男子の本懐 (新潮文庫)

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レビュー : 100
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101133157

感想・レビュー・書評

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  • 非常に重厚かつ濃密な物語で、じっくりと楽しむことが出来ました。金解禁という一大事に取り組んだ井上と濱口の絆や信頼関係が読んでいて気持ちよく、それだけに2人の迎えた結末が無念でなりません。また状況が止めようもなく悪い方向へ悪い方向へ転がってゆくのが丹念な筆致で描かれており、当時の日本が如何にしてあの凄惨な戦争へと転がり落ちて行ったのか、その原因の一端を理解出来たような気がします。この手のジャンルの小説を手に取ったのは初めてでしたが、楽しく読むことが出来ました。機会があればまたこういった作品を読んでみたいです。

  • 経済小説。舞台は第一次世界大戦後の混乱収まらぬ大日本帝国。主役は濱口内閣の濱口雄幸と井上蔵相。強い信念を持ってこの国を金本位制へと復帰させた。未来を見据える政治家は、いつの世も眼前利益重視の国民とマスコミに翻弄される。金解禁と現世の原発問題がダブる。

  • 熱い、理念を貫き通し暗殺に倒れる政治家の話。
    感動的ではあります。

    第二次世界大戦より前の日本の話ですが、この小説を理解するには、時代背景やその当時の金融システムを勉強し、理解してからでないと、あまり内容についていけません。

    僕の中では、小説とは、あくまでも一つの話であり、その中で完結しなくてはならないと思います。
    そういう、観点から見ると、この小説は、時代背景やシステムの説明が乏しく、不親切な小説のような気がしました。

  • 濱口雄幸、井上準之助の二人の絆を描いた本。どうしても易きに流れる中、本気で日本の未来を考え理想に向かった二人。結果二人は命を落として、日本は戦争へ向かうことになる…

  • 金解禁に奔走した浜口雄幸と井上準之助の命を懸けた仕事への情熱が伝わってくる良い小説であった。二人とも銃弾に打たれて亡くなるのだがそれまでに政治、金解禁に懸ける気合は凄まじいものがあった。我々も見習わないといけない。一回一回が勝負、ウォール街暴落、生に対する執着、インフレ、浜口の実直な人柄、満州事変、金輸出禁止、天命をうけた以上決死の覚悟で事に当たるつもりでいる、等本懐というものを再度考えてみたい。

  • 濱口雄幸は第27代内閣総理大臣として、1929年から1931年という世界恐慌の真只中の激動の時代に宰相を務めた人物です。

    本作では、その主要な経済政策である金解禁を実現するために、蔵相の井上準之助とともに信念を貫く濱口の姿勢が主題として描かれています。

    実直謹厳な濱口と、日銀出身で海外経験も豊富な井上。二人のスタイルは正反対ですが、金解禁を実行するために抵抗勢力と徹底に対峙する信念の強靭さが強く印象に残ります。

    濱口は1931年に東京駅にて凶弾に斃れ、題名の「男子の本懐だ」という言葉を発します。一時は回復を見たものの、死去。更にその翌年、盟友井上も血盟団の凶弾により命を落とします。

    デフレ政策である金解禁についての歴史的な評価は様々ですが、政治家としての信条に対し、文字通り不惜身命であった二人についてあまり語られることが少ないのを悔やみました。

  • 2012/08/16

  • ・「人は常に態度に気をつけ、堂々たる容姿を以て人に接しなければいかぬ。自分の気持ちを人から悟られるようでは何事もできぬ」井上準之助
    ・「自分は天命を受けた以上、決死の覚悟で事に当たるつもりでいる――途中、何事か起こって中道で斃れるようなことがあっても、もとより男子として本懐である」浜口雄幸
    ☆命を賭けて仕事をするとはこういうこと

  • 1929年-1931年の濱口内閣。
    首相の濱口雄幸と蔵相の井上準之助のお話。

    歴史で習った"世界恐慌"ど真ん中。
    経済や歴史に明るい人ならかなり楽しめそう。
    私はどちらにも暗いが、それでも読み応えがあった。

    日本という国に必要と思われる政策を、
    「決死の思い」で「断固として」進める。
    まさに
    「すでに決死だから、中道で倒れても、もとより男子の本懐」

    二人が倒れた後の未来を、歴史として知っている今、
    何というか、とても切ない気持ちになる。

  • たらればなので、もし暗殺されていなかったらは、わからないですが、男の生き方としてかっこいいと思いました。
    ・すでに決死だから、中道で倒れても、もとより男子の本懐。
    ・早く帰って、日常業務から解放されて、個人の時間で大所高所に立つ勉強をせよ。一人一人の質を高めることが、銀行のため、国のためになる。
    ・人をリードするためには、読書をせねばならぬ。
    ・一度膨れ上生活を縮めるのは、人間には難しいのだろう。
    ・正しく明るき政治に機密費は不要
    ・柔則存 剛則折

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著者プロフィール

城山三郎(しろやま さぶろう)
1927年8月18日 - 2007年3月22日
愛知県名古屋市中区生まれ。大日本帝国海軍に志願して入隊し、特攻隊の部隊に配属されたが、訓練中に終戦となった。東京産業大学(一橋大学の前身)を卒業後に1963年までは大学講師を務めながら作家活動を続けていた。経済小説を一ジャンルに格上げした先駆者のひとり。伝記小説、歴史小説も多い。
1957年に『輸出』で第4回文學界新人賞、1959年『総会屋錦城』で第40回直木賞、同年『落日燃ゆ』で吉川英治文学賞と毎日出版文化賞、1996年『もう、きみには頼まない 石坂泰三の世界』で第44回菊池寛賞をそれぞれ受賞。2002年に朝日賞を授与される。
代表作としては上記作品に加え、二度テレビドラマ化された『官僚たちの夏』、妻との想い出を描いた遺稿のエッセイ『そうか、もう君はいないのか』、よくタイトルが人物評としても用いられる、『粗にして野だが卑ではない』が挙げられる。

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