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- 本 ・本 (311ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101134499
感想・レビュー・書評
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エッセイでは「歴史か小説か」「酒みずく」がお気に入り
資料をどれだけ集めようと歴史が復元しきれるものではない、「書かずにはいられない」主題があるから書くのであり現代とか時代とかはどうでもいい括りという主張、山本周五郎は体現できている作家だからすごく説得力がある。彼の時代小説は今読んでも全く色褪せないあたり。
後者は酒飲みとして単純に笑える。
他、目についたところを引用
「ときにこの前、土岐雄三さんが夫婦喧嘩して、僕のところへ逃げてきた。
うちのかみさんが浦和まで行って、彼のカミさんを連れてきた。カミさんが来たから、床の間にあったカーネーションを抜いて髪にさしてやった。イヤだっていう。いやならいやでいい、鏡で見ていやならよしなさい。そうすると鏡に向かって、さし直しているんです。どうだ、きれいだろう、小さな花一輪さしたって、きれいに見えるんだっていってやった。
それから、土岐雄三に、「お前さん、カミさんにきれいだっていうか」っていったら、てれくさがって、いわないという。(笑)欧米だとダンスパーティーやカクテルパーティ、ティーパーティーがあって、よその男性がカミさんをほめてくれる。日本ではそういうチャンスがないから、ほめるのは亭主以外にない。(中略)僕にも少しはましな小説ができるのは、読者の方たちの愛のバックアップがあるからですよ。やっぱりほめられれば、それならもう少しましなものをやろうと、元気が出る。」
伊達男っぽい笑けど素敵。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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