日本婦道記 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2018年10月27日発売)
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本 ・本 (736ページ) / ISBN・EAN: 9784101134819

作品紹介・あらすじ

貴方と生きると決めた時、私は涙を捨てた。妻が死んだ。久方ぶりにその手を握り、はっとする。酷く荒れていた。金銭で困らせたことはなく、優雅な生活を送っているとばかり思っていたのに、その手は正に働く女の手であった──(「松の花」)。厳しい武家社会の中で家族のために生き抜いた女性たちの、清々しいまでの強靱さと、凜然たる美しさや哀しさが溢れる三十一の名編。

感想・レビュー・書評

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  • 女性の自己犠牲が美徳とされていた時代のお話。
    でも皆さんの感想を見ると女性に限らず人間の在り方なのかもしれない。
    わたしからすると、現代の価値観からは大きく違っていて、最初の何話かで辛くなってやめてしまった。

  • 山本周五郎の婦道記もの。作家自身が厳選した11編『小説 日本婦道記』は昔読みました。今回の文庫本は埋もれていた20編が加えられて31編に増えて、あの感動をたくさん味わえる、ファンにはありがたい完全版です。
    しかも「婦道記=女性のあるべき道」と前なら解釈したでしょうが、わたくしも今は違います「人間のあるべき理想の姿」に気づかされる作品なのです。作者が言論統制ある戦時下の中で苦しみながら作品を書いたというのも理由、周五郎さんの言いたいことはずっと変わらないので、それが戦後の素晴らしい作品、例えば『長い坂』や『樅ノ木は残った』に結晶されたのをわたくしたちは読むことが出来るのです。

  • 日記には読む本がなくてキオスクで買ったみたいなことを書きましたが、山本周五郎はお気に入りの作家です。とりわけ短編小説はその一編一編、感動しないものはないと言っても過言ではないでしょう。でも、変な言い方ですが、山本周五郎が書店の店頭から消えることはまずありませんよね?だからこそ後まわしにしているところがあります。また、年をとっても、きっと今と同じ、いやそれ以上の感動を与えてくれるはずで、その意味でも後まわしです。今は若い頭でないと読めない本を先行させたい、と思います。
    この短編集はさまざまな女性の生き方をテーマにしていて、ぼくのお気に入りは末尾の「二十三年」です。頭をがつんと殴られたようなショックのあるそのエンディングは、仮にももの書きを志す者、一度はこんな凄い小説を書いてみたい、と溜め息をつかずにはいられません。そんなに長い小説ではないので、ぜひ立ち読みででも一読をお薦めいたします。

  • 読了 20240607

  • 自分の信念を貫き、夫のために、家を守るために滅私奉公する生き様に感銘を受けた。自分が知る歴史は、表舞台に出ることは決して多くない、このような逞しい女性たちの存在なくては成り立たなかったのだろうなと感じた。

  • 短編集。1話1話に人間の生き方が描かれている。この時代における女性の自己犠牲の話とは捉えず、人間としてどのように生きるか、ということを考え貫き通した人々の話と理解すると涙が溢れて止まらない。今回は梅咲きぬが刺さった。85

  • 箭竹

    大願と書かれた弓矢を巡る物語。
    直向きに真っ直ぐに凛と生きる母子の話し。
    とても潔く後味の良い話しだった。

  • どれも感動の珠玉でした。

  • 余りに己を殺し滅私奉公する女たち、その姿に苦しむ男たちが悲惨すぎる

  • 日経新聞の日曜版で山本周五郎が特集されておりました。その中で紹介されていた  日本婦道記 であります。全31編が収められた短編集、思いつくまま、ぱらぱらと読んでます。笄堀は、映画、のぼうの城 で紹介された、忍城の籠城戦が舞台、登場人物は、のぼうの城とほぼ同じようですが、少し違う角度から描いております。また、日経新聞で紹介された 短編二十三年、これは、本当に泣けました。改めて気づく、山本周五郎の素晴らしさ、であります。★四つ。

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著者プロフィール

(やまもと・しゅうごろう)
1903~1967。山梨県生まれ。小学校を卒業後、質店の山本周五郎商店の徒弟となる。文芸に理解のある店主のもとで創作を始め、1926年の「文藝春秋」に掲載された『須磨寺附近』が出世作となる。デビュー直後は、倶楽部雑誌や少年少女雑誌などに探偵小説や伝奇小説を書いていたが、戦後は政治の非情を題材にした『樅ノ木は残った』、庶民の生活を活写した『赤ひげ診療譚』、『青べか物語』など人間の本質に迫る名作を発表している。1943年に『日本婦道記』が直木賞に選ばれるが受賞を辞退。その後も亡くなるまで、あらゆる文学賞の受賞を拒否し続けた。

「2025年 『山本周五郎[未収録]時代小説集成』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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