日日平安 (新潮文庫)

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レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134093

感想・レビュー・書評

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  • ちょっと前に豊川悦司が主演する映画の原作本「犯人に告ぐ」と「サウスバウンド」を読んだおかげで、ちょいと調べていたら、またまた映画「椿三十郎」に出演するという。
    でこの映画、黒澤監督と三船の名コンビで作られた名作「椿三十郎」の焼き直しというではないか。
    ならば原作も読んでみたいという事で探したが、山本周五郎著に「椿三十郎」なんて本はありません。
    原作は、この「日日平安」(にちにちへいあんと読む)という事でした。
    また、原作に「椿三十郎」という侍も出てきません。(まあ、モデルになっている浪人は同じ人物ですが)

    さて、この本、短編集で11作品が含まれています。
    私は、上下に分かれるぐらいの長編が好きで、短編集はあまり好きではありませんが、さすが山本周五郎、どれもとても人情味溢れる物語で、とても面白く読めました。
    特に切腹を命じられ、いざという時に号泣きした侍の話『城中の霜』や、バカ殿のお話(ごめん、題名忘れた)など、ジーンと来るものがあります。

    山本周五郎の本は、高校の時、担任だった磯部先生(あの野球の監督)から「さぶ」を授業で取り上げられて(確か倫理の時間)読んだのが始まりで、そのころは別に面白くは感じませんでしたが、歳を重ねるにつれ、とても好きな作家ではあります。
    こりゃ、山本周五郎の作品も読んでおかにゃならんな。

    ・・・という事ではあったんですが、今読んでるのは山本周五郎賞を受賞した「明日の記憶」であります。
    流石に山本周五郎賞、これもとても面白い本です。って、これも映画になってるんですね。読み終わったら、またその時。

  • (2019-12-03)(2019-12-24)

  • 味わい深い短編集。
    日日平安は映画「椿三十郎」の原作でもありどうしても比較して見てしまうが、映画のほうが尺が長いこと、主役がサッパリした性格である「用心棒」の三十郎であることが功を奏しており、映画が原作を超えた稀有な例だと感じた。
    その他の作品の中では特に“しじみ河岸”“末っ子”
    あたりが好み。一貫して最後はとても胸のすく終わり方で読了感が良い。自分の尊厳に従うひたむきな人間の生き方に様々な感慨を生む。

  • きっかけはもちろん「黒澤版」。

    「椿三十郎」(1962) の原案ということを見知っており、かつこれに先立ち「赤ひげ診療譚」も読破したから否応なしに期待値が高まった状態で手にした。そして驚かされるのが本文庫が全十一編からなる短編集であるという事実。黒澤監督はドストエフスキーだってシェークスピアだって映画化しておきながら、こうした短編でさえもきちっと消化して昇華させる。いやはやもはや脱ぐ帽子が足りないほどの脱帽ぶりである。

    当初「日日平安」はその原作のままのノンビリとしたタッチを描くつもりだったのが映画会社側からNGを出され、結果としてもっと大胆に殺陣を取り入れた話の筋に書き直さざるを得なかったというエピソードは読み始める前から聞き知ってはいたものの、なるほど読み進めるうちにその「構想版」の主人公の配役として小林桂樹を当てるつもりだったというのががっつり納得がいった次第。その小林桂樹、きちんとその「翻案版」においてもなかなかの役どころをつかみ、いい感じで使ってもらっていたからなお微笑ましい。

    個人的には書名以外の他の筋の中で「末っ子」と「橋の下」が気に入った。いや、「失蝶記」も含めるべきか…。んー、そんなことをやっていると結局全部を選んでしまいそう。

    あとがきはどうやらこの短編集を編んだ方ご本人だったようなのだが、その方がどういうバランス感覚をもった意図でこの十一編を選んだかということが分かりやすく記されており、それを読むことによってますます山本周五郎の「~もの」をあれこれ読んでみたくなること請け合い。

    あー、また別の「底なし沼」に片足を踏み入れてしまったような、そんな気持ちも。

  • 読み応えありまくりだ。それでいて読後感はスッキリ。山本周五郎恐るべし。

  • こういう小説が好きだと、じじむさい、なんて言われるかもしれない。
    でもいいねぇ、時代劇人情もの。
    この人の作品、NHKなんかでよくドラマ化されるのも、よくわかる。

    短編集。不器用な登場人物が多いわけだが、そこに見え隠れするのは、
    人という存在への、あたたかい眼差し、といったところ。
    こちらも自分が好きな、浅田次郎と共通するところがある。

    一番気に入ったのは、『嘘アつかなねえ』。
    女房の尻の下にしかれた男の悲哀。
    ちょっと哀しげで、ちょっとユーモラスな話。

    表題作の『日日平安』は、
    有名な黒澤明の映画『椿三十郎』の原作らしい。
    機会あったら、この映画も見てみたい。

  • ご存じ「椿三十郎」の原作である「日日平安(にちにち,って読むのね.知らなかった)」が収録された短編集.このお話を原作に「用心棒」の続編を作ろうと考えるなんて,どうかしているが,できた映画は傑作である.「若き日の摂津守」も痛快ですね.

  • 下町の庶民感、義理と人情、武士の泪、腹ぺこ侍……山本周五郎のいろんな世界が覗ける傑作短編集。むちゃくちゃいい小説です。でも僕はちょくちょくうまく読めない話があって悔しい。また読みたい。

  • しみじみとした味わいに溢れた時代小説短篇集。

    時代、立場、有名・無名の差はあれど、
    それぞれが生を受けた時代で懸命に生きる姿が
    読んでいて、深く心に染みる。

    どれも高水準の短編ばかりで、
    読む人によって、好みはあると思うけど
    個人的には「嘘ァつかねえ」「橋の下」は
    胸にグッとくるものがあった。

  • 一介の浪人が藩の騒動を飄々と片づける標題作。他の短編は人の根底にある真実の悲しみや、ささやかな喜びを描いていて、型にはまった武士道とかより惹きつけられる。

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著者プロフィール

1903年、山梨県に生まれる。本名は清水三十六(さとむ)。小学校卒業後、銀座の質屋で奉公、後に筆名としてその名を借りることになる店主・山本周五郎の庇護のもと、同人誌などに小説を書き始める。1926年、「文藝春秋」に『須磨寺附近』を発表、文壇デビュー。その後、不遇の時代が続くが、時代小説作家として認められはじめる。戦中から戦後まで連載が続けられた『日本婦道記』(1942-1946)で直木賞に推されるが辞退。主な代表作に『樅ノ木は残った』(1958)、『赤ひげ診療譚』(1958)、『青べか物語』(1960)、『おさん』(1961)などがある。1967年、逝去。

「2020年 『雨あがる 映画化作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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