少しだけ、無理をして生きる (新潮文庫)

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  • 新潮社
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感想 : 67
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101133379

作品紹介・あらすじ

大変な無理だと続かない。大事なのは、ほんの少しだけ、自分を無理な状態に置く。つまり挑戦をし続けることなのだ。城山が魅了され、小説の題材とした『落日燃ゆ』の広田弘毅、『男子の本懐』の浜口雄幸、『雄気堂々』の渋沢栄一。彼らは皆、自らの利を計らうためではなく国家のために闘った。真の人間の魅力とは何か。城山三郎が語り尽くす。解説・佐々木常夫。

感想・レビュー・書評

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  • 本書のタイトルは「少しだけ、無理をして生きる」。少しだけ、気になるタイトルだ。筆者のことを全く知らないこともあり、興味を持って手にとってみた。

    内容は、過去の偉人のエピソードを紹介するというもの。新10,000円札にその肖像画が印字される渋沢栄一を始め、様々な人物が登場する。日本の政治家、アメリカ初の黒人市長、天才棋士…など。筆者の見聞の広さと造詣の深さには感服してしまう。単なる知識を教わっているというより、その時代を生きた人間のみが知る雰囲気までもが感じられるようだった。

    彼らの生き様やエピソードを前にして、読者は生き方の示唆を得ることができる。ただし、手取り足取り教わるような感じではない。自分から心を開示して手を伸ばせる読者じゃないと、何かを得ることは難しいかな。

    そういう意味では若い人や、読書なれしていない読者にはあまり推奨できないかもしれない。

    筆者は「経済小説を一ジャンルに格上げした先駆者のひとり」人物とのこと。ぜひ、他の著作、とりわけ「男子の本懐」は読んでみたいと思わされた。

    (書評ブログの方も宜しくお願いします)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E5%85%88%E4%BA%BA%E3%81%AE%E7%94%9F%E3%81%8D%E6%A7%98%E3%81%AB%E5%AD%A6%E3%81%B6_%E5%B0%91%E3%81%97%E3%81%A0%E3%81%91%E3%80%81%E7%84%A1%E7%90%86%E3%82%92%E3%81%97%E3%81%A6%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%82%8B_

  • 毎日バタバタで,自分を省みる機会もあまりなく,とりあえず目の前の雑事をこなしている私に,力強い喝を入れてくれた本。
    今という時を,一生懸命に生きようと前向きな気持ちになった。

    初心が魅力を作る…。まさに最近の私,型にはまっていた。型にはまるのは楽な道でもある。自分で考えなくていい,自分で切り開かなくていいから。30過ぎると,だんだんと守りに入っていってた。あ,つまんない人間になってきてたんだ,と気づかされた。

    表題の,「少しだけ,無理をして生きる」という言葉はいいなと思った。
    無理をしすぎるのはよくない。でも,少し無理をすることは,やがて大きな実りをもたらしてくれる。知らず知らずのうちに,遠くまで行けるかもしれない。自分の世界が思わぬ広がりや深みを持てるかもしれない。

    そうはいってもまたバタバタしているうちに忘れて,ただ日々の雑事に追われるだけになってしまいそうだから,折に触れて,何度も読み直してみたい。
    それから,私は城山さんの本を恥ずかしながら読んだことがなかったのだけれど,この本は城山さんの著作のちょっとした紹介にもなっていて,あれもこれも読んでみたい!と思った。忘れないうちに『雄気堂々』借りる予約を入れた。

  • 城山さんの交友関係の広さが伺える本。

    以下読書メモ
    >>>
    ・魅力のない人とはどういう人か、みなさんの周りを見回しても割に多いんじゃないですか?つまり、型にはまった人ですね。これは魅力がない。周りに大勢いるということは、人間はつい、すぐに型にはまった暮らしをしてしまうのです。あるいは、型にはまった人間になってしまうのです。

    ・つまり、魅力を作っているのは〈初心〉というものなのですね。仕事に対してだけでなく、生きていく姿勢としての初心、初々しさ、というものはいくつになっても大事なんじゃないか。

    ・初心を持ち続けるとは、どういうことでしょう。あるいは、ずっと初々しくあるとはどういうことでしょう。これは、自分に安住せず、自分というものを無にして、人から受信し、吸収しようとする生き方です。

