五瓣の椿 (新潮文庫 や-2-5)

  • 新潮社 (1989年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (287ページ) / ISBN・EAN: 9784101134055

みんなの感想まとめ

復讐と罪の葛藤を描いた物語が展開され、主人公のおしのは、父の死と母の不義に直面し、復讐の道を選びます。彼女の心の内面や、法では裁けない罪に対する苦悩が丁寧に描かれ、読者は彼女の行動に共感しながら物語に...

感想・レビュー・書評

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  • この作品では、いつものというか、自分の中のイメージとは違う山周。舞台設定はおなじみの江戸なのだが、お話がかなりぶっ飛んでいる。

    復讐劇なのですが、リァリティには少々欠けます。ということで、個人的には、山周の作品としては水準よりやや下の作品のような気がする。

  • 倫理観がありながら飽きさせない筋仕立て

  • 山本周五郎の長篇時代小説『五瓣の椿』を読みました。
    『寝ぼけ署長』に続き、山本周五郎の作品です。

    -----story-------------
    父思いの娘が復讐の殺人鬼と化す異色の周五郎時代長編。
    倒叙ミステリーとしても傑作。

    婿養子の父親は懸命に働き、店の身代を大きくした。
    淫蕩な母親は陰で不貞を繰り返した。
    労咳に侵された父親の最期の日々、娘の懸命の願いも聞かず母親は若い役者と遊び惚けた。
    父親が死んだ夜、母親は娘に出生の秘密を明かす。
    そして、娘は羅刹と化した……。
    倒叙型のミステリー仕立てで描く法と人倫の境界をとらえた傑作。
    -----------------------

    講談社の雑誌『講談倶楽部』に1959年(昭和34年)1月号から9月号に連載された作品… 時代小説ですが、内容はサスペンスでしたね。

    家のために働きづめ、その挙句倒れて死んでしまった大切な父… その時母は浮気相手と不義密通を働いていた、、、

    おしのが母をなじると、返ってきたのはおどろくべき言葉だった… 「おしのちゃん、あなたの本当の父親はほかにいるのよ。」

    母の不義を憎み、次々と母や、男たちに復讐を果たしながらも、不浄な血が流れている自身の存在に悩むおしの… 最後の復讐相手、自分の本当の父親と直面したおしのがとった驚くべき行動とは――。

    犯した罪をどうやって償うべきか… サスペンス仕立てで語られる、罪と罰の物語。

    父を失い、おしのは殺人に手を染めることに… 自分が不義の子と知り、淫蕩な母と相手の男たちを次々と殺害、、、

    息絶えた5人の男たちのそばには赤い椿の花びらが…… という連続殺人を描いた物語なんですが、殺人に至った辛く哀しい顛末やおしののひたむきさに気持ちがシンクロしてしまって、その罪を赦してやってほしい、捕まらないでほしいと願いながら読み進めました。

    法では罰せない罪に対し、自分ならどう向き合っていくか… 考えさせられましたね、、、

    そして、終盤の血を分けた父親との決着の付け方、その後の身の置き方に、おしのの潔さが感じれました… 憎んでいた母親の血が流れている自分、復讐とはいえ殺人を犯した自分を赦せなかったんでしょうね。

  • 国仲涼子主演の時代劇を見たのが最初だった気がする。
    会得した手管で男たちに復讐する娘の話。
    法では裁けないなら私が裁く、昔からよくあるテーマだけど、やっぱり裁いて復讐してあースッキリした!とはならないよね。
    自首するって言ったのに、耐えきれずというか間違っていたと悟り自害するあたりにモヤモヤ。まぁそのまま平然と日常生活に戻られてもモヤモヤなんだけど。

  • 時代小説と言うよりもサスペンス小説かな。
    主人公が悲しい。女だから母を恨み、女だから自分を許せなかったのか?
    読後の爽快感は全くなく、なんとなく苦いものを口の中に残した気持ち。
    それでも主人公に同情してしまう山本周五郎の凄さかな。

  • なぜだろう、山本周五郎2冊めですが(1冊めは樅の木は残った)、人気作家のはずなのにどうにも私と肌合いが悪い、端的に言えば全然面白くないー。
     たしかにドラマの原作にはぴったりかもしれないけど、同じ状況を4回コピペして描写した、手抜きとしか思えなかったし。

  • 法と善悪の判断の違いを感じる小説だった。善悪や価値観は時代によって変わるものもでもあると思うが、おしのの行動を後押ししながら読んでいた。
    途中はスリルのある展開もあり、価値観について色々考えさせられながらも、ストーリー展開に引き込まれた作品だった

  • これは正直、苦手でした。いきなり長編の「さぶ」とか「樅の木」ってのもハードル高いかな、と思ってこっちから入ったけど、逆効果だったかもしらん。もっと山周作品を!とあまり思わなんだ。五人への復讐がテーマだけど、そもそも復讐行為がやや見当違いに思えるし、それが殺人までいってしまうのも極端な気がするし。あと、五人が五人、結構似たような経過を辿るから、長い作品でもないのに、途中から飽きてくる。最後の決着もバチッと決まった!とは思えず、最後まで自分的には消化不良気味。悔しいです。



  • 方と人間の掟の問題、という根底を無視して読み進めるのならば、動機もやり方も個人的に今ひとつ。
    時代は江戸だけれど明治な雰囲気が漂っているのはなぜだろう。いい男が18歳の女に簪で一突きだなんてそんなぁ〜とか、まぁそんなことを置いておけばミステリー?いやぁ、ミステリーにもなってない気がしたけど…。

