青べか物語 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134031

感想・レビュー・書評

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  • その集落に住んでる人たちや関係のある人たちの事や出来事を
    作者の目線で綴った短編集なのですが、まぁ読み難かったこと!
    方言なんでしょうか?
    訛りそのままセリフに書いてあるので、慣れるまでホント読み難い。
    しかしながら慣れてしまえば、なかなか面白く興味深く読めました。
    教育も薄く無知な人々。
    昔ってどこもこんな感じだったんだろうなぁ・・・。
    決して誰もが幸せなわけではないのだけど、
    ただその日を一生懸命生きてる感じが印象深かったです。

  • これはなかなか味わい深い物語である。
    しかし、著者の他の作品と同様な「小説」を期待すると肩すかしを食らうかもしれない。
    大正末期~昭和初期が時代背景と思われるが浦安近辺の漁師町に数年滞在した「私」の日記のような物語で、当初その「私」は当然、山本周五郎その人であろうと読み進めるのだが、そうではないらしい事が少しずつわかってくる。
    この変の微妙な読者の心理変化が独特な感覚を味あわせてくれる。
    昭和初期なんて、もちろん私自身は知らない。
    しかし、その頃の郷愁やノスタルジーはなんとなくわかる。
    今、三丁目のなんとかとか昭和三十年代がもてはやされているけど、いつの時代でも昔を懐かしむ事は繰り返されていたんじゃないだろうか。
    この「青ベか物語」も、「私」が感じた当時の町の住人たちの生活ぶりを書き綴ることによって、読者それぞれが持つ郷愁を味あわせてくれるという独自の小説に仕立てられている。
    ちょっと難しいのですが、私のような年寄りには凄く楽しめる本でした。

  • 山本周五郎氏の自伝的小説といわれる。確かに、一人称の物書きの視点で書かれている。
    物語は、江戸川河口近くの地域が気に入って数年移り住んだ「先生」が、現地の人々とのやり取りや生活を描いたもの。手漕ぎボートのようなぼろ船を売りつけられ、それが青べかと呼ばれて地元の子にからかわれる。川岸に絵を書きにいったり、聞いたエピソードを小説に仕立てたりして、ほとんどは実際に著者が体験した実話のようだ。最後に、30年後に同じ土地を訪れてみた感想があり、興味深い。
    各小話は3ページほどと短く、独特の言葉遣いにも読むうちに慣れてくる。が、なかなか感情移入もできず、なにしろ地元の人が良く言えばしたたか、悪く言えば隙を見せるとすぐつけこむのに嫌悪があった。当時(1920年代か?)の生活を考えると仕方ないのかもしれないが。
    先日読んだ「赤ひげ診療譚」のほうが面白かった。

  • 読み始めてすぐに、浦粕が浦安、徳行が行徳だとピンときた。
    そう思うと、よりいっそう面白かった。
    田舎の庶民てこんなだったんだろうなあと身近に感じて楽しい。

  •  かつて短期間滞在した海辺の村での暮らしの日々の断片という仕立てで、その村の雰囲気を醸し出している。
     一つひとつのエピソードが、膨らませればそれぞれ小説のネタになる。淡々とした語り口が良い。
     後年その場所を再び訪れてみたら、自分の内にある風景はもはや過去のものであったのかという「郷愁」。
     読了後、「読み終えたぞー!」という高揚感はないが、しっとりと胸に残る。
     タイトルの、青く塗られた「べか船」が何故にその土地の子ども達にそんなにも嫌われていたのかの謎解きがないのが意外だった。

  • 「さぶ」に続いて読みました。庶民の生活が、垣間見れて面白く読めました。私自身が、大阪の漁師町育ち故、なんだかこんな人がいたような気がすると思わせる部分が多々ありました。

  • 夜、書き物をしている。何時なのか、時計がない。
    寒いが、暖房がない。
    ここがいい

  • 【速読】浦安の図書館には10冊以上も本書がありまして、しかも毎日結構な数借りられてるんですよね。で、読んでみたらおぉ、もう、という感じで、映画でもマンガでも浦安は不思議とこんな扱いですが、それは差し置いて、海外作品も漁師町って仄暗いというか、人が異質というか、あんまし好意的に取り上げられてるイメージがなくて、これなんて最初のべか船の老人からしてキ印って感じで、しかし人間本来のパワーというか感性というか、そういうのが魅力なのも事実で、それを淡々と描いている作風もまたよいですね。

  • 保有状況:所有&購入日:42288&購入金額:637

  • 売れない小説家の「私」は浦粕町という海辺の田舎町に住み着く。そこで「青べか」と呼ばれる舟を老人から買い取った(表題の由来)。「私」が観察した狡猾であったり粗野であったり愉快であるが、通底して素朴な町の人々の生活や出来事が語られていく。

    町の人々たちのおおらかな性の話がたくさんあって面白い。あまりに直接的な表現は伏せ字にしてあったり、婉曲表現にされている。「SASE BAKA」とか。

    こういう庶民の生活と人情の機微について語らせるのが山本周五郎は本当にうまい。淡々とした風景描写も良い。

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著者プロフィール

1903年、山梨県に生まれる。本名は清水三十六(さとむ)。小学校卒業後、銀座の質屋で奉公、後に筆名としてその名を借りることになる店主・山本周五郎の庇護のもと、同人誌などに小説を書き始める。1926年、「文藝春秋」に『須磨寺附近』を発表、文壇デビュー。その後、不遇の時代が続くが、時代小説作家として認められはじめる。戦中から戦後まで連載が続けられた『日本婦道記』(1942-1946)で直木賞に推されるが辞退。主な代表作に『樅ノ木は残った』(1958)、『赤ひげ診療譚』(1958)、『青べか物語』(1960)、『おさん』(1961)などがある。1967年、逝去。

「2020年 『雨あがる 映画化作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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