そうか、もう君はいないのか (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 194
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101133348

作品紹介・あらすじ

彼女はもういないのかと、ときおり不思議な気分に襲われる-。気骨ある男たちを主人公に、数多くの経済小説、歴史小説を生みだしてきた作家が、最後に書き綴っていたのは亡き妻とのふかい絆の記録だった。終戦から間もない若き日の出会い、大学講師をしながら作家を志す夫とそれを見守る妻がともに家庭を築く日々、そして病いによる別れ…。没後に発見された感動、感涙の手記。

感想・レビュー・書評

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  • 祖母は、祖父が死んだ後、今までより本を読むようになり、私は訪問するたびに自分の本棚から何冊か選んで持っていく。迷ったけれど、この本も貸した。

    すごく気に入ってくれて、何回も何回も読み返したと教えてくれた。こんなに愛された容子さんは幸せだね、素敵な話だねと言った。

    私は、祖母のいろんなこと、例えば結婚で大好きな仕事をやめねばならなかったこと、祖父とはお見合いだったこと、祖父の両親とのこと、結婚後のあれこれ、を知っていたのに、それをそういう時代だったからねと言うのを聞いていたのに、祖父はもう死んでしまったのに、この本を貸した。
    同世代でも違う生き方、愛し方を選んだ人たちの存在を教えてしまった。

    それが良かったのか悪かったのかはわからない。
    けれど、祖母が本当に何度も、城山さんも容子さんも、あんな時代に見つけた愛をまっとうできて、幸せだったろうね、すごく幸せだったろうねというのを聞いて、泣いた。

  • ご本人にちゃんと公開する意思があったのか気になる。もしかして秘密のラブレターを出版されちゃったのでは・・・、全国の書店に陳列され、全国の図書館に所蔵されちゃったのでは、と気が気でならない。内容が素敵だっただけに!親密だっただけに!

  • 冒頭の「シェー」のエピソードで、もうグッと心を捕まれた。苦笑いしながらもいとおしさを隠しきれない著者の気持ちが手に取るようにわかる。数ある中でも理想に近い夫婦の形。こういう女性に男は弱い。

  • 最愛の妻を亡くした著者が、妻との思い出と絆を記した本。これほど愛されていた妻は幸せだな、素敵な夫婦だな、と思いました。
    解説で引用されていた一文が印象的でした
    「仕事と伴侶。その二つだけ好きになれば人生は幸福だという・・。」
    その通りかもしれません。

  • 著者のことは存じ上げなかったが、タイトルに惹かれ購入。
    短い本だけど、奥様との出会いから別れまで寡黙な夫の心のうちが書かれている。
    本当はまだまだ未完成なのだろうけど、経済の本を多く書いている著者の最後の本が嫁への愛ってのはいいですね。

  • 城山さんのことは存じ上げず、
    著作も未読の状態で読了。
    普段の文体は知らぬが、
    おごらず、ユーモアに富んでいて、
    いつしか知らぬ容子さんのことも、
    城山さんのことも、
    むかしから知っているかのような気になった。

    読み始めた動機は、とある人が
    「(これを読むと)結婚したくなる」と
    つぶやいていたこと。
    たしかに夫婦って素敵だなと思う本でした。

    容子さんの唯一の欠点、
    遅刻の話をユーモラスに描いたあとのガンへの伏線。
    悔やんでも悔やみきれなかっただろうなあ。
    とにもかくにもタイトルが秀逸だった。

  • 作家の城山三郎さんが、奥様と出会って、そして先立たれるまでの回顧録。
    お二人が送られた人生が本当に幸せそうで、幸せな光景で涙したのは初めてだった。
    奥様は大らかで強く、優しい女性。そのうえとってもお茶目な性格で、こんな女性になれたらと思った。
    特に印象に残ったのは、奥様が城山さんの代わりに作品の為の取材(講義の受講)をした時に、勉強が苦手で、ノートの端に「眠ってしまった」「遅刻してしまった」などを書いていて、城山さんはそれを見るのが交換日記みたいで楽しかった、、と語っている所。
    奥様のお茶目さや、それを愛する城山さんの姿が浮かんできて、城山さんは奥様のこういう所に支えてこられたんだろうなと思った。
    また、奥様が癌になってしまい、海外から帰国された長男がお見舞いから帰る際も、今生の別れになるであろうにもかかわらず、お茶目な挨拶で周囲を笑顔にするところ、、奥様の強さと優しさを心から感じ、涙が止まらなかった。
    城山さんはこの著書の途中に亡くなったため、締めくくりは娘さんが城山さんとの思い出を語る文章となっている。
    娘さんの文章からも、お二人が最後まで出会った頃のままの愛を持ち続けていたことが伝わってきた。
    母が大陸なら父は風、母が太陽なら父は月。 正反対だけれどぴったり寄り添っていたという旨の記述がとても印象に残った。

    身近な人を大切にしたい、1日1日に想いを込めて、噛み締めて生きていきたいなと思った。

  • 愛を知らない若者が読むものではない。感動出来る内容ではあると思うけど、涙はでなかった。変な邪推がはたらいてしまう。
    巻末の娘の書いた文章が良かった。

  • 妻を長く連れ添い、思いの丈が綴られることに、人間としての幸せとは固定的ではなく、その瞬間の透明な記憶が重ね合わされ、集積していった結果として徐に現れるものなのではないかと感じる。

  • こんな夫婦になれたら幸せで、残された方は想像できないくらい辛いだろうな。


    題名に惹かれて買った本。
    なので、城山さんの作品を一つも読んだことないので、
    どんな作風なのかわからないが、
    奥さんを『妖精』と言ってしまうなんて、と冒頭からなんてのろけかと
    思い、素敵な人だなぁと思った。
    この本を通してでしか、奥さんのことはしらないが、
    それでもとても愉快で天真爛漫で、確かに妖精のような人だったんだろうなぁ。

    中に載っている『妻』という詩を読んで
    最後の3行にぐっときてしまった。
    そばにいるのが当たり前の存在で、
    とてもかけがえのない存在。

    そんな人がいなくなったらどれほど辛いのだろうかと。

    読了後、

    そうか、もう君はいないのか

    という言葉がえぐられる様に胸に突き刺さった。

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著者プロフィール

城山三郎(しろやま さぶろう)
1927年8月18日 - 2007年3月22日
愛知県名古屋市中区生まれ。大日本帝国海軍に志願して入隊し、特攻隊の部隊に配属されたが、訓練中に終戦となった。東京産業大学(一橋大学の前身)を卒業後に1963年までは大学講師を務めながら作家活動を続けていた。経済小説を一ジャンルに格上げした先駆者のひとり。伝記小説、歴史小説も多い。
1957年に『輸出』で第4回文學界新人賞、1959年『総会屋錦城』で第40回直木賞、同年『落日燃ゆ』で吉川英治文学賞と毎日出版文化賞、1996年『もう、きみには頼まない 石坂泰三の世界』で第44回菊池寛賞をそれぞれ受賞。2002年に朝日賞を授与される。
代表作としては上記作品に加え、二度テレビドラマ化された『官僚たちの夏』、妻との想い出を描いた遺稿のエッセイ『そうか、もう君はいないのか』、よくタイトルが人物評としても用いられる、『粗にして野だが卑ではない』が挙げられる。

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