- 本 ・本 (560ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101133324
感想・レビュー・書評
-
ちょっと惹かれるタイトルでしょ?
城山作品は男性的っていうのが定評だと思う
わたしは『落日燃ゆ』などの作品を
粛々たる気持ちで読んできた
ところがこの作品はめずらしく女たちのものがたり
東京郊外ニュータウンでおだやかな生活をしていた38歳の
平凡な専業主婦の主人公がひょんなことから世に出て働いていく
「いま、あなた本当に生きている実感があるの」
と、やり手の女友だちにささやかれて
その過程のさまざまなあれつきが描かれている
いわく、女ゆえ信用されない仕事のむずかしさ
子供との関係、夫との関係...
そうして結局、ほどほどに保守的な主人公が軟着陸
誘ったイケイケ副主人公も事業に失敗して挫折
それでも再びをめざす女友だち
「わたしが妻を持ちたい!のだった」との叫びを発しながら
まあ、今ではちょっと古め話題
しかし
この単行本は2007年(平成19年)に発行されたのだが
はじめて新聞に連載されたのは1986年(昭和61年)なのだ
ああ、80年代!バブル景気の真っ盛り!
当時わたし40歳代
まさに「本当に生きているのか?」と悶悶としていた記憶が...
当然、思い出しながらシンクロしてしまったのだった
あれから30年近くたった
現代においても
女性が社会できっちり仕事をするのは
並大抵の苦労でないこと
変わらないと思うけど詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日常に追われる専業主婦がふとしたことで社会進出するが、多少の社会勉強をしつつも元の生活に戻るといった流れでストーリーからは心動かされることも教訓もないが、文体がとても読みやすく後の展開が気になって読み進めやすいと感じた。
しかしながら前向きな友人はろくな目に合わず、元女優も、クライアントの男性も死ぬという暗い展開に。主婦素子も小説執筆が進まずで、結局専業主婦が幸せと感じざるを得ない。表紙と題名に期待して手に取ったが、勝手に想像していた内容とはかけ離れた内容と思いました。 -
内容が80年代末ぐらいの時代設定で正直いまのご時世にはキツイな。
-
猫を押し付けられそうになった所で読むのをやめた。
ルミへの嫌悪感と素子ははっきり断れよ!という苛立ちで読むのが嫌になってしまった。
城山さんの小説で専業主婦が主人公なのには驚いた。 -
平凡な主婦が、3人子供がいながらもバリバリ働く高校時代の友人に誘われて働き始める話。
それまでは専業主婦であった主人公が「サクセス」を求める社会人たちの波に飛び込み、家庭との両立に悩みながらも仕事を続ける。
家庭を大事にしようとする主人公。
家庭を持ちながらも固執しない友人。
家庭を持たずに働きながらも家庭への憧れが離れない別の友人。
その3人の周囲で事件がおきていく。その事件を通して、「女性が社会に出ながら『幸せ』をつかむのは難しい、そしてその『幸せ』とはつまるところは家庭での生活なのだ」という結論を訴えようとしているという印象を受ける。
僕は女性ではないから、結局のところ結婚や出産、子育てが女性の一番の幸せなのかどうかなんて今は分からないしこれからも分からない。だからこの物語の結論が正しいかどうかはわからない。
ただ、画一的な答えが押しつけられた印象。
そして、本当に主人公が「働いた」と言えるのだろうか、それも非常に中途半端で社会を覗いたに過ぎないなという印象である。 -
期待して読んだが、内容は少々物足りなかった。
-
自分の意志でも他人の意志でも自分の人生は進んでいく。本当に充実してる日々とは人それぞれ。忙しくしてることがすべてだと思う人もいれば、ただグータラ過ごすことに幸せを感じる人もいる。みんな様々な出会いを通して自分の本当の人生を生きていくんだ。そのためにはちょっと寄り道したっていいじゃないか。
-
城山 三郎の作品の中では異色なのでは? 女性が主人公 というだけで異色な気がしますが女性を主人公にしつつ、仕事とは? 生きるとは? 生きがいとは? といったことを問いかけているような気がする作品でした。
(自分も含め)働く女性の姿が現実のものとは少々ずれているかも? という思いもいだきつつ読みましたが、時代のせいか・・・?
(2008年4月)
著者プロフィール
城山三郎の作品





