寝ぼけ署長 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 477
レビュー : 55
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134352

作品紹介・あらすじ

五年の在任中、署でも官舎でもぐうぐう寝てばかり。ところが、いよいよ他県へ転任が決ると、別れを悲しんで留任を求める声が市民たちからわき起った…。罪を憎んで人を憎まずを信条とする"寝ぼけ署長"こと五道三省が、「中央銀行三十万円紛失事件」や「海南氏恐喝事件」など十件の難事件を、痛快奇抜で人情味あふれる方法でつぎつぎと解決する。山本周五郎唯一の探偵小説である。

感想・レビュー・書評

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  • 地方都市の警察署に赴任してきた署長が数々の事件を解決していく様子を、近くで見ていた主人公が回想している。いつもぐうぐう居眠りしている署長は「寝ぼけ署長」と呼ばれ無能だと評判も立つほどだったが、赴任中の犯罪事件の数も少なく貧民をはじめ住民たちからの信任も厚い。
    署長は常に貧しい人たちの味方側に立ち、権力者やお金持ちに対する視線は厳しい。

    「犯罪は懶惰な環境から生れる、安逸から、狡猾から、無為徒食から、贅沢、虚栄から生まれるんだ、決して貧乏から生れるんじゃないんだ、決して」

  • 初・山本周五郎本でした。短編だからか、無駄な形容なくすっきりした文章で、でも味わい深く、そんな文章がこの署長の人物像とぴったり合った。
    こんな人いい、こんな風に生きられたらよかったな。本の中だけでもこんな人と会える、これが本の醍醐味。面白かった。

  • 周囲には油断させといて、最後は平和に解決のパターンにはまった。こんなリーダーになりたいと思ったりした。

  • 居眠りしているかのように衆生の心、事の本質をつぶさに見抜く署長五道三省の姿は、まさに仏の半眼の如しといったところ。読み進めるに従って署長に惚れ込んでいってしまう。

  • こんなにもあたたかい探偵、読んでてほっこりした。

    多少弱いとは思うけど、丁寧なミスリードに人情味溢れる結末は素晴らしい探偵ものだと思う。

  • さすがに古すぎる^^;

  • 署長はいつも寝ぼけているが、署長が就任している間は事件が起こらない、つまり、リスク管理がきちんと出来ているが、周りからは「寝ぼけているだけ」と評価されてしまう、という考えの例として、この本が挙げられていました。
    気になったので読んでみましたが、戦後の日本の時代背景を反映した小説でした。署長の考え方は素敵だと思いますが、少し理想的で(ストイックすぎる部分があります)、その様な謙虚な生き方をしていては、通常署長にはなれないし、苦しい事に耐えるばかりでモチベーションが続かないと思いました。

  • 日本がまぎれもない途上国であった時代の娯楽読物、なんだが、全然変わっていない国民性というか、話の持っていかれ方というか。そして、やはり、筆がとても立つ。

  • 発表当初、覆面作家として書かれたというのが面白いな、と思って読み始めた。
    時代ものではない作品は珍しいが、やはり、山本周五郎は好き。虐げられる者、弱い立場の者たちへの視線が優しい。
    なかでも屈指なのが「十目十指」だ。貧しく、慎ましく生きている夫婦が、周囲の山の手の奥様方から無実のそしりを受けたが、実は、彼らのほうに否があったという。
    なんだか、山本周五郎の作品を読むと、自分の中の姿勢を正される気がする。

  • 黒澤監督作品「赤ひげ」と彼の遺稿にもとづいて撮られた作品「雨あがる」を立て続けに観た結果、そこに山本周五郎の名を連続で見かけたため「では、ちょっくら…」とランダムに手にとってみた本作、なるほどがたくさん詰まってた。掲載当時は覆面作者という設定で盛り上げを図ったらしく、そんな挿話も微笑ましい。

    原作者で並べた映画鑑賞、この人のものならすぐにでもやってみたくなる。調べてみると既鑑賞作品もちらほら。残りも踏破を目指してみよう。

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著者プロフィール

1903年、山梨県に生まれる。本名は清水三十六(さとむ)。小学校卒業後、銀座の質屋で奉公、後に筆名としてその名を借りることになる店主・山本周五郎の庇護のもと、同人誌などに小説を書き始める。1926年、「文藝春秋」に『須磨寺附近』を発表、文壇デビュー。その後、不遇の時代が続くが、時代小説作家として認められはじめる。戦中から戦後まで連載が続けられた『日本婦道記』(1942-1946)で直木賞に推されるが辞退。主な代表作に『樅ノ木は残った』(1958)、『赤ひげ診療譚』(1958)、『青べか物語』(1960)、『おさん』(1961)などがある。1967年、逝去。

「2020年 『雨あがる 映画化作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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