる時期が、懐かしく思い出されました。


      2022/05/24
    • 2022/05/24
    • ダイちゃんさん
      (コメントが入りませんでした。続きです。)
      おはようございます。熱い志を持って読書していた頃が懐かしいです。
      (コメントが入りませんでした。続きです。)
      おはようございます。熱い志を持って読書していた頃が懐かしいです。
      2022/05/24
  • 何回目かの再読。
    初読は大学で。役人に興味があった。
    2回目は若手社会人の頃。
    3回目、ガンで余命宣告を受けた親父がなぜか読んでいたのを見て。勤め人としてのあれこれを思い出していたのか。
    そして今回。当たり前だが、読後感は毎回大きく異なる。

    昭和30年代のあらゆる意味でありえない働き方、理不尽。
    定時退社しただけでやる気不足扱い。男女差別を差別とも思わない。いや、むしろ通産省は他の役所より積極的に女性キャリアをとるんだ、と。そしてその新人に「お人形さん」とあだ名をつけることが「ユーモア」だった時代。
    いっそすがすがしいまでに、「国家のため」と「省のため」を混同した政策論議。はあ。
    主人公の「豪放磊落」気取りの態度も、今日的に見るとまったく共感できない。

    一方で、ここで戦わされる企業再編の必要性を巡る議論が今でも相当程度有効なことにも驚かされる。
    特許行政の遅れとかも含め、今日の「経済的安全保障」論のプロトタイプとも言うべき論点はすでにその萌芽があったと。

    そして、中身が今から見れば時代錯誤だとしても、「これはやるべき」と納得できた仕事に滅私奉公している姿には、いくらワークライフバランスがあたりまえの今日でもやはり胸が熱くなるものだ。そして、人事というものの巡り合わせの不思議さにも時代を超えたリアリティを感じる。

    というわけで、かなりいろいろな意味で今の時代には馴染まないストーリー。それでも時代の記録として、そしてある意味普遍的な「働きバチの誇り系小説」として、その価値は全く損なわれていないと感じた。

  • 2009年ドラマにもなった城山三郎の著作。
    戦後の日本経済の趨勢を通産省の官僚たちの姿を通して見ることができる。

  • 霞が関に少しでも興味がある人にはおすすめ。

  • これを読んだのは、随分前のことだ。
    官僚にもすごい奴がいる
    と ひどく感激したものだった。

    『自由化したらアメリカに負けてしまう という 強迫観念と
    通産省のチカラで 民間産業を育てる という強い意志がある』
    国の未来を考え、国を動かす通産官僚。すごいぞ。熱いぞ。
    という物語である。
    日本の敗戦後の経済成長のなかで
    通産省が どんな役割をしたのか?
    国内産業の保護というのは 
    戦後の一時期は 必要だったかもしれない。

    国内産業保護派
    『赤ん坊を寒風にあてたら、強くなるどころか風邪をひく、
    命にかかわることもある』
    国際貿易推進派
    『日本経済はもはや赤ん坊ではない。
    過保護にすると、子供はいつまでもひ弱なままだ』

    風越のモデルは「佐橋滋」
    通産省大臣官房秘書課長→重工業局次長→重工業局長→企業局長→
    特許庁長官→事務次官
    風越信吾 は 「ミスター通産省」といわれるオトコ。
    そういわれても・・・当然という顔をしているほど
    心臓の強いというか、心臓がないオトコだった。
    『あいつは サムライだ』というのが ほめ言葉らしい。

    それぞれモデルがあった。

    この経歴を見ていると 天下り は当たり前なんですね。
    そういう意味で 佐橋の 身の処し方が 清いかもしれない。

    問題は 個人的な人間評価 をポイントにするのではなく
    風越信吾 が 何をしようとしたのか?
    という 通産省の官僚としての 行動評価が いるような気がする。
    日本の進路 を 個人の枠にはめて考えるのは
    いい手法とはいえない。
    もっと 客観的な目がいる。
    城山三郎の 風越信吾に対する高い評価が そのまま
    再現されるのは どうなのだろうか? 

  • 2016/06/27読了

  • 「官僚」というと、『縦割り行政』とか『天下り』などといった
    マイナスイメージしか浮かばない昨今ではあります。

    日本の今と将来のことなんか、まったく考えてないでしょ。
    一般的国民の生活のことなんかわかってないでしょ。
    と、思っちゃうようなニュースばかりが流れてきます。

    でももしかしたらそれはほんの一部のことで、
    ニュースとして扱われないところで、
    本当は私たち一般国民のためになることをやってくれているのかもしれない。

    と、思い直させてくれたのでした。
    (というか、そうであってほしい)

  • 城山三郎強化期間により、数年ぶりに再読。
    尻切れトンボな終わり方はさておき、戦後ニッポンの国づくりに燃えた通産官僚たちの汗と涙が目の前に飛び出てくるような錯覚すら覚えた。

    片山のようなタイプの人間が、昭和40年代の日本にもいたことに驚かされた。

  • よく読書は主人公の人生を体験することだ、と言いますが、官僚の事情は一切知らず、昔は出世争いの中に生きる国家の仕事というのは、文字通り『身を削る』仕事だと感じました。
     男性であったからこそ、戦後の日本復興期に活躍できたのだとも思いますし時代が移り変わって行く事も肌で感じられました。
     人の為を思い、仕事をすることが出来れば日本はもっと良い国家にもなれるのではないでしょうか。

  • TVドラマを観て文庫本を購入
    ※2010.8.20売却済み

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著者プロフィール

1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。57年『輸出』で文學界新人賞、59年『総会屋錦城』で直木賞を受賞。日本における経済小説の先駆者といわれる。『落日燃ゆ』『官僚たちの夏』『小説日本銀行』など著書多数。2007年永眠。

「2021年 『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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