    ・そうやって勉強して吸収していくと、当然ながら、ここはちょっとおかしいじゃないか、ってところが出てきます。自分だったらこうしたい、こうすべきじゃないかという意見が生まれてくる。それを今度は、書くのです。建白する。今の言葉で言えば、提案する、企画する。そして、上役に出す。

    ・〈少しだけ無理〉というのがいいのです。ごく自然にアイディアやインスピレーションが湧いたから小説を書くー―これは無理していませんね。自然のままの状態です。小説や詩はインスピレーションが湧いてこなければ書けないだるうと思うのですが、夏目漱石の『文学論』を読みますと、作家にとってのインスピレーションというのは人工的インスピレーションだ、とある。つまり、ぽんやり待っていたら何かがパッとひらめいた、じゃなくて、インスピレーションは自分で作り出すものだ。だから、インスピレーションを生み出すように絶えず努力しなくてはならない。自然な状態で待っていてはダメなんです。負荷をかけるというか、無理をしなくてはいけない。けれども、それが大変な無理だったら続きませんよね。作品がダメになってしまう、あるいは体を壊してしまう。

    ・自分がいる箱の中に安住してしまってはダメで、自分がその中にいる箱から出ていこうと、チャレンジし続けなくてはならない。むろん、チャレンジしたところで、作家がすぐにいい作品を書けるわけじゃありません。あるいは、いい製品が作れる、いい技術が見つかるわけじゃない。けれども、チャレンジしないでいると、いつまでも箱の中にいることになる。それでは、作家として、あるいは職業人として、伸びない。先行きがない。

    ・ドン・キホーテの物語です。ドン・キホーテは、みんなから、狂人だ、変人だ、とばかにされている。そこで、ドン・キホーテが言い返すのです。「たしかに自分は狂っているかもしれない。だけど、自分はあるべき姿を求めているんだ。あるべき姿を求めない人間もまた、狂っているのではないか」この台詞は胸に残りました。人間が生きていくというのは、どこかで、〈あるべき姿を求める〉ことではないでしょうか。それこそ最も人間らしいふるまいなんだ、とドン・キホーテは宣言するのです。

    ・「1、初心が魅力をつくる」ではいつも初心を忘れず、今の自分に安住せず、人から受信し吸収しようとする生き方を勧めている。私はその人が成長するかしないかは出会った人や経験から「学ぶ力」があるかどうかが大きいと考えている。「学ぶ力があ
    る」とは、人から学ぼうという「謙虚さがある」ということである。謙虚さを持っている人はなにごとにも学び自らを鍛えていく。

  • 「落日燃ゆ」で著者のファンになり、手に取った本。
    短編のエッセイが、著書のダイジェストのようになっている。著書を読んでいなくても気づきがあり楽しめるが、読んでいて背景が分かるとなお面白い。
    個人的には、「人は、その性格に合った事件にしか出会わない」が1番面白かった。自己啓発本に良くある、「引き寄せの法則」ようだが、渋沢栄一と喜作の2人を対比させることで納得した。
    マネジメントのリーダー論としても使える一冊だと思う。

  • ・初心が魅力をつくる。仕事に対してだけでなく、生きていく姿勢としての初心、初々しさ、というものはいくつになっても大事なんじゃないか。いくつになっても初々しい心で人と触れ合うことができる、本について語り合える。そんな積み重ねが、人間あるいは人生を魅力的にしていく。

    ・もちろん発信もしなくてはいけないけれど、同時に受信する能力も長けていないといけない。今ある自分に安住しない。それが初心というものにつながっていく。

    ,人間を支える三本の柱は セルフ=自分だけの世界、インティマシー=親近性、アチーブメント=達成。

  • 「少しだけ、無理をして生きる」という趣旨の内容について直接的に触れているのは限られており、一見すると大半は濱口雄幸と渋沢栄一、廣田弘毅の3人のことについて書いているようにみえる。

    ただし、上述の3人とその関係人物を通して「少しだけ、無理をして生きる」ことについて学べることはたくさんありました。

    城山三郎の本は、ビジネスマンとしても人間としても大いに参考になる点が多々あり、本書もそのうちの一冊です。

    ◾︎魅力のない人〜型(机)にはまった人、
    ◾︎魅力をつくる〜初心、初々しさ
    ◾︎渋沢栄一〜吸収魔、受信機の塊
    ◾︎伊達政宗〜よく相手の人間を見ている、人間観察の達人
    ◾︎伊藤整〜いつも自分を少しだけ無理な状態の中に置くように。インスピレーションは自分で作り出すもの。(夏目漱石)文学論、人工的インスピレーション