  • 復讐譚。
    分かりやすい話だったのだけれど、流れが単純なので少し飽きます。

  • 最後は残念な気持ちだが、通してスカッとするかな

  • 人間社会の法と、人間としての掟の間に横たわる問題に切り込んだ作品。
    人情モノではなく完全にミステリー。
    最後が今ひとつだが途中の展開はスリリングだった。
    ただ、読み返すことはないと思う。

  • 「伊豆の踊子」がアイドルで売る映画なら、「五辧の椿」は若手育成ドラマ。おしの役には、藤純子、大原麗子、古手川祐子、国仲涼子。
    時代小説文庫の解説によると、作家自身は失敗作と認定して存命中の全集には収めず。

  • 2014年6月21日(土)、読了。

  • NHKのドラマを観て、父の本棚から拝借して再読し ました。 昭和39年9月25日発行

    物語は天保五年、亀戸にあるむさし屋の寮が焼け落ち たところから始まります。 焼け跡から見つかった性別すら判別できない遺体は3 人。 そこで命を落としたとされるむさし屋の娘おしのが、 父を裏切り続けた母の不貞の相手たちの胸に銀の釵を 突き刺し、赤い山椿の花びらを残します。

    序盤では、病の床に伏す父の命の炎がいよいよ消えか けている時に、何とか母を父の許へ!と奔走するおし のの焦燥感に引き込まれ、読者はこれから始まるおし のの復讐劇の動機を共有することになります。 しかし、この物語は決して復讐劇ではありません。

    「この世には御定法では罰することのできない罪があ る、ということでございます。」 おしのが与力に宛てた文です。 山本周五郎の本は他にも沢山読みましたが、この本が 異色のはこの一文が軸となっているからでしょうか。

    見つからなければ、捕まらなければ、法に触れなけれ ば、何をしてもいい? そんなわけありません。 ひとのみちにあらず、と書いて不倫。 かつて、これを文化だとかほざいた阿呆がいました。 法律では裁けない罪を目の当たりにした時、人はどう したら良いか、許すことの苦しみと許さないことの苦 しみについて、深く考えさせられる1冊です。

  • 何が正しいのか、何が正しくないのかを考えさせられる作品。
    面白くて切ない、優しいけれど辛い、そんのお話でした。

  • 先日から、本棚に数冊足らない新潮文庫の山本周五郎をコンプリートを目指して買い足してます(徐々にですが)
    多分山本作品は全て既読で、その後誰かが本を持ち出して無くなったものと思っていましたが、この長編は未読だったかもしれません。
    特徴的なストーリーなのですがまったく記憶がありませんでした。
    山本さんの特長である人情的な気配は少なく、「法」と「人間的な掟」のギャップを主題に描かれた少々重い作品です。

    商才を認められ家付きの娘である母親と一緒になった父。店を繁盛させ大きくしたが、淫蕩な母は父を裏切り放蕩を尽くし、労咳で死の床につく父親を見向きもしない。父の死の直後、母の最大の裏切りを知った娘は、父親の復讐のために。。。
    重いテーマだし娘の復讐のリアリティの面でもどうかと思わせますが、ともかく読ませてしまう。円熟期にかかった山本さんの筆力です。
    山本作品の中には「法」と「掟」をテーマに取り上げた作品も幾つかあり、その中で代表作かも知れません。映画化、ドラマ化、舞台化もされ、確かに映像的に向いた作品だという気もします。
    しかし。。。
    やっぱり私は人情物やきりりとした武家物の短篇の方が好きです。

  • 昭和34年講談社から単行本刊行。他の山本作品とは一線を画するミステリー調のサスペンス作品。
    こんな教訓的でない山本作品には驚いたのですが、復讐を実行してゆく主人公のおしのの気持ちに入れ込んでしまうほど熱中して読めることは請け合いです。
    人生における罪や罰、そして人生の掟というテーマなので、殺す必要があったのかどうかを深く考えて読むと他のテーマよりは難しいし前向きな答えが出にくいので、娯楽作品として楽しむべきだとも思います。
    なぜならどう考えても正しかったという結論は出しにくいですから。
    でもラストにおいては作者は主人公の生い立ちや性格、年齢を考慮したのか、少し甘かったのかなと言う気もします。
    純粋で潔白すぎるという結論なのでしょうがいろんな解釈ができるのでしょう。
    正直驚きました、そういった意味合いにおいては衝撃的な作品とも言えるのでしょう。

    少し余談ですが、NHKで2001年に国仲涼子主演でドラマ化されています。
    最近観たのですが、今も綺麗ですが涼子ちゃん本当に綺麗で小説同様ドキドキして観れます。
    そして若々しい阿倍寛や堺雅人も楽しめます。

  • 映画やドラマになったら面白いんだけれど、本書を読むとどうも間が抜けている気がする。完全に犯罪が成立しないような。

  • ものすごい面白かったのに、なぜ最後だけはああなった…。

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著者プロフィール

(やまもと・しゅうごろう)
1903~1967。山梨県生まれ。小学校を卒業後、質店の山本周五郎商店の徒弟となる。文芸に理解のある店主のもとで創作を始め、1926年の「文藝春秋」に掲載された『須磨寺附近』が出世作となる。デビュー直後は、倶楽部雑誌や少年少女雑誌などに探偵小説や伝奇小説を書いていたが、戦後は政治の非情を題材にした『樅ノ木は残った』、庶民の生活を活写した『赤ひげ診療譚』、『青べか物語』など人間の本質に迫る名作を発表している。1943年に『日本婦道記』が直木賞に選ばれるが受賞を辞退。その後も亡くなるまで、あらゆる文学賞の受賞を拒否し続けた。

「2025年 『山本周五郎[未収録]時代小説集成』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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