- Amazon.co.jp ・本 (656ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101134215
感想・レビュー・書評
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2017年12月10日、読み始め。
・青山信二郎---小普請組の旗本。保之助の友人。不信と皮肉な目で世の中を眺め、金のために田沼政治批判の戯れ文書きをする。
・旗本---町奉行・勘定奉行・大目付・目付などの役職に就いた。無役の旗本は3,000石以上は寄合、それ以下は小普請組に編入された。
396頁まで読んで、終了。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
山本周五郎の長篇小説『栄花物語』を読みました。
『日日平安―青春時代小説』、『松風の門』に続き、山本周五郎の作品です。
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非難と悪罵を浴びながら、意志堅く改革に取り組んだ老中田沼意次を描く感動の歴史長編。
徳川中期、農村が疲弊し、都市部の商人が力を持ち始めた転換点。
老中首座の重責を担う田沼意次は、貧者への重税、賄賂政治、恣意的人材登用と非難にまみれていた。
――悪政の噂は本当なのか。
出所はどこなのか。
絶望の淵にあっても、孤独に耐え、改革を押し進めた田沼意次という不屈の人間像を新しい視点から描く傑作歴史長編。
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読売新聞東京本社が発行する週刊誌『週刊読売』に、1953年(昭和28年)1月から9月まで連載された作品です。
江戸時代中期、老中田沼意次は金権政治家の汚名にまみれていた… 田沼批判の戯文を書いて出頭を命じられた旗本の青山信二郎は、意次と対面し、その清廉な人柄に引きつけられる、、、
しかし、失脚をもくろむ反田沼派の魔手はいたるところにのびていた… やがて、最愛の息子、意知が城中で斬りつけられ、意次は絶望の淵へと追いつめられてゆく―。
田沼意次曰く、「たとえゆき着くところが身の破滅だとしても、そのときが来るまではこの仕事を続けてゆく、いかなるものも、おれをこの仕事から離すことはできない」田沼意次父子を進取の政治・経済改革者として大胆に捉え直し、従来の歴史観を覆した名作! 経済小説の先駆でもある。
田沼意次は賄賂政治の代名詞のような存在という先入観、イメージがあったのですが… 本作品は、田沼意次、意知父子の視点だけでなく、田沼父子に関わることになる、下級武士の青山信二郎や河合(藤代)保之助、佐野善左衛門、一揆を率いた盗賊の新助(もとは人足の千吉)等の複眼的の視点から、その存在を見直し、商業資本の擡頭を見通した進取の政治家であったという、新しい視点から、絶望の淵にあって、孤独に耐え、改革を押し進めんとする不屈の人間像が描かれていましたね、、、
そして、田沼父子のことだけを描くのではなく、著者らしい市井のドラマ… 男女と友情、政争、思想と家族等も巧く織り込み、時代の流れに振り回される人々のドラマが重層的に展開するところが印象的でしたね。
新助が息を引き取る際に、信二郎が呟く、
「~前略~ 人間は生きている限り、飲んだり食ったり、愛したり憎んだりすることから離れるわけにはいかないものだ、どんなに大きな悲しみも、いつかは忘れてしまうものだし、だからこそ生きてもゆかれるんだ― ~後略~」
という言葉が印象に残りました… 当たり前なことなんだけど、改めてそうなんだよなー と感じましたね。 -
2021/12/22日読了。戦国時代が終わって100年。もはや従来の武士の時代幕府経営は大きな曲がり角、経済は一部島津、松前を除けばマイナス成長一途に。改革と言えば緊縮と倹約。そんな中異例の出世をした老中田沼意次。時代の先覚者として頑なまでに己の意志を貫き通し、株仲間、専売制、外国との
貿易拡大、印旛沼に代表とされる水田の開発。幕府経営の財政再建を行いながら景気回復を図ろうと強引な改革を次々に断行しようとした。しかし、当然ながら守旧派からの反発と世間からの賄賂政治家と言う風聞を立てられ長男の惨殺など、結果的に反撃を喰らい政権から陥落して行く。後世田沼意次と言えば賄賂政治家との教育をされて来ていたが、一方では改革者として見直される側面も持つ。本作はそこに視点を当てて、一方物語として時流に翻弄される旗本、庶民の男女の諸相を通じて時代の風を感じさせる味わいのある周五郎ファン納得の歴史小説だ。
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田沼意次とその息子を始めとする、武家や戯作者、花魁たちの群像劇。
この作品内の田沼意次は清貧という言葉がよく似合う。あと、ワーカホリックという言葉も(笑)
将軍が狩りに向かうくだりあたりから、役者も揃い場が盛り上がっていく感じだったが、後半は読んでいる側としては気分が落ちていった。
信二郎、保之助の幼馴染コンビと、田沼親子の間で悩む内容が多少異なるため、もう少し共通のテーマや対比があったほうが物語がまとまって気持ち良かったかと。(単純に読み込みが足りなくて見つけられてないだけかも…。) -
著者:山本周五郎(1903-1967、大月市、小説家)
解説:山田宗睦(1925-、下関市、評論家) -
山本作品はどれも面白い。この時代にはその子のような存在が武家の娘としていたのか?
何にしても人間を生き生きと描写する山本作品は素晴らしい。 -
『樅の木は残った』と言い、どうしてそこまで体制維持に腐心するのか理解できない面は否定できないが、本当に愚劣な、もとい正確を期せば「犬」のように世に阿る人間への怒りがこの作家を支える骨の一つかと。田沼意次を軸に据えるというのは余程性根が座っていないと出来ない芸当、かつ締め方も苦渋に満ちていて、この作家はどこまでも底を見つめ続けていると思われ。
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「風雲児たち」をきっかけとして読んだ。「ザンボット」のように、正しい者が迫害され、落ちぶれていく鬱展開である。一つの発見は、田沼意次の登用・重用が「たまたま」だったということだ。
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14/03/17読了
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歴史上は悪評のある田沼意次が、評価の高い人物として描かれていて、しかも無理がなくしっくりくる物語となっている。自分の好きなことをしないと良い人生とは言えないとする一方、人との関わりの中で、また日常の環境の中で生きている、ということをモチーフとしている。13.8.13