- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101134062
作品紹介・あらすじ
幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の"赤ひげ"とよばれる医長新出去定に呼び出され、医員見習い勤務を命ぜられる。貧しく蒙昧な最下層の男女の中に埋もれる現実への幻滅から、登は尽く赤ひげに反抗するが、その一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く快作。
感想・レビュー・書評
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「さぶ」に続いて、青空文庫での山本周五郎作品。
「さぶ」と同じように、人情味あふれる話で、時代を超えて、正しく生きることを教えてもらいました。
しかも主人公は作品名の「赤ひげ」ではないところも「さぶ」と同様でした。
またいつか著者の作品を読みたいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
医療問題以前に、人間の心や貧困の改革がなければ、その問題は解決しない。そう思った。
所詮、人間の生命力次第で医療はなんの力もない(そんな感じだったかな)という言葉は正しいと思ったが、同時に、死にゆく病というのは生命力ではどうしようも出来ないとも思った。 -
奇しくも久々に映画館にて黒澤作品を堪能した日に読了。本作を手にした理由はもちろん1965年発表の本作を元にした黒澤版を観たことから。
たどってみると昨年初夏に楽しんだ溝口映画祭がきっかけとなり永く休眠させていたNetflixを再稼働させた頃に出会ったことになっている。その後黒澤の遺稿を元にした「雨あがる」(2000) にても同じ著者の名前が出てきたため晴れて「読まねばリスト」にランクインし、間に「寝ぼけ署長」もはさみつつ、満を持してのご登場と相成った次第。
やはりよい。
映画を見てしまっているので知っている筋を追いかけながらの堪能となるわけであるが、感銘を受けた「おとよ」にまつわる話が意外と薄かったので驚いていたところ、後半は黒澤によるドストエフスキー作品を着想とした脚本を取り入れているという記述を見かけ納得がいった。結果として映画版は二人の子役の大活躍も手伝って公開後に原作者の方から「原作よりもいい」との評価を受けたとのこと。微笑ましい話である。
あぁ、また観たくなった。 -
山本周五郎、円熟の娯楽作。ミステリー仕立ての各編も読ませるが、通して読むと保本登の成長譚としても楽しめる。赤ひげが随所に見せる医術観は、異常とも言える領域に到達しつつある現代医学に警鐘を鳴らしているようだ。
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2018年9月17日、読み始め。
「狂女の話」を読んだ。(50頁迄)
NHKの土曜時代ドラマで放映されているので、少々興味を持った。この土曜時代ドラマは、全8回なので、おそらく、原作の8作が、一作ずつ放映されるのだろう。
赤ひげは、かつて読んだような気がするが、多分、途中までしか読んでいないと思う。そして、今回も途中まで読んで、終わり。 -
赤ひげのもとで働くことになった傷心の青年医師。彼のひねくれた心が次第にほぐれていく様子が面白い。患者の話をひたすら聞いて、赤ひげ先生の思いを聞いて、医者の仕事は聞くことが大事なんだな。
赤ひげ先生は、罪はその人自身ではなくつきつめれば貧困のせいだという。
だけど、最後に登も言っていたが、どんな環境にいたって人間として立派な人もいれば、裕福でも最悪な人柄の人もいる。
最後の2人のやりとりがまたいい。これからも2人言い合いながら診療を続けていくんだろうな、もっと読みたいなと思った。 -
久しぶり(多分約20年ぶり?)に読み返した、やはり良作。
改めて感じたのは山本周五郎は単なる人情もの作家ではないということ。
人間の暗い面を徹底的に見つめ、それを見事にストーリーに昇華させている。
単なるストーリーテラーではないところにこの作家の真骨頂があると思われる。 -
1964年初版。以前読んだのはたぶん30年以上前。貧しい民に尽くす赤髭先生の物語という印象しか記憶になかったが、むしろ、栄達を望む若き医員の目から見た出来事や赤髭像。記憶とはいい加減なものなのか、その当時の読解力なのか。しかも、連作短編の多くの事件や患者はサイキックトラウマ・・・。
周五郎が権力を嫌い、常に貧しい世界に生きる人間の真相を見つめる作家と言われている原点のような作品だからこそ、既に80版を超えているのだろう。
御番医・栄達を望み長崎遊学から戻り小石川養生所勤務となる医員。そこには最下層の貧民に尽くす「赤髭」が。彼に反抗しながらも、権力・政治の愚かさに憤り民の側に立つ医療を貫く赤髭の強靭な精神に惹かれていく。
「われわれがまずやらなければならないことは、貧困と無知に対するたたかいだ、貧困と無知とに勝ってゆくことで、医術の不足を補うほかはない。」
やはり名作。
著者プロフィール
山本周五郎の作品






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