町奉行日記 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1979年3月28日発売)
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  • 本 ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134307

感想・レビュー・書評

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  • わたくしです物語 は山本周五郎作品の中でも飛び抜けた傑作だと思います、ぜひご一読ください!

  • 生きているとたくさんの辛いこと、悲しいことがあるけれど、そこに勇気を持って乗り越えた時、あたたかな愛に包まれるのだと感じた。
    人の奥底に眠る善意を信じたいと思う。

  • (2022-12-06L)(2023-01-05L)

  • 山本周五郎の短篇小説集『町奉行日記名』を読みました。
    ここのところ、山本周五郎の作品が続いています。

    -----story-------------
    着任から解任まで一度も奉行所に出仕せずに、奇抜な方法で藩の汚職政治を摘発してゆく町奉行の活躍ぶりを描いた痛快作『町奉行日記』。
    藩中での失敗事をなんでも〈わたくし〉のせいにして、自己の人間的成長をはかる『わたくしです物語』。
    娘婿の過誤をわが身に負ってあの世に逝く父親の愛情を捉えた短篇小説の絶品『寒橋』。
    ほかに『金五十両』『落ち梅記』『法師川八景』など全10篇を収録。
    -----------------------

    1940年(昭和15年)から1960年(昭和35年)に発表された作品10篇が収録されています。

     ■土佐の国柱
     ■晩秋
     ■金五十両
     ■落ち梅記
     ■寒橋
     ■わたくしです物語
     ■修業綺譚
     ■法師川八景
     ■町奉行日記
     ■霜柱
     ■解説 木村久邇典

    『晩秋』と『落ち梅記』、『寒橋』の3篇は再読、残りの7篇は初めて読みました… その10篇の中でイチバン好きなのは『晩秋』ですね、、、

    自刃した父の恨みを果たすため、冷酷な奸臣と言われた老臣・進藤主計を狙う娘・都留の葛藤が描かれており、クライマックスにおける二人の縁側での対決が清々しいんですよねー このような事態で為政者は、どのように振る舞うべきか… 政治家の皆さんの見本にしてほしいですね。

    自らの命を賭けて反対勢力の一味を集めて謀反を図ることにより、反対勢力の一掃を謀る老職・高閑斧兵衛を描いた『土佐の国柱』と冤罪と知りつつ藩政を立て直すために黙って罪をかぶるという忠義に殉じた武士・金之助を描いた『落ち梅記』も、『晩秋』と同じく、己を犠牲にして侍としての筋を通す厳しく美しい物語… このジャンルは感動しちゃいますね。

    行きずりの武士に託された50両を届けることにより報酬だけでなく、人間同士の信頼を知ることになる『金五十両』と、娘婿の過ちを義父が背負ってあの世に逝くことで夫婦が救われる『寒橋』の市井ものもイイ味があり、印象に残りました。

    痛快なこっけい物の『わたくしです物語』と風刺性の濃いこっけい物の『修業綺譚』は、落語を観ているような雰囲気で愉しめましたね。

    やくざな相手に対し徹底した軟派政策により解決を図る町奉行の活躍を描いた『町奉行日記』も痛快で心地良い読後感が味わえました、、、

    好みの作品が多く収録されていたのでトータルで満足度の高い一冊でしたね… 山本周五郎の作品は、読み始めると、やめられないとまらない魅力がありますねー 次も読んでみようと思います。

  • 表題作はいかにも映像化されそうな感じ。
    人物・背景設定の面白さ・痛快さもそうだけれども、この作家が持つ読み手に対するイメージ喚起力は相当なもの。
    実際にクロサワという映画史に残る巨匠への影響力を考えれば分かるというもの。

  • 時代劇、人情モノ中心の短編集。一つ一つの話がキッチリしていて、短話にもかかわらずそれぞれに満足感があった。主君亡き後の謀反の顛末を書いた「土佐の国柱」、着任後に出仕しない町奉行が何をしていたか「町奉行日記」、落語を意識してる作りの「わたくしです物語」など。通勤中に読み進めたが、続きが気になって行き帰りが非常に楽しみだった。

  • 人間身分や階級をはなれ、男と男でぶっつかることはいいことだ。戦前から戦後にかけての周五郎作品には、柔らかな市井の香りと、力強い意思があった。

  • みだりに罰してはならぬ、体を斬ることは出来ても心中の逆意までは斬れない。我に向かって石を投げるのは、前の領主を追慕する心からで、これを善導し撫育すれば、やがては我のためにも、不惜身命の民となるであろう。刑罰を厳にしただけでは、決して国は治まるものではないぞ。

  • ・土佐の国柱
    ・晩秋
    ・金五十両
    ・落ち梅記
    ・寒橋
    ・わたくしです物語
    ・修行綺譚
    ・法師川八景
    ・町奉行日記
    ・霜柱

    土佐の国柱、晩秋、落ち梅記、寒橋は自分を犠牲にして誰かを助ける、組織を守るというような作品だ。ハメットのガラスの鍵を思い出すが、頭を使って危機を乗り越えることよりも、死んで散るという方向に向かっている。
    その中にあって町奉行日記はひょうひょうとした主人公が頭脳で藩の危機を救う。最後は切り合いがあるのかと思ったが静かに終り、逆に印象的だった。

  • 日本の良さがすごくわかる。昔の人って人情あるし、昔の日本に戻って欲しいと思う作品。

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著者プロフィール

(やまもと・しゅうごろう)
1903~1967。山梨県生まれ。小学校を卒業後、質店の山本周五郎商店の徒弟となる。文芸に理解のある店主のもとで創作を始め、1926年の「文藝春秋」に掲載された『須磨寺附近』が出世作となる。デビュー直後は、倶楽部雑誌や少年少女雑誌などに探偵小説や伝奇小説を書いていたが、戦後は政治の非情を題材にした『樅ノ木は残った』、庶民の生活を活写した『赤ひげ診療譚』、『青べか物語』など人間の本質に迫る名作を発表している。1943年に『日本婦道記』が直木賞に選ばれるが受賞を辞退。その後も亡くなるまで、あらゆる文学賞の受賞を拒否し続けた。

「2025年 『山本周五郎[未収録]時代小説集成』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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