  • 家にあった本。何気なく手に取ってみた。思い起こせばあまり城山三郎の本を読んだことがない。「硫黄島からの手紙」だけだったみたい。「鼠」とか「落日燃ゆ」とか読んでみたいと思って古本でゲットして家に置いてあったけど結局読まずじまいだったなぁ。

    人と人との付き合いの中で、その人と触れ合う場面ってのはその人の人生の米粒以下みたいなもので、その中でこの人はああだこの人はこうだとか評価したり判断したりして過ごしていく。でも、城山三郎は、こうかもしれない?ああかもしれない?と思いめぐらし好奇心と探求心から、調べ、聞きまわり、彼にしかわからない真実、真実に近いかもしれない”ある姿”を発見し、それを物語にしていく。そういった小説家なのだと思った。

    うーん、この人の本はもっと読まなくては。鼠と落日燃ゆは絶対読もうと思う。

  • ・魅力がない人間=型にはまった人間
     →初心を忘れず!
    ・人は、その性格にあった事件にしか出会わない
     →不運・不幸だとしても、その性格にあった事件にしか出会わない。(渋沢栄一)
     →その出来事をどう利用するか?
    ・毛利元就=一つ一つの戦いを丁寧に戦ったからこそ勝てた。結局のところ誠実さが一番の徳
     →信頼されることが一番大事。

    ・少しだけ無理をして生きる
     →自分を壊すほどの激しい無理をするのではなく、少しだけ無理をして生きることで、やがて大きな実りをもたらしてくれる。

    ・組織内人事に神経質になるのが日本人
    →3つの柱(self archivement intimacy)
    ・情熱+理想→浜口雄幸の理想

  • 前に読んだ本のレビューを遡って書こう(^^)。

    城山三郎さんの本を読むのは、実はこれが初めて。
    もともと「逆境に生きる」というタイトルだったらしい。

    紹介に「大変な無理だと続かないが、ほんの少しだけ自分を無理な状態に置く、つまり挑戦をし続けることが大事」というようなことが書かれていて、何となくタイトルに共感できてそのままレジーまで持って行ってしまった本。

    これは城山氏の著書の総集編的な本なので、すでに本編を読んだ人にはその深みの部分を再度味わうことができるだろうと思うし、私のように初めて出会った人には、本編でもっと深く読んでみたいという焦燥にかられるかもしれない。

    本書では多くの人物が登場するけれど、自分としてはどちらかと言えば避けてきた種類の人物、経済人とか政界人がほとんど。中曽根康弘、浜口雄幸、広田弘毅、中山素平、盛田昭夫(SONY)、田中正造、なんか・・・。

    しかし著者の本を読んでいると、いままで「やな野郎だろな」と勝手に思っていた人物でも、なぜか魅力的に見えてきたりする(笑)。というより、実際には魅力的な部分をたくさんもった人物なのだろう。

    私が個人的に、本書でイチバン魅力的に感じた人物は、広田拡毅。というわけで、本書を読んだ後は「落日燃ゆ」を即買って読んでしまいました。

  • 2月頃に社内で騒動が起き、この本を20数年ぶりに手に取った。
    どんな状況下にあってもぶれずに生きていく姿には頭が下がる。
    自分にはそこまでできるかは疑問だが、家族や同僚、自分のためにも少し無理をしてでも強い信念をもって仕事に望みたい。

    3人の生き様が簡潔に書かれているが、個人的には宰相浜口の生き方に魅せられる。
    20代前半は山本周五郎と氏の本は、人格形成の上に欠かせなく影響をかなり受けたと思う。多感な時期に『男子の本懐』『落日燃ゆ』を始め、繰り返し読んだ作品。
    そしてこの本が言いたいことを自分なりに解釈するならば、信念を貫き負けない心を持ち続けることかな。

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著者プロフィール

1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。57年『輸出』で文學界新人賞、59年『総会屋錦城』で直木賞を受賞。日本における経済小説の先駆者といわれる。『落日燃ゆ』『官僚たちの夏』『小説日本銀行』など著書多数。2007年永眠。

「2021年 『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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