逃亡者 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1991年1月1日発売)
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本 ・本 (292ページ) / ISBN・EAN: 9784101133232

感想・レビュー・書評

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  • P284

  • 城山三郎の短篇集。一篇目の展開から、ミステリになるかと思っていたら、純文学でした。

    ジャンルとしては、サラリーマン文学というような、被雇用者の悲哀であり板挟みでありというもので、開高健や源氏鶏太と似たようなジャンル。開高健ほど毒を食らわば皿までという開き直りはなく、むしろどの作品も、盛り上がりで殺されかけたり、一生強請られかけたりと、ミステリに入っていく要素が強い。その後どの作品も、「改心したようでよかったね」となるのは、時代が違うということか。

    書かれた時期は戦後すぐなのか、「四十六万円、リベートは1割として四万六千円。給料よりも高い」「五千円という大金は痛い」など、金銭感覚が今ひとつピンとこなかったところは地味に引っかかったが、幕切れ部分以外のストーリー展開は、どの作品も秀逸であります。

  • 一日一話で時間をかけて

     8話の短編集。8話目は飽きて読まなかったが、7話を読み切った。

     普段ならさくっと捨てるんだが、今回は「そのうちいいのもあるだろう」と怠惰に続けてしまった。

     愛するサンショウウオが実は教え子に食われていたというオチが光る「逃亡癖」というラス前の作品がけっこう印象に残ったが、後はイマイチ。残念だ。

  • 全体的に古臭くていまいちだが、「えらい人」は良かった。主人公の少年目線を通して間接的に周囲の人間を描写することで、かえって人間心理がぐっときた。

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著者プロフィール

1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。57年『輸出』で文學界新人賞、59年『総会屋錦城』で直木賞を受賞。日本における経済小説の先駆者といわれる。『落日燃ゆ』『官僚たちの夏』『小説日本銀行』など著書多数。2007年永眠。

「2021年 『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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