少しだけ、無理をして生きる (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 432
レビュー : 59
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101133379

作品紹介・あらすじ

大変な無理だと続かない。大事なのは、ほんの少しだけ、自分を無理な状態に置く。つまり挑戦をし続けることなのだ。城山が魅了され、小説の題材とした『落日燃ゆ』の広田弘毅、『男子の本懐』の浜口雄幸、『雄気堂々』の渋沢栄一。彼らは皆、自らの利を計らうためではなく国家のために闘った。真の人間の魅力とは何か。城山三郎が語り尽くす。解説・佐々木常夫。

感想・レビュー・書評

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  • 「大変な無理だと続かない。大事なのは、ほんの少しだけ、自分を無理な状態に置く。つまり挑戦をし続けることなのだ。」という城山三郎のメッセージが自分自身の価値観とピッタリ合致。城山が魅了され、小説の題材とした「『落日燃ゆ』の広田弘毅、『男子の本懐』の浜口雄幸、『雄気堂々』の渋沢栄一らは皆、自らの利を計らうためではなく国家のために闘った様子が引用されており、「落日も燃ゆ」、「雄気堂々」を読むきっかけとなった。真の人間の魅力とは何かということが改めて実感された。後に「GRIT」を読んだのもこの本が原点かもしれない。

  • ・初心が魅力をつくる。仕事に対してだけでなく、生きていく姿勢としての初心、初々しさ、というものはいくつになっても大事なんじゃないか。いくつになっても初々しい心で人と触れ合うことができる、本について語り合える。そんな積み重ねが、人間あるいは人生を魅力的にしていく。

    ・もちろん発信もしなくてはいけないけれど、同時に受信する能力も長けていないといけない。今ある自分に安住しない。それが初心というものにつながっていく。

    ,人間を支える三本の柱は セルフ=自分だけの世界、インティマシー=親近性、アチーブメント=達成。

  • 「少しだけ、無理をして生きる」という趣旨の内容について直接的に触れているのは限られており、一見すると大半は濱口雄幸と渋沢栄一、廣田弘毅の3人のことについて書いているようにみえる。

    ただし、上述の3人とその関係人物を通して「少しだけ、無理をして生きる」ことについて学べることはたくさんありました。

    城山三郎の本は、ビジネスマンとしても人間としても大いに参考になる点が多々あり、本書もそのうちの一冊です。

    ◾︎魅力のない人〜型(机)にはまった人、
    ◾︎魅力をつくる〜初心、初々しさ
    ◾︎渋沢栄一〜吸収魔、受信機の塊
    ◾︎伊達政宗〜よく相手の人間を見ている、人間観察の達人
    ◾︎伊藤整〜いつも自分を少しだけ無理な状態の中に置くように。インスピレーションは自分で作り出すもの。(夏目漱石)文学論、人工的インスピレーション

  • ・魅力がない人間=型にはまった人間
     →初心を忘れず!
    ・人は、その性格にあった事件にしか出会わない
     →不運・不幸だとしても、その性格にあった事件にしか出会わない。(渋沢栄一)
     →その出来事をどう利用するか?
    ・毛利元就=一つ一つの戦いを丁寧に戦ったからこそ勝てた。結局のところ誠実さが一番の徳
     →信頼されることが一番大事。

    ・少しだけ無理をして生きる
     →自分を壊すほどの激しい無理をするのではなく、少しだけ無理をして生きることで、やがて大きな実りをもたらしてくれる。

    ・組織内人事に神経質になるのが日本人
    →3つの柱(self archivement intimacy)
    ・情熱+理想→浜口雄幸の理想

  • 2月頃に社内で騒動が起き、この本を20数年ぶりに手に取った。
    どんな状況下にあってもぶれずに生きていく姿には頭が下がる。
    自分にはそこまでできるかは疑問だが、家族や同僚、自分のためにも少し無理をしてでも強い信念をもって仕事に望みたい。

    3人の生き様が簡潔に書かれているが、個人的には宰相浜口の生き方に魅せられる。
    20代前半は山本周五郎と氏の本は、人格形成の上に欠かせなく影響をかなり受けたと思う。多感な時期に『男子の本懐』『落日燃ゆ』を始め、繰り返し読んだ作品。
    そしてこの本が言いたいことを自分なりに解釈するならば、信念を貫き負けない心を持ち続けることかな。

