酔いどれ次郎八 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134567

感想・レビュー・書評

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  • 「江戸の土圭師」は時計職人を描く。この職人は良いものを作ることを名目として納期意識に欠ける。良いものを作る職人気質は好意的に評価されがちであるが、納期意識に欠けるところを批判する。これは昭和の日本企業の物づくりの失敗と重なる。

  • 人間性が深まった。
    こういう男になりたい。

  • やはり山本周五郎はスゴイな。こんだけ中身の濃い短編集にはなかなかお目にかかれない。表題作の『酔いどれ次郎八』をはじめ、『牡丹花請』『武道仮名歴』『与茂七の帰藩』と読み応えのある作品がズラリ。オススメだ。

  • ラストの現代(戦前)ものは入れなくてよいというか不要。興趣も削がれるし出来も良くなく、読後感が落ちる。それ以外は流石という感じの江戸ものの短編集。ちょっと読みやす過ぎる感もあるけど、これもまた一味ですな。

  • タイトルにもなっている「酔いどれ次郎八」がやっぱりいい。
    「彦四朗実記」もテンポがよくて好き。
    「烏」は『少女の友』に掲載された作品だそうだが、児童文学としてだけでなく大人が読んでも楽しめるものだった。

  • 昭和10年(1935)から17年(1942)の作品というから、
    まさに戦時中である。

    短編であるが、その物語の組み立て方は優れている。
    心の転換点がうまく演出されている。
    『講談』という手法を 今読むと新鮮である。
    一つ一つを読みながら、その物語の余韻をあじわう。

    彦次郎実記
    主計介が憤懣やるかたない状況に追い込まれている。
    乱暴狼藉を働いている。
    たまたま彦次郎が 美人として名高い 
    雪が主計介にさらわれようとしているときに
    直面し、助けることから、物語が始まる。
    彦次郎の活躍ぶりがなんともいえず気持ちがいい。
    そういうふうに、結末をつくるのか と彦次郎の想いに馳せる。

    浪人一代男
    幸なき姫を想う。
    父親の犬死に見切りをつけて浪人となるが、
    想いはつねに姫のこと。
    業平浪人 津村三九馬。
    行雲流水の人生に踏みとどまるものは。

    牡丹花譜
    奈々は、であった男に一瞬 恋に落ちる。
    それから運命は 大きく変わる。

    よいどれ次郎八
    切ないなあ。その想い。伝わらない想い。
    そこまでやるか。

    武道仮名歴
    伝八郎の過剰な自信。お縫のしたたかさ。
    なぜか さわやか なのだね。


    お文の飼っている鳥が物語の重要な役割を。
    だけど、父親の貧しさは 心まで貧しくする。

    与茂七の帰還
    あらくれ与茂七が、はじめて 鏡を見た話。
    牛も虎も なぜそうなったのか。
    自分が 過剰な自信を持つと キリがないのだ。

    あらくれ武道
    宗近新兵衛は、鼻が曲がっていた。
    浪江に恋をするが。
    浅井長政の無念をはらすために 織田信長にまみえる。
     
    江戸の土圭師
    時計つくりの職人が、めざす時計をつくろうとするが
    評価が低いことで、心が荒れる。
    しかし、街芸人の真剣さを見て、はっと気がつく。
    米屋が何とも言えず、いい感じをだす。
    伊達に、米屋じゃない。

    風格
    風格で自滅する男。
    優秀であるが、器用貧乏。
    出汁に使われても、怒らない風格がある。

  • 再読了。

  • 戦前の短編11作。道徳的な物語が多い。12.7.15

  • 2010.12.9(木)。
    彦四郎実記. 浪人一代男. 牡丹花譜. 酔いどれ次郎八. 武道仮名暦. 烏. 与茂七の帰藩. あらくれ武道. 江戸の土圭師. 風格. 人間紛失.
    メモ:山本周五郎作品館のページ http://goo.gl/IbRKF > 酔いどれ次郎八のページ http://goo.gl/WI1rO

  • 江戸時代とかのくーーーっとくるお話し。
    上手です。上手。
    読んで、ホロホロしていただきたい。

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著者プロフィール

山本周五郎(やまもと しゅうごろう)=1903年山梨県生まれ。1967年没。本名、清水三十六(しみず さとむ)。小学校卒業後、質店の山本周五郎商店に徒弟として住み込む(筆名はこれに由来)。雑誌記者などを経て、1926年「須磨寺付近」で文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説などを発表。1943年、『日本婦道記』が上半期の直木賞に推されたが受賞を固辞。『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』など、とくに晩年多くの傑作を発表し、高く評価された。 

解説:新船海三郎(しんふね かいさぶろう)=1947年生まれ。日本民主主義文学会会員、日本文芸家協会会員。著書に『歴史の道程と文学』『史観と文学のあいだ』『作家への飛躍』『藤澤周平 志たかく情あつく』『不同調の音色 安岡章太郎私論』『戦争は殺すことから始まった 日本文学と加害の諸相』『日々是好読』、インタビュー集『わが文学の原風景』など。

「2023年 『山本周五郎 ユーモア小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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