  • 最近読んだ本の中でも三本の指に入るなぁ。とても人間らしい視点から書かれているし、感銘を受ける内容も多い。

  • 経済小説、歴史小説作家の城山三郎が過去に小説の題材として取り上げた人物について、その魅力について語る本。

    人の魅力を作っているのは「初心」であり、初心を持ち続けるとは、自分に安住せず、人から吸収しようとする(=学び続ける)生き方のことである。

    少しだけ今後の人生観に影響を受けたかも知れない。

    --


    ・魅力を作っているのは「初心」だ。p14
    ・初心を持ち続けるとは、自分に安住せず、人から吸収しようとする(=学び続ける)生きた方のこと。p17

    ・渋沢栄一は吸収魔だった。いつ追い出されるかわからなくても、その周りのすべてを知り尽くそうとする。p27

    ・後に大臣になった王蒙は文革の時に地方に流され、作家活動を停止させられたが、その後もウイグル語を覚え作品を書き続けた。
    「先のことがわからないからこそ、何かしなくてはいけないと思った」p42,43

    ・キングスレイ・ウォード「とにかくよく準備しろ」初めての人と会って握手する前に、その人のことを十分知っておけ。p66

    ・広田弘毅は館員が3人しかいないオランダ公館に左遷されたが、日蘭交渉史や植民政策などオランダのことをものすごく勉強した。
    その姿勢が人望を集め、総理大臣になる。p110

    ・作家の野上弥生子は100歳になっても過去の話をせず、今の政治、社会問題について勉強していた。p143

    ・人間を支える三本の柱
    「セルフ」「インティマシー」「アチーブメント」p166

    ・浜口雄幸は飛ばされて東京に戻れる保証はなかったが、タイムズを取り続けた。p181
    ・嫌な仕事もやり遂げた。p183

  • 「落日燃ゆ」以来の城山作品でした。
    あいかわらず心を揺さぶる言葉の数々に胸が熱くなりました。しかしながら、文体はあくまで柔らかく穏やか。とある高校での講演録をまとめたものということで非常に読みやすいです。
    本の薄さに反して内容は非常に熱いものになっています。


    [引用]で印象に残った言葉を紹介していますので、そちらも併せてどうぞ。

  • 「あなたはこれから先、プロの作家としてやっていくのだから、いつも自分を少しだけ無理な状態の中に置くようにしなさい」と城山三郎のアドバイスしたのは、かの伊藤整。
    他、『男子の本懐』の浜口雄幸、井上準之助/『落日燃ゆ』の広田弘毅、吉田茂等、過去の著作に出てくる人物からあるべき生き様を説く一冊。城山三郎の本を読むと昭和の男の愚直で筋の通った生き方とは、対照的な自分との乖離を痛感。
    ページ数は少ないが、城山さんの晩年の集大成的なエッセイ。

  • 一つ一つの“人間の魅力”、そのエピソードはおもしろかったが、一番心に残っているのは広田弘毅の「自ら計らわず」。戦後の日本への覚悟、奥さんの静子さんのエピソードも含め、日本人として知らないといけないのでは、という気持ちにさせられた。いつか『落日燃ゆ』や他の近現代史の人物にスポットを当てたものも読んでみたい。

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著者プロフィール

城山三郎(しろやま さぶろう)
1927年8月18日 - 2007年3月22日
愛知県名古屋市中区生まれ。大日本帝国海軍に志願して入隊し、特攻隊の部隊に配属されたが、訓練中に終戦となった。東京産業大学(一橋大学の前身)を卒業後に1963年までは大学講師を務めながら作家活動を続けていた。経済小説を一ジャンルに格上げした先駆者のひとり。伝記小説、歴史小説も多い。
1957年に『輸出』で第4回文學界新人賞、1959年『総会屋錦城』で第40回直木賞、同年『落日燃ゆ』で吉川英治文学賞と毎日出版文化賞、1996年『もう、きみには頼まない 石坂泰三の世界』で第44回菊池寛賞をそれぞれ受賞。2002年に朝日賞を授与される。
代表作としては上記作品に加え、二度テレビドラマ化された『官僚たちの夏』、妻との想い出を描いた遺稿のエッセイ『そうか、もう君はいないのか』、よくタイトルが人物評としても用いられる、『粗にして野だが卑ではない』が挙げられる